『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)

 ペットと過ごす時間には、何ものにも代えがたい幸せがある。笑い、喜び、癒し、それらを与えてくれるペットの存在が人生で一番大切という人も多いことだろう。

 その反面、飼い主として決して避けては通れないのが、彼らとの別れ、そしてペットロスだ。人によっては、悲しみのあまり鬱症状に陥ってしまうこともあるほどだ。

 現在『週刊女性』にて連載中の漫画『ハイツ祐天寺へようこそ』(漫画 柏屋コッコ/原作 小林のえ)の中に、そのペットロスの様子をリアルに描き、心を打たれた話があるのでご紹介したい。この『ハイツ祐天寺へようこそ』は、ペット共生型マンション「ハイツ祐天寺」を舞台に住人とペットが織りなす日々を描いた作品なのだが、その3巻に収録の第10話『おかえり、ムギ』は、深刻なペットロスをテーマとした話となっている。

 主人公は、中学校の教頭の遠藤義隆。真面目で責任感の強い義隆は、管理職として激務に追われ過労死寸前の状態だったが、ペットの愛犬「ムギ」を唯一の心の支えとしていた。

『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)

 ムギに救われて何とか無事に定年を迎えられた義隆だったが、ある日突然、ムギは心不全を起こして義隆の腕の中で急死してしまう。

『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)

 愛犬との突然の別れに強いショックを受けた義隆は、ふさぎ込んで外出もしなくなってしまう。そんな彼を家族は心配し、娘の佳織はムギにそっくりなぬいぐるみを購入して義隆に見せるがーー。

『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)

 義隆がムギをかけがえのないものとして思う気持ちも、そしてそのムギを失ってしまった悲しみもひしひしと伝わってくる分、ラスト、義隆が過去の思い出を胸に新たな一歩を踏み出すさまは、涙なくしては読むことができない。

『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)

 読後は、人間よりも先に寿命を迎えて去っていくペットの存在は儚く、それゆえ一緒に過ごせる時間は尊く、大切にしたいものなのだとあらためて思わされる。

 こちらの3巻、他にも「スキニーギニアピッグ」という珍しいペットを飼い始める小説家の話、職場の人間関係に悩む中で2匹の猫に癒される女性の話、また1巻のプロローグから登場している心優しき会社員の大日向に新たな出会いの気配など、楽しい話も満載となっている。特にスキニーギニアピッグの描写は、著者の柏屋コッコ自身が実際に飼っていたこともあるようで、リアリティと可愛さにあふれていて楽しい。

『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)
『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』第3巻(漫画柏屋コッコ/原作小林のえ)

 ぬくもりが恋しくなるこの季節、物語中のペットが与えてくれる愛と「ハイツ祐天寺」での優しい人間模様に包まれて、心が温まること間違いなしの1冊だ。

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