2023年3月に急逝したグラビアアイドルの片瀬美月さん

 2023年3月21日、グラビアアイドルとして活動していた片瀬美月さんが急逝した。亡くなって5日後、所属事務所が発表した。

「ただ、死因などの詳しい説明はありません。美月さんは死の当日もSNSに投稿をしており、いったい何があったのかファンは訝しんでいます」(ファンの1人)

 美月さんの死をめぐり、疑惑が取り沙汰されている。

 生前の美月さんを知るアイドルプロデューサーA氏は、事務所社長のS氏に不自然な行動があったと話す。

事務所社長と同居

「彼女の死を知ってすぐ、S社長に電話して、どうして亡くなったのか聞いたら、口を濁して詳細を言わない。亡くなったとき、ふたりは一緒にいたみたいなのに」

 美月さんは、東京・世田谷の1DKマンションでS氏と同居していたという。『週刊女性』が同じマンションの住人に聞くと、マンション内でふたりの姿が目撃されていた。

「若い女性はフリフリがついたビジュアル系バンドみたいな服装をしていましたが、会えば明るく笑顔で挨拶をしてくれる子でした。年配の男性は挙動不審で、すれ違っても目も合わせなかった。

 女性が亡くなった日、夜11時に警察官がたくさん来て、2時間ほど部屋を調べていました」(マンションの住人)

 事務所社長であるS氏は、なぜ美月さんの死の詳細を語ろうとしないのか。

「S社長は口達者で、自分より立場の弱い人を思いどおりにするのが得意。昔からグラドルを抱える芸能プロを運営して、自社のタレントに手を出していた。ある女性タレントと男女の仲になり、金銭トラブルを起こして、女性が芸能活動を引退したこともありました。

 現在は50代後半で、そもそも《S》という名前も本名ではない。美月さんに関して許せないのは、S社長は暴力を振るっていたことです」(前出・A氏、以下同)

 DV疑惑の根拠となる写真が残されている。

「あるライブの前、美月さんから“眼帯をして出演してもいいか”という連絡が来たんです。理由を聞いたら“転んで顔をぶつけてしまった”と言う。写真を送ってもらったが、どうも転んでつけた傷に見えない。後でS社長から彼女に対し、日常的なDVがあったと知りました

 それだけでなく、金銭的にも搾取されていたという。

9年間ノーギャラ

「美月さんがメンバーとして参加していたアイドルグループ内で、彼女の人気は1番か2番。明るくて元気なキャラで、グラビア活動と並行していました。美月さんのギャラは、事務所を通して払っていましたが、後で彼女はもらっていなかったと知りました

 美月さんと同じ事務所に所属していた元アイドルのB子さんも、同様の証言をした。

美月さんは、9年間の芸能活動で、ずっとノーギャラだったと思います。私も事務所と契約の際に家賃補助の話がありましたが、実際はもらえなかった。給料も最初の1年だけ。以降はいっさいなし。グラビア撮影会や舞台など、事務所からの仕事でギャラはもらえませんでした」

 S氏の不誠実さを示す証言は、まだある。かつて美月さんと同じ事務所に所属して、今はフリーで活動する現役アイドルのC子さんも、給料は支払われなかったと話す。

毎年の夏に大規模なグラビアの撮影会があって、その場で販売されるグッズの売り上げの20%は、タレント本人に入る話だったのに、それも支払われなかった。この撮影会イベントだけで、美月さんには、100万円以上の未払いがあったと思います

 美月さんが所属したアイドルグループの関係者は、彼女が精神的に追い詰められていたと語る。

アイドルグループの一員としても芸能活動をしていた片瀬美月さん。メンバーカラーは赤

ライブのないときは週5日で塾講師のバイトをして、なんとか生活をしているようでした。そんな生活と将来に不安を抱えていたのか、彼女は定期的に精神科の病院に通っており、'22年7月には意識を失い入院したことがあります。その際、S社長に連絡をしたのですが、返信はなく、何のケアもされてなさそうでした」

 美月さんは、アイドルになる前は楽しい日々を送っていた。それがS社長に出会ってから、すべてを狂わされたと訴えるのが、出身地の奈良に住む美月さんの母親だ。

「周囲に遠慮して、気を使う子だったので、もう少し積極的になってほしいと思い、小学2年生のときに大阪の芸能事務所に入れました。地元のCMに出たりしていましたが、勉強時間が取れなくなったので、芸能活動はいったんやめて、小学生時代に入った学習塾では飛び級して上級生クラスに。中学校に進むとバスケ部でキャプテンを務めました」(美月さんの母親、以下同)

 高校2年のとき、芸能活動を再開。そこで母親が美月さんから紹介されたのがS氏だったという。

わが家に来ると“自分の家はもっと大きい”とか言うので、変な人だと思いました。でも、娘はSに心酔していて“アメリカのディズニーで働いていたんだって”とか自慢するように話していました

 美月さんは上京し、アイドル活動をしながら予備校に通い、2017年に横浜国立大学に合格。5枚のDVDを出し、過去に人気タレントを輩出してきたオーディション『ミスiD』の2022年のファイナリストになった。

「殺されたも同然」

「2022年10月、娘が大好きな福山雅治さんゆかりの地をまわるため、2人で長崎旅行をしました。そのとき、娘がいきなり“霊が見える”って言い出して。娘がSに電話をしたら“塩をまけ”“全身にシャワーを浴びろ!”と指示をされていました

 母親が最後に娘に会ったのは、亡くなる2日前だった。

「急に会えることになったけど、どこか様子がおかしかった。会う直前までは、別の芸能プロダクションに移籍できるんだと喜んでいたのに、Sから多額の移籍金を払えと言われて、移籍を断念したと知りました。東京に戻るときに“また帰ってきてね”と言ったら“もう帰らない”と言っていて……。美月はSに殺されたも同然だと、私は思っています

 突然いなくなってしまった娘に、母親は今も納得できず、悲しみに暮れている。

 法律的にS氏の責任を問うことはできるのか。『法律事務所Z』の依田俊一弁護士に聞いた。

美月さんがS氏の営む事業の従業員といえるならば、未払い分の給料について訴えることはできます。時効は3年なので3年分が請求できます。仮に業務委託契約の場合でも商取引であるので、通常有償での契約合意があるとして、請求できる可能性があります」

 美月さんの死から約3か月後の6月18日、事務所は『見送る会』を開催。熱心なファンは香典を持参したが、母親はそれを受け取っていない。

片瀬美月さんの遺影を前に取材に応じた母親。手前は家族で作った思い出の手作り人形

 S氏に話を聞くべく、携帯電話に連絡したが出ず。今も美月さんの写真とプロフィールを載せている事務所ホームページに連絡したが返信はなし。事務所の会社登記で代表になっている所属アイドル女性宛てにメールをすると「Sは現在、社長ではないが、仕事は手伝っているので、本人に伝えておく」との返信があって以降、音信は途絶えた。

 女性の夢につけ込み、最悪の事態を招いたことから目を背けてはならない。

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依田俊一 慶應義塾大学卒、東京大学法科大学院修了。M&A、事業承継、芸能・広告案件に強みを持つ。現在は、法律事務所Zのパートナー弁護士/デジタルエンターテイメントコンソーシアムアドバイザー弁護士として活動