写真左から嶋佐和也、松本人志

「リンダ、リンダ〜〜リンダ、リンダ、リンダ〜〜〜アッ!」

 THE BLUE HEARTSの言わずと知れた名曲『リンダリンダ』。'87年にメジャーデビューした同バンドのファーストシングル(自主制作除く)だ。ボーカルのヒロトの声や歌詞に、マーシーがかき鳴らすギターの音に、時代を問わず思春期の少年や少女は心を奪われ、これをきっかけにバンドを結成したり、音楽の道に進んだという者も少なくない。

サビでまっちゃんコール

 そんな歌が1月14日、とある場所で熱唱された。途中から、あの渦中の人物を引用する形で──。

13日深夜スタートの音楽イベント『STILL MORE BOUNCE』が開催されました。同イベントの主催は『水曜日のダウンタウン』で知られたテレビプロデューサーの藤井健太郎氏。出演者を伏せた形での先行チケットは即完の人気ぶり。出演したのは、『千原兄弟』千原ジュニアさんやチャンス大城さんらによるバンド『HONEY BADGER』、『野性爆弾』くっきー!さんやレイザーラモンRGさんらによるカバーバンド『THE LOVE-MACHINES』。それに加えてヒップホップ系の人気アーティストなども出演しました」(イベントに参加した音楽誌ライター)

 お笑い芸人が多数出演、特に吉本興業所属の芸人も多かった同イベント。くっきー!のバンドのライブにシークレットボーカルとしてゲスト出演したのが、矢口真里、女性ラッパーのAwich、アイナ ・ジ・エンド、そしてお笑いコンビ『ニューヨーク』の嶋佐和也だった。

「ゲストボーカルの嶋佐さんはTHE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』を、時折飛び上がったりするなどパンクなテンションマックスで熱唱。そして何よりもそこにいた観客が盛り上がったのが、サビの“リンダ、リンダ〜〜”のところを、“まっちゃ(ん)、まっちゃ〜〜(ん)、“まっちゃ(ん)、まっちゃ(ん)、まっちゃ〜〜(ん)”とリズムはそのままに歌詞を松本人志さんの愛称に変えて歌ったところでした」(前出・音楽誌ライター)

THE BLUE HEARTS 『リンダリンダ』

 同じ事務所の大先輩。'21年の『キングオブコント』決勝進出のタイミングで嶋佐は髪型を“吉本の王”と同じ短い金髪にしている。

 料理系動画投稿者への態度など、たびたび炎上している『ニューヨーク』、というより嶋佐。今回の名曲に乗せた大先輩コールも、SNS上にその模様を映した動画が投稿されると賛否が集まった。その意見は本当に二分、真っぷたつといえるものだった。

《ダウンタウン好きやから、関係なく歌ってるだけなんやろけど嶋佐泣ける》

《やっぱり芸人はみんな松ちゃんを擁護したいんだよ 言えなくて当たり前だけどそれを伝えてくれる嶋佐に涙が止まらない》

 以上のような称賛、
 

《嶋佐さんがリンダリンダの替え歌で松本人志の名前コールしてたの観て、本当に最悪。今この時に名前を出すべきでは無い》

《松本に対しては松本が好きだった人こそ怒るべきだし、嶋佐のやつはブルーハーツ好きな人がガチ切れしていいと思う》

松本人志

日々、新たな情報が出てくる松本さんの問題については、芸人であれば特に言及しづらい。今、報道として出ている話がどこまでが事実で、どこかに事実でないことがあるのか。松本さんと近しくない後輩芸人たちにはわからないでしょうし、それこそ裁判で決着をつけるような話。

 また、“(コンパのために)後輩に女性を集めさせる”くらいのことは多くの芸人さんがやっていたことというのもある。嶋佐さんのような30代後半であれば、松本さんの影響がないほうがおかしい世代。もともと偏見混じりの意見であったり、ギリギリの感覚で笑いを取ることも多かったのがニューヨーク。

 嶋佐さんが松本さんを応援・擁護する意味で名前を叫んだのか、その場いっときの笑い、“今、この名前を出せば……”という感覚で使ったのかは本人にしかわからないし、本人も語ることもないとは思いますが、とにかくあの場は盛り上がったというのはひとつの事実ではあります。もっとも批判を受けて当然とも思いますが」(お笑いライター)

松本と甲本の関係性は浅くない

 THE BLUE HEARTSの甲本ヒロトは、あるインタビューで「リンダとは誰か?」と問われ、以下の回答をしている。

僕も分からない。答えとか元々ないんだよ。だから、リンダリンダって歌詞カードには書いてないでしょ。登録もしてないから自由に歌っていいんだよ」(東京弁護士会会報誌『LIBRA』:2014年)

 作詞者の考えに沿えば、嶋佐は正しく自由に歌い、“まっちゃん”とシャウトした。しかし、当然ながらそれは状況による、だろう。

 当の松本本人は甲本について番組で次のように話している。

「大阪から東京に来るときに結構キツかったんですよ。大阪で売れた人間がまた東京でもう1回売れなきゃいけないというときに、なんか勇気を与えてもらうのに、ちょうどブルーハーツっていうのがばっちり僕の胸に刺さっちゃったんですね」('20年、フジテレビ系『まつもtoなかい~マッチングな夜~』)

 松本の結婚パーティーに甲本がサプライズゲストとして呼ばれるなど、松本と甲本の関係性は浅くない。

『リンダリンダ』の歌詞には次のような一節がある。

《もしも僕がいつか君と出会い話し合うなら そんな時はどうか愛の意味を知って下さい》

 松本と告発女性らは今後裁判に進む模様だ。“僕”と“君”は再度出会って話し合う際、どのような言葉をかけ合うだろうか。