麻生太郎

 発端は1月28日、麻生氏が講演で上川陽子外務大臣について触れたことだ。以下がその発言。

「俺たちから見てても、ほ~この“おばさん”やるねと思いながら、この間ニューヨークで会ったけど、少なくともそんなに美しい方とは言わんけれども、外交官の手を借りなくて、『私がやるからいい』って、どんどん会うべき人たちには自分で予約を取っちゃう。あんなことができた外務大臣は今までいません。新しいスター、新しい人がそこそこ育ちつつあるんだと思いますね」

 麻生氏は容姿を揶揄しながらも上川大臣を絶賛。麻生氏なりの最大の“褒め言葉”だったのだろうか、だが野党から「『ルッキズム』のようなことを口にしてはいけないのは、一般社会では常識だ」と激しく批判された。

この発言は一発アウト。さすが“失言王”

 一連の流れを受け、上川大臣は1月30日の閣議後の記者会見で本件に言及。

「さまざまな意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている。国民に理解され、支持される外交を展開していくことに専心しているところで、これからも日々努力していきたい」

 と問題視しない認識を示していた。

 上川大臣が“大人の対応”をしたところで問題は収束したように思われたが、ネットでの炎上は収まらなかった。

《会社員ならこの発言は一発アウト。さすが“失言王”ですね》

《森喜朗氏の五輪での問題発言と言い、日本のいい恥さらし。やめてほしいよね》

 麻生氏はこれまでにも数々の失言が物議を醸していて、“失言王”と揶揄されることも。今後の出方に注目が集まっていたが、2月2日、ついに麻生氏がついに口を開いた。

風向きが変わった?

麻生太郎副総裁

 麻生氏はテレビ朝日の取材に対して、

「容姿に言及したことなど表現に不適切な点があったことは否めず、指摘を真摯に受け止める」

 として、発言を撤回したのだ。これに対して、ネットは、

《一度公で発言してしまった事は、撤回出来ない》
《麻生氏が今でも自民党の副総裁なのが理解出来ない》

 そんな麻生氏への批判の声と同じくらいあがったのが、上川大臣を評価する声だった。

《上川大臣のほうが何枚も上手で器の大きさが違う》
《上川大臣は淡々と業務をこなしていて安心感がある》
《麻生さんの毒舌で上川さんの人気がさらに向上しました》

 すると、こんな声も上がっていて……。

《あえて物議を醸す発言をして、世論の注目を上川氏に集中させた》
《麻生氏の世論操作では?》

 などと、麻生氏の“策士ぶり”が囁かれている。本当の狙いはどこにあったのか? ただ完全“逆風”状態にあった自民党の風向きが少し変わったのは間違いない。