(左から)織田裕二、田村正和さん、松崎しげる

 '80年代の人気刑事ドラマ『あぶない刑事』の新作映画『帰ってきた あぶない刑事』の公開が決まった。

 タカ役の舘ひろしは記者会見で「さらばと言っていたのに、また帰ってきちゃいました。本当にすみません」と謝っていたが、面白い作品なら復活は大歓迎だ。ということで、編集部では過去の名作で復活してほしい刑事ドラマについてアンケートを実施した。

『復活してほしい刑事ドラマ』ランキング

 残念ながらベスト10からは漏れたが第11位は28票を集めた、

「主役の藤田まことの演技が好きだから」(東京都・男性・47歳)

「刑事ものでも人情味がある」(北海道・男性・68歳)

 と支持が高かった、『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日系)。'88~'05年まで毎年連ドラが放送され、'09年までスペシャル版が続いた。

藤田まことさん

「山手中央署の安浦吉之助刑事、通称“安さん”が人情捜査で事件を解決する作品で、『あぶない刑事』など当時のトレンディー路線とは一線を画する堅実さで人気でした」

 と話すのはテレビ番組に詳しいライターの成田全さん。

「安浦刑事、当初は結構ハードボイルドで、だんだんと落ち着いた刑事になっていったのですが、藤田さんはしばらく演じないと役が身につかないタイプだそうで、あの役柄になるのに5、6年かかったとか。またハワイでも放送されて人気を集めており、藤田さんはハワイの税関で“オー、ヤスウラ!”と声をかけられて素通りできたこともあるそうです(笑)」(成田さん、以下同)

 9位には32票を集めたアクション系の2作品。'68~'73年放送のハードボイルドアクション『キイハンター』(TBS系)には、

「千葉真一、野際陽子のコンビが良かった」(埼玉県・女性・59歳)

 といった声が。

「国際警察特別室に所属する、丹波哲郎さん演じる黒木が率いるキイハンターが、警察が介入できない問題を解決する国際色豊かな内容で、フィルム・ノワールの雰囲気があって今見てもオシャレなドラマです」

 もう1作はコメディータッチの'79~'82年放送『噂の刑事トミーとマツ』(TBS系)。

「トミーとマツの掛け合いが好きだった」(兵庫県・女性・62歳)

「松崎しげると国広富之の若い姿、当時珍しかったと思う明るい雰囲気のコンビものに大変興味を持った」(青森県・男性・39歳)

 という声のとおり明るく楽しい作風で、刑事がバディを組んで捜査にあたるアクションドラマの先駆けとなった。

「格闘シーンになるとおじけづく気弱なトミー(国広)にマツ(松崎)が“テメーなんか男じゃねぇ、女だ。トミコー!”と怒鳴りつけるとトミーが豹変、とんでもない怪力を発揮して敵をなぎ倒す、というのが毎回のお約束展開でした」

セーラー服のアイドルが戦う異色刑事ドラマ

 7位は35票を集めた2作品がランクイン。まずは'10年放送の戸田恵梨香・加瀬亮主演『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBS系)。

'13年公開の『劇場版SPEC〜結〜』の完成披露舞台挨拶にて 撮影/週刊女性写真班

「登場人物のクセが強く、セリフや小道具も凝っていた」(東京都・女性・44歳)

「SPECを持った犯人たちと対峙する戸田が好き」(大阪府・男性・39歳)

 と独特な世界観が人気だ。

「SPECと呼ばれる超能力を持つ人物が事件を捜査する“未詳”に所属する、左手を三角巾でつった天才捜査官・当麻と丸刈り頭の瀬文のコンビが活躍します。上司の野々村(竜雷太)が'99年放送『ケイゾク』のキャラと同一人物なので、併せて見ると楽しめますよ」

 もうひとつは昭和の名作、'75~'82年放送の『Gメン'75』(TBS系)。

「香港ロケがとにかくダイナミックでいつまでたっても色あせない」(新潟県・男性・68歳)

「滑走路を7人で歩いてくるタイトルバックがカッコよかった」(埼玉県・男性・54歳)

 と黒木警視(丹波)率いる特別潜入捜査班“Gメン”を懐かしがる方多数!

