(左から)高市早苗氏、岸田文雄氏、河野太郎氏、萩生田光一氏

 政治とカネの問題で、長らく政権を握ってきた自民党が揺れている。

 '23年11月、自民党の議員らが、政治資金パーティーでの収入の一部を政治資金収支報告書に不記載だったことが明るみに。パーティー券を販売して得た収入を“なかったこと”にする手法は、私腹を肥やす“裏金づくり”だと指摘され、こんな人たちを野放しにしておいていいのだろうか、といった声が日増しに高まっている。

 週刊女性は、来たる選挙で落選してほしい自民党議員は誰か、全国の18歳以上の女性2000人にアンケートを実施。過去に失言、不祥事などがあった自民党の衆議院議員48人をリストアップ。その中から1人を選んでもらい、落選してほしい理由についても回答してもらった。女性たちが弾劾する議員は誰!?

女性2000人の怒りの声が爆発!

 まず、24票が投じられ10位にランクインしたのは現在、経済安全保障担当相を務める高市早苗氏だ。

高市早苗氏

「政治思想に危険性を感じるから」(32歳・東京)

 高市氏は、安倍晋三元首相の遺志を継承していくことを公言しており、自民党内で保守派のスターともされる存在だ。そんな彼女に、女性たちは拒否反応を示しているよう。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏も、厳しく指摘する。

「政治とカネの問題が噴出する自民党に対し“こんな汚いところにはいられない”と、飛び出すのが保守の本懐。内側から直すのではなく、ダメなモノは切り捨てていかなければ新しいものは生まれないように思います。党にしがみつく彼女は、本当に保守なのか疑問です」

 高市氏は'21年に党から支給された交付金150万円を報告書に記載していなかったことが、'23年9月に明らかになっている。

 9位は25票の稲田朋美元防衛相。

防衛相を引責辞任してから、出世コースを外れた稲田朋美氏

「昨今の主張が過去の主張と大幅に異なっている。バリバリのリベラリスト。過去の保守っぽい主張は保守層を騙すための擬態だったのか」(59歳・神奈川)

 '17年まで防衛相を務めたが、自衛隊イラク派遣時の日報の所在が不明に。粗雑な文書管理が問題となり、追及されて引責辞任した。

「安倍さんがいなくなったことで、国民には稲田さんの発言が変節しているように見えている。ある意味で普通になったと思うのですが、もともと稲田さんを支持していた人からすれば、裏切られた気持ちなのでしょう」(角谷氏)

 稲田氏は'16年、出席した政治資金パーティーで受け取った白紙の領収書260枚に、自らの事務所側で金額を記入していた。これについて、

「事実と異なる金額を記入したわけではない。法律上は問題ない」

 と語ったが、一般企業でその論理は通用しない。特権意識が垣間見える。

 40票で8位にランクインしたのは自民党の選挙対策委員長を務める小渕優子氏だ。

10年前の不祥事から“ドリル優子”と呼ばれる小渕優子氏

「自身の疑惑について何の説明もしていないのに、要職に就いて不正の調査をしているから。不正をする世襲議員はいらない」(38歳・大阪)

 '14年に政治資金規正法違反が発覚。帳簿データが入った事務所のパソコンは“ドリル”を使って破壊されていた。結局、秘書が有罪判決を受けて幕引きに。

「小渕さんは過去の事件を反省し、党内では長らく地道に“雑巾がけ”をしてきた。今回の裏金問題では、自民党が立ち上げた『政治刷新本部』のメンバーに入っているが、過去に不祥事があったからこそ、政治とカネの問題を厳しく指摘できるのが彼女だと私は思っています。ただ、国民から反発の声が出るのは、彼女がその思いをきちんと受け止められていないから。“新生”自民党にふさわしい存在だとアピールできるかが今、問われています」(角谷氏)

 7位は45票を集めた、萩生田光一前政調会長。

萩生田光一氏

「統一教会、加計学園、裏金など、いつも悪さをしているのになぜか重用されている」(46歳・神奈川)

 パーティー券問題で萩生田氏は、5年間で計2728万円の還流を受けたことが明らかになっている。

「萩生田さんは“党人派”と呼ばれる、いわゆる市議や都議を経て国会議員となった、たたき上げ。人情味があって、いろいろなところに目配りができて気の利く人ですから、国民に期待されていた部分もあったのでしょう。それが安倍さんの横についたことで、“甘い汁”を吸ってきた人だと見られてしまうようになってしまった」(角谷氏)

 積み上げてきた信頼も、一瞬で崩れてしまった。

 6位にランクインした河野太郎デジタル相。48票が投じられた。

河野太郎氏

「問題が噴出しているマイナンバーカード利用を推し進めすぎ。何かウラに推し進めたい理由があるはず。信用できない」(59歳・東京)

「マイナンバーカードへの対応が酷すぎ。保険証廃止など、どうして性急に進めるのか理解不能」(52歳・新潟)

 マイナンバーカードの問題以外に、新型コロナウイルス蔓延時には、ワクチンが不足するとわかっていながら、それを公にしなかったと指摘を受けた。官僚へのパワハラ疑惑も報じられ、その人間性に不信感が持たれているよう。

「自分の意見ばかり優先で、人の意見を聞かない人というイメージがあることがよくわかります」(角谷氏)

国民をバカにする鈍感議員や妖怪も

 117票で5位にランクインしたのは杉田水脈氏だ。

差別発言をした問題児の杉田水脈氏は「私は差別をしていない」と主張(本人のSNSより)

「一番不快な人を選んだ。反省の余地がなく、もう二度と顔も見たくない。早く消えてほしい」(35歳・東京)

「差別発言が酷すぎる。議員どころか、一般人でも酷すぎるレベル」(54歳・千葉)

 杉田氏は雑誌へ寄稿した文章内で《LGBTカップルは生産性がない》と主張し、大問題に。ブログに投稿した差別的な内容が、'23年には、札幌と大阪の法務局から人権侵犯と認定されている。非常識な議員の生産性は?

