『HERO』撮影時の木村拓哉

「放送開始は'01年1月になりますので、もう22年も前のことですが、いまだにという感じですね」(ファッション誌編集者)

 もはや以前の輝きが失せたかに見える“月9”という言葉に威光があった時代。そんなきらびやかな過去にあってひときわ結果を出した作品『HERO』(フジテレビ系)。平均視聴率は驚異の34・3%で、令和の時代では視聴率とは思えない数字だ。

 主人公である型破りな検事・久利生公平を木村拓哉が演じた。彼が、というよりは当時のキムタクが身に着けたのは検事らしいスーツなどではなく、ダウンジャケットにジーンズというラフなもの。ドラマのストーリーだけでなく、その格好に当時の若者は目を奪われた。

「木村さんがドラマで着用した茶色いダウンは、制作側が衣装として用意していたものではなく、木村さんが着用していた私物がそのまま衣装として採用されたものです」(芸能プロ関係者)

ダウンジャケットが「100万円」

 この久利生公平のトレードマークとなった茶色いダウンジャケットはドラマ以上に、人気に火がついた。

「当時はまだファストファッションもなく、洋服にお金をかける若者が多かったためか、二次流通で100万円ほどの値が付くこともありました」(前出・ファッション誌編集者、以下同)

 ここまでは景気のいい当時の話。男性アイドルとして芸能界やドラマの世界で一世を風靡したキムタクだが、今では彼を超えるタレントもいる。しかし、その威光は20余年たった今でも─。

同じモデルのダウンがこの11月に復刻、発売されましたが、ほぼ店舗に並んでいなかったのではないかというレベルで即完売になりました。値段は17万6000円と高額にもかかわらず……。そのうえフリマアプリなどではすでに20万円オーバーで取引されています」

ほぼ毎年“復刻”

 このダウンジャケットは『ア・ベイシング・エイプ』のもの。牧瀬里穂の夫・NIGOがディレクターを務め(当時)、'90年代後半ごろから“裏原系”の筆頭として人気を博したブランドだ。

「木村さん着用の最初期のダウンは革の染色が難しく、当時10着程度しか作られなかったそうです。それをドラマで着ていた。実は復刻は今回が初めてではなく、というか頻繁に発売されています。'07年、'10年、'15年、'16年、'18年、'19年、'20年、'21年……。近年はほぼ毎年のように復刻していますね(苦笑)」(スタイリスト、以下同)

木村拓哉

 なぜこれほどまでに?

「復刻が頻繁なのは“売れるから”にほかならないでしょう。事実今年も完売していますし。今でも高値が付くのはいくつか理由がありますが、まず復刻させてもすぐ売り切れるくらいの数しか販売しないこと。裏原から続く“人気で品薄のキムタク商品”というイメージを今でも維持しようとしている」

 ファッションにおいて木村の人気は今でも、なのか?

最近、木村さんが着用していた腕時計が意外に安価だと話題になりましたが、木村さん御用達アイテムに惹かれる層はいまだに一定数います。当時の影響をもろに受けた世代が中心ですね。そういった人がある程度、自由に使えるお金ができて、当時は手が出せなかったものを買う。さらに拍車をかけるのが、そんな購買層がいるので、確実性・利益率の高い転売となりやすく、転売ヤーも群がる。このようなあまりよろしくない相乗効果で、いまだに“木村拓哉着用”は人気があり、なくなりません」

 20年以上たっても、「転売、ちょ待てよ!」とはならない。