「『キイハンター』から続く土曜9時枠で、当時7時から『まんが日本昔ばなし』『クイズダービー』『8時だョ!全員集合』とTBSを見続けた方も多いでしょう。横に並んで歩くと“Gメン歩き”などと言ってましたね」

 6位は、

「人間の心理の深い部分の闇、抑制しているはずの醜さをあえて浮き彫りにしており、考えさせられる」(秋田県・男性・65歳)

 とダークな世界観が評価された、誉田哲也氏の小説が原作の竹内結子さん主演『ストロベリーナイト』(フジテレビ系)が36票を集めた。

竹内結子さん演じる姫川も人気!映画化もされた『ストロベリーナイト』

「実は'19年に二階堂ふみさんと亀梨和也さんで新たに『ストロベリーナイト・サーガ』として連ドラが放送されましたが……あまり視聴率は振るいませんでした」

 5位は45票を集めた和田慎二氏の漫画が原作の『スケバン刑事』シリーズ(フジテレビ系)。'85~'87年にかけて、斉藤由貴主演『スケバン刑事』、南野陽子主演『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』、浅香唯主演『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』が連続して放送され、映画も作られた。

ほかの刑事ドラマとは作風の違う、異色の『スケバン刑事』

「鉄仮面、セーラー服、ヨーヨー。なかなか思いつかない組み合わせです」(秋田県・女性・47歳)

 と、ヨーヨーで戦うアイドルを支持する声が。

「セーラー服の学生刑事・麻宮サキが主人公で、上司である暗闇司令のクレジットが当初“?”になっていましたが、声とシルエットで長門裕之さんだとすぐにバレましたね(笑)。撮影現場は過酷で、主役のアイドルたちはかなりご苦労されたそうです」

『あぶない刑事』に続き、あのドラマも復活!?

「爆発の派手さ、ド派手なカーチェイスは今では撮影できないと思う」(広島県・女性・55歳)

「今までになかったド迫力のアクションや装甲車などのスゴイものが出てきて驚かされた」(長崎県・女性・65歳)

 など79票を集めた『西部警察』(テレビ朝日系)が4位に。そして3位には81票で、

壊した車の数や使用した火薬の量など、今では再現不可能な『西部警察』シリーズ

「スターがたくさん出ていて面白かった」(北海道・女性・69歳)

「テーマ曲が今も頭を離れません」(東京都・女性・55歳)

 と『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)が入った。いずれも“石原軍団”による刑事ドラマだ。

『太陽にほえろ』で捜査第一係長の藤堂俊介を演じた石原裕次郎さん。通称“ボス”

日本の刑事ドラマの金字塔ですね。ちなみに石原裕次郎さんが初めてボス役を演じたのは37歳のとき。今の亀梨さんと同じ年齢ですが……貫禄がすごいですね(笑)」

 続いて127票で2位には、

「青島刑事を中心とした湾岸署のメンバーのやりとりが面白かった」(兵庫県・女性・57歳)

「いったん区切りがついてもう何年もたつが、その後それぞれがどうなっているか知りたい」(宮城県・女性・54歳)

 と根強い人気の'97年放送『踊る大捜査線』(フジテレビ系)がランクイン。

『踊る大捜査線』

「連ドラの平均視聴率は18.2%、当時としては決して高い数字ではありませんでしたが、再放送やスペシャル版で人気となり、映画4作は大ヒット。今回20年ぶりに続編映画が作られるのではという一部報道もあるので、復活があるかもしれませんね。

 ちなみに『踊る』はスペシャル版を除き、夏が舞台となったことがないのにお気づきでしょうか? その理由は湾岸署員が全員スーツか制服なので、キャラ付けのためコートを着せたことにあるそうです」

 そして1位には189票で田村正和さん主演『古畑任三郎』(フジテレビ系)が輝いた。

田村正和さん

「巧妙な完全犯罪をたくらむ真犯人を暴く痛快劇の中にユーモアがある」(宮城県・男性・59歳)

「犯人と古畑の駆け引き、やりとりに引き込まれます」(長崎県・女性・46歳)

「脚本が素晴らしく、出演者もそれぞれが適役」(新潟県・女性・60歳)

「田村さん演じる黒ずくめの警視庁刑事部捜査一課の古畑警部補が、明晰な推理力で豪華俳優陣が演じた殺人犯を追い詰めていく、視聴者は初めから犯人がわかっている倒叙ミステリーの名作です。

 '94年から放送が始まり、'06年に完結、スピンオフとして'08年に山田涼介さん主演で『古畑中学生』が作られました。

 古畑の復活は脚本を担当した三谷幸喜さんが、田村さん亡き後はないと明言しているので、難しいかもしれませんね」

 あの刑事役には今だと誰がいいかな、などと考えながら復活を楽しみに待ちたい。

成田全●雑誌編集者、漫画編集者など経て、フリーに。インタビューや書評を中心に、幅広い分野について執筆活動を行う