FA争奪戦渦中の山崎福也投手(公式インスタグラムより)

《山崎高騰しすぎ》
《さすがに山崎高騰し過ぎてない?》
《欲しいからといってさすがに高騰し過ぎてもいかんと思うが》

 このたびサントリーが2024年4月1日に『山崎』や『白州』などの国産ウイスキー19品目を値上げすることを発表した。最大5割以上の価格アップに『山崎』ファンの嘆きの声がSNS上で溢れているーー。

 時を同じくして、X(旧ツイッター)に冒頭の「山崎高騰」をポストしていたのはウイスキーファン、ではなく野球ファンたち。FA(フリー・エージェント)権を行使したオリックス・バファローズの左腕、山崎福也(さちや、31)投手をめぐる争奪戦を受けての投稿だ。

 山崎投手との交渉の席についたのは残留交渉をするオリックスを含めた5球団で、さらに北海道日本ハムファイターズも加わって6球団になる見込み。

 東京ヤクルトスワローズ、横浜DeNAベイスターズ、読売ジャイアンツ、そして日ハムも4年8億円〜10億円の大型契約を用意する中、福岡ソフトバンクホークスが提示したのは破格の4年12億円と見られている。

 各球団が“マネーゲーム”に参戦するだけの価値が、来シーズンで32歳を迎えるベテラン投手にあるのだろう。しかしながら野球ファンの目に映ったのは、冒頭のような「山崎高騰しすぎ」の印象。

通算39勝、年俸6000万円の投手

 2014年のドラフトでオリックスの1位指名を受けて明治大学から入団、将来のエース候補と目された山崎投手。ところがプロの壁は厚く、大きな怪我こそ経験しなかったものの一軍と二軍を行ったり来たり、先発と中継ぎの配置交換が繰り返された。

 それでも2021年からの3年間は先発ローテーション入りして、オリックスのパ・リーグ3連覇に貢献。特に2023年シーズンは11勝5敗、防御率3.25の好成績を収めるとともに、めでたく9年目にしてFA権を取得。

 とはいえ二桁勝利を収めたのは今年の1回のみで、通算成績は39勝45敗と負け越している現状。推定年俸6000万円のCランクの投手だけに、FA市場で飛び交う年俸3億円は「高騰しすぎ」というわけだ。

オリックスのチームメイト・宮城大弥投手とのツーショットを投稿した山崎福也投手(公式インスタグラムより)

「おそらくFA抜きで査定すれば来シーズンは年俸1億円、もしくは倍増の1億2000万円を手にしたはず。一般的に見たら倍以上の“2億円、3億円を出してまで獲りに行く選手?”と、他球団から“過大評価”されている選手と思うかもしれません」

 スポーツ紙・野球担当記者が評するように、現球界において年俸3億円(推定)の評価がなされた投手といえば、FAで阪神タイガースに入団した西勇輝投手、東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大投手、中日ドラゴンズの大野雄大投手、DeNAの山崎康晃投手ら各球団で結果を出してきたエース級ばかり。

山崎投手が評価されるエース級の「数字」

 そこに山崎投手も名前を連ねる、というのはFA争奪戦がいささか加熱しすぎている気もするけども……。

「近年のFA市場が高騰傾向にあり、中には争奪戦の末におよそ“見合わない年俸”を手にするケースがあるのも事実。ただ勝ち負けの数字だけで判断すれば“見合わない”と査定されがちな山崎投手ですが、特筆すべきはローテーションをほぼ3年間守り続けたタフさと、その3年間の“WHIP”です」(前出・野球担当記者、以下同)

 投手能力を測る上で指標の一つとなる「WHIP」。投球回数に対して、どのくらい与四死球と被安打数があったのか数字で算出するもので、山崎投手はこの3シーズン、それぞれ1.16、1.21、1.16を記録している。

数字が低いほどにランナーを塁に出す確率が低く、チームメイトの絶対的エース・山本由伸は2023年シーズンは0.88と“怪物級”。山崎投手の1.16は、他球団であればエース級と評価される数字です。

 つまりは“試合を崩すことなく年間を通して仕事ができる、安定感ある左投手”というのが、彼を必要とする球団の評価だと思います。どのチームも先発のコマ不足に悩まされているだけに、山崎投手は西武ライオンズの山川穂高以上に争奪戦が起きる選手ということ」

 まさに熟成されたウイスキーのように、2024年シーズンで10年を迎える安定の「山崎」が値上がりするのは当然のようで。