 わが国の代表である岸田文雄首相は4位にランクイン。174票を集めた。

岸田文雄首相

「増税ばかりして議員が不正にお金をもらっているのに少子化対策? 本当にやる気あるのか?」(30歳・愛知)

「まったく日本国民の今の生活状況を理解していない。海外にはお金を惜しみなくばらまくが、国内での災害で苦労している人たちに寄り添っていない。身内に甘い顔ばかりしていて、よくなる兆しが1ミリも感じられない」(50歳・秋田)

 相次ぐ増税に加え、閣僚の辞任も続き、岸田首相の能力が疑問視されている。

「岸田さんはあまり苦しみを感じない人ですよね。自分の人気がないっていう苦しみも感じないけど、人が困っていることにもあまり苦しみを感じない。そういう岸田さんの姿が、国民からの怒りを買っているのでしょう」(角谷氏)

 聞く力よりも、鈍感になれる才能が開花したのか。

 222票で3位になったのは“永田町の妖怪”二階俊博元幹事長

今年で85歳になった“永田町の妖怪”二階俊博氏

「国民の血税を使い、自身のことが書いてある本を何千冊も購入して配っているのが腹立たしい」(37歳・神奈川)

「自民党を裏から牛耳っているイメージがある。お金にも汚いというイメージがある」(47歳・新潟)

 二階氏は、収支報告書に不記載だった計3526万円の大半を書籍代として計上した。

「昭和の政治からまったく変わっていない感じがしますよね。二階さんイコール“権力とお金”のイメージが強く、国民は不信感を募らせている」(角谷氏)

 2位にランクインしたのは、麻生太郎副総裁。522票を集め、3位とは300票もの大差をつけた。

麻生太郎氏

「失言が多すぎるし、官僚の書いた文章を読み上げて、漢字の読み方も知らない。国民を見下している人に政治家の資格はない」(61歳・新潟)

「女性蔑視、上から目線という時代錯誤の頭の中、マフィアのようないでたち、どこから見ても“国民のために働く議員”という姿から遠すぎる」(70歳・鹿児島)

 これまであまたの失言をしてきた麻生氏だが、最近も上川陽子外相の外見についての発言で、批判を浴びた。

国民にはきっと理想の総理像があるはず。しかし、岸田さんも麻生さんも、そこから大きくかけ離れているのだと思います。なにより、国民のために働いているという感じがまったくせず、自分のために政治をやっている人だという印象を受けますよね。国民のために汗をかいているなら、こんな声は出てこないはず」(角谷氏)

 そして最多の得票数となった1位は556票で“落選してほしい議員はいない”だ。

「議員のことを何も知らないので誰に落選してほしいかもわからない」(27歳・愛知)

「誰が落選しても変わらない。でも野党に政権交代はしてほしくない」(51歳・新潟)

「今や個人の問題ではないと思う。誰がなっても変わらない。総入れ替えしてほしいが体制が変わらなければ同じだと思う」(65歳・神奈川)

「どの議員も大差なく、1人が落選したからといって何も変わらない」(56歳・東京)

 回答には、政治への無関心がある一方、諦めの声も多数を占めた。それだけ国民が日本の政治に絶望しているということだろう。しかし、この点について角谷氏からは、こんな言葉が。

政治家から“政治に興味がないし選挙も行かない。そのうえ文句も言わず税金を払ってくれるなら、それは天使のような国民だ。やりたい放題できて最高じゃん”と言われたら、どう思いますか? 失礼だと感じますよね。政治への興味を持てなかったり、諦めたりしてしまうのは、政治と国民の距離が遠く、自分が政治にどう影響しているのか、ピンとこないからだと思うんです。でも、自分の財布から勝手にお金を持っていかれたら怒りますよね? それと同じことが起きているんです」

 そして、こう呼びかける。

「自分たちが政治に対して無力だと諦めているなら、それは大きな間違いです。いい人を見つけるのは難しいかもしれないが、ダメな人なら簡単にわかる。ダメな人を当選させないためにも、必ず選挙に行き投票しましょう。劇的な変化はないかもしれないが、あなたの1票が、少しずつ政治を変えていくんです」

 私たちの手で今の政治家を変えていかなければ、日本の未来は潰える──。

女性2000人が選んだ落選してほしい自民党議員ランキング

1位 いない 556票
2位 麻生太郎(83) 522票
3位 二階俊博(85) 222票
4位 岸田文雄(66) 174票
5位 杉田水脈(56) 117票
6位 河野太郎(61) 48票
7位 萩生田光一(60) 45票
8位 小渕優子(50) 40票
9位 稲田朋美(65) 25票
10位 高市早苗(62) 24票

※アンケートは2月20日にインターネット上のアンケートサイトで全国の18歳以上の女性2000人を対象に実施。過去に失言、不祥事などのトラブルがあった自民党の衆議院議員48人を編集部でリストアップ。選択肢を設け、次の選挙で落選してほしいと思う議員を1人選んでもらったうえで、その理由を自由記述で回答してもらった