送検のため京都・東山署を出る水島千翔容疑者=11日午後3時1分(写真/共同通信社)

「国や国民を守る立場の自衛官が、あろうことか国民を殺すなんて……」

 被害者が住んでいたマンション近くの住民は、呆れ果ててそう答えた。

 京都府警捜査一課と捜査本部は10日、自衛官の水島千翔容疑者(21)を殺人の疑いで逮捕した。容疑者は3日午後7時55分ごろ、京都市東山区のマンションの2階から3階の踊り場で、同マンションに住んでいた無職の岡田好次郎さん(82)の背中を刃物で複数回突き刺してその場から逃走。

「岡田さんは肺動脈帯心房切創による失血で死亡。それから1週間経った10日、容疑者は東京都内の宿泊施設を出たところで、捜査員に逮捕された。所持していたリュックからは、凶器とみられる包丁1本が発見されています。

警察は殺害現場近くの防犯カメラや、自衛隊関係者からの行方不明届などから、容疑者を特定して、行方を突き止めたようです」(全国紙社会部記者)

容疑者は「誰でもよかった」と供述しているが…

 水島容疑者は警察の取り調べに対して、

「(殺すのは)誰でもよかった。反撃されないように大柄な男性以外を狙った。逮捕されなければ、また殺したと思う」

 などと供述して、容疑を認めているという。

水島容疑者が所属していた陸上自衛隊・祝園分屯地

 容疑者は犯行現場から30キロメートル近く離れた、同府相楽郡精華町にある陸上自衛隊・祝園分屯地に所属していて、敷地内にある寮で生活していた。同分屯地を統括する中部方面総監部によれば、

「彼は2年前の4月に自衛隊に入隊し、最初は中部方面後方支援隊付に配属されていました。祝園分屯地に異動したのは昨年6月からで、弾薬類の取り扱いに関する業務をやっていた。平素の勤務については特に問題はなかった」

 容疑者は事件前日の2日午後8時から3日深夜0時までは外泊届を出していて、

「外出申請書を提出して、許可権者、そして当直から許可を受けるなど、きちんとした手続きを踏んでいました。宿泊先は“京都市内”。ところが、期限である3日の深夜になっても戻らなかったため、4日の朝に行方不明届を出したわけです」(同・総監部)

 一方、犠牲となった岡田好次郎さんは、数十年前から前出のマンションに独居していた。築51年、4階建てで間取りは1DK、月の家賃は約3万円。

帰りを待ち伏せしたんやないの

事件現場となったマンションの外観

「亡くなった人に申し訳ないけど、温厚な人ではなかった。怒鳴り散らしたり、苦情を言われたり、本当にトラブルメーカー。私も家族もどれだけ苦しめられてきたか……」(同マンションの住人)

 別の住民も同じ意見で、

「ほんま、ややこしい人やった。普段は普通やけど、酒癖が悪くてね。酔っ払うと誰彼構わず、怒鳴っとったわ」

 殺人現場となった踊り場には、亡くなった岡田さんの財布が落ちていたため、

「明らかに殺し目的。嫌われもんやから、みんな狙われたんやないのって言うてるわ。このあたりはふらっとは来ない場所。無差別殺人やったら、道端とかでやるでしょうからね」

 この証言について、捜査関係者に確認すると、

「それは……ないと思う。まだ動機、反省や謝罪、責任能力については捜査中の段階なので、なんとも言えないが」

 と語るだけだった。

 動機の解明が待たれる。