『ブギウギ』に出演したOSK日本歌劇団の男役スター翼和希

 宝塚歌劇団がようやく非を認める決断をしたと一部で報じられた。

「昨年9月に現役タカラジェンヌのAさんが転落死。原因はイジメやパワハラだったとの指摘に対し、劇団の不誠実な対応が批判を受けて公演中止に追い込まれる事態に。劇団側はAさんのご遺族との話し合いで非を認めたようですが、まだ不信感は拭えていません」(スポーツ紙記者)

 苦境に陥った宝塚と対照的に、好感度が上昇しているのが『OSK日本歌劇団』だ。

「宝塚に続いて結成された少女歌劇団で、“歌の宝塚、ダンスのOSK”といわれ、人気を二分していました。NHK朝ドラ『ブギウギ』のヒロインである福来スズ子は、OSKに所属していた笠置シヅ子さんがモデル。朝ドラ効果もあって注目が集まっています」(演劇関係者、以下同)

苦境の連続だったOSK

 OSKは宝塚に比べると知名度も人気も劣っており、苦難の道を歩んできた。

1971年に近鉄グループに入りますが、業績悪化で2003年に支援は打ち切り。有志が再建したものの2007年に経営破綻し、2018年からはIT企業の傘下に。予算が少なく、劇団員が自ら衣装を縫っていたそうです。低迷期を脱したのは『ブギウギ』の効果もあるのでしょう。最近は観客動員数が増えていますよ」

『ブギウギ』で趣里が演じるスズ子を厳しく鍛える先輩の橘アオイ役だったのが、OSK現役男役スターの翼和希。出演後は大きな反響があった。

劇場にお越しいただくお客様がとにかく増えました。今までOSKの舞台を見たことがない、新規のお客様が連日来てくださって。以前からのファンの方々も変わらず劇場に足を運んでくださいます。新しいお客様が増えることを自分のことのように喜んでくれて、“いろんな人に知ってもらえるよう頑張るね”とおっしゃってくださいます」(翼和希、以下同)

 朝ドラに出演したことで、改めてOSKの良さを感じることができたという。

OSKに所属していると、劇団員と一緒に過ごす時間がとても多いんです。そうすると人となりがわかってきて、だからこそ生まれる空気感、団結力があります。OSKの歴史を振り返ると、いろいろな壁にぶつかってきました。そんな中で守り抜いてきた劇団なので、雑草魂や生命力にあふれています。そういったものが舞台に表れているのがいちばんの特徴で、ほかにはない点なのかなと思います

『ブギウギ』効果もあってか、翼が主演する舞台『へぼ侍~西南戦争物語~』のチケットは即完売。2月10日からは全国4か所で『翼和希コンサート』が開催される。

4月に大阪松竹座などで上演する和物と洋物2本立ての『レビュー春のおどり』や、私のお芝居を見ていただくための入り口になればいいなと思います。朝ドラにあやかるスタイルで、ブギウギメドレーも見どころ。もちろん主題歌の『ハッピー☆ブギ』も。歌劇らしい場面もお届けします。YouTubeで好評だった『エル・クンバンチェロ』も披露しますよ

「嫉妬などの感情は生まれにくい」

 OSKは宝塚とどんなところが違うのか。メディア研究家の衣輪晋一氏に聞いた。

「一番は規模感ですね。OSKは“少数精鋭”という感じです。宝塚は大規模な独自の劇場がありますが、OSKは、比較的小さい劇場で公演することが多い。だから劇団員を間近で見ることができて、ファンとの距離感が近いんです。ファンサービスも多いようで、“会いに行けるスター”といった身近な感覚になる点が魅力なんです」(衣輪氏、以下同)

連続テレビ小説『ブギウギ』。主演は趣里が務めている(NHK公式サイトより)

 劇団員との近さをより感じられるのは、OSKのテーマソング『桜咲く国』を歌う時。

「“桜パラソル”と呼ばれる傘を開閉したり回したりするパフォーマンスを見せます。OSK公式グッズとして“桜ミニパラソル”が販売中で、購入した方は『桜咲く国』で劇団員と一緒に傘を回すんです。この時は一体感がありますね。OSKならではの楽しみ方だと思います」

 距離感の近いファンサービスは魅力的だが、その舞台裏はというと……。

先輩との上下関係が厳しいという話は聞いたことがありません。人数が少ないこともあって、公演に出ている全員に見せ場があります。トップスター以外の演者にもソロパートがあり、主役を任されることも。嫉妬などの感情は生まれにくいでしょう

 知名度は低くても、歴史は宝塚に引けを取らない。アットホームで温かな空気感を楽しめるOSKに魅力を感じる人が多いのも頷ける。

衣輪晋一(きぬわ・しんいち)メディア研究家。書籍『見てしまった人の怖い話』『さすがといわせる東京選抜グルメ2014』、バラエティーやドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中