村重杏奈 「2023NAILIEAWARD授賞式」('24年1月)

 昨年はバラエティ番組に引っ張りだこで、絶賛ブレイク中の元HKT48・村重杏奈(25)だが、松本人志(60)の性加害疑惑についてのコメントがプチ炎上だ。

 残念ながら村重が、同学年で先にブレイクしている池田美優(25)こと“みちょぱ”のようにはなれないことが、露呈してしまったように感じる。

「そもそも嘘ついてんじゃん」

 まずプチ炎上した経緯を振り返っておこう。

 発端は村重がゲスト出演した2月24日放送のニュース・情報番組『LIVEコネクト!』(関西テレビ)。

 MCを務める石井亮次アナから、松本の性加害疑惑についてのコメントを求められた村重は、次のように持論を展開。

「後輩芸人の方が『性的なことは一切ない』みたいなこと言ってたじゃないですか」

「『絶対ない』って言ってたのに、結局今、松本さんが言ってるのは『強要したわけではない』みたいな。じゃあ、そもそも嘘ついてんじゃん、って」

「でも、そこで『(女性側が)こわい思いをした』って言ってるんだったら、『性的なことが目的とした飲み会ではなかった』とは言ってるけど、なんかもうシンプルに謝ればいいんじゃないかなと思います」

 これらの村重の発言は、松本や後輩芸人の発言や主張の意味をきちんと整理できておらず、事実誤認している部分がある。そのため村重の発言の途中途中で、石井アナが補足説明や軌道修正をしていたが、それでも彼女は主張を変えなかったのである。

 この村重のコメントを報じたネットニュースのコメント欄には、次のように村重発言を指摘・批判する声が目立っていた。

《私もこの番組を観ていたけれど、村重氏の発言は不快なものだった。 松本氏のファンでも何でもないので庇う気持ちもないのだが、客観的に何が真実で何が虚偽なのか、テレビでコメントしている弁護士先生方も想定で話をしているわけで、裁判の行方を見るほか無い》

《真偽不明の中での断定するコメントはテレビの影響を考えても避けた方が無難でしょう。 当初の「事実無根」発言をどう捉えたか、松本さんの真意が分からない中、その捉え方は各々の想像や憶測でしかありません》

《村重さんはSNS等でいわれのない事を書かれてもすぐさま何でも謝るのでしょうか。間違いなく抗議するだろうし、あまりにも酷い場合は法的な手段も使うはず。それと同じ事だとなぜ解らないのだろうか》

村重のロジックが破綻した原因

 改めて整理しておくと、松本や後輩芸人は、「飲み会」が開かれていたことやそこで「性行為」があったことは否定しておらず、「性接待」や「性加害」について否定している。実際、松本所属の吉本興業は裁判に向けて、《「性加害」に該当するような事実はないということを明確に主張し立証してまいりたい》と発表しているのだ。

 つまり論点は「性加害」があったか否かであり、松本側は性加害がなかったと主張して裁判を起こしているわけだが、村重は女性側の主張を鵜呑みにし、性加害があった前提で持論を展開。これから裁判でその部分(「性加害」の有無)の真実を明らかにしていこうというときに、もう「性加害」があったテイでコメントしてしまっていたというわけだ。

 おそらく村重の主張は、松本が1月8日にXで、《事実無根なので闘いまーす。それも含めワイドナショー出まーす。》と投稿したことを軸に展開されている。

 村重はこの松本のポスト内容をもってして、松本が「性行為」自体を否定していると捉えたのだろう。

 たしかにこの時点では、松本がどこの部分が事実無根なのかを明示していなかったので、「飲み会」を否定しているのか、「性行為」を否定しているのか、「性加害」を否定しているのか、不透明だった。

 そのためこの段階では、文脈的に松本が「飲み会」や「性行為」を否定しているとも読めたし、村重以外にもそう捉えた人は少なくなかったはず。だがその後、松本側は「飲み会」や「性行為」は否定せず、「性加害」を否定するというスタンスを明確にしている。

 これらの経緯を整理すると、村重のロジックの破綻の原因は主に2つ。

【1】松本側が当初は「性行為」自体を否定していたと勝手に解釈し、ウソをついていたと決めつけていること

【2】裁判前にもかかわらず、女性側の被害の主張が真実だという前提で語り、松本側に謝罪を求めていること

 この2点が非常にまずいのである。

みちょぱと村重の決定的な違い

 この村重発言のプチ炎上から、筆者はみちょぱがいかに優秀で地頭がいいのかということを、改めて実感した。

 同い年の村重とみちょぱは、ギャル要素があってストレートに過激発言をするところがテレビ業界でウケているという共通点があるが、こういったニュースや事件に対してのコメントでは雲泥の差がある。

 みちょぱは『サンデー・ジャポン』(TBS系)や『中居正広の土曜日な会』(テレビ朝日系)などに頻繁に出演し、昨年3月に終了した『スッキリ』(日本テレビ系)では2年間、曜日レギュラーでコメンテーターに抜擢されていた。

 もう何年もワイドショーに出演し続けているわけだが、的確でありながら忌憚のない彼女のコメント力の評価は高く、発言が炎上したということもほとんどない。

 おそらくみちょぱも村重も、“学校のお勉強”をがんばってきたタイプではないのだろう。だが、みちょぱは“地頭”がいいのだ。そのときに問題となっている事象を客観的に整理し、争点を正確に理解することができるなど、物事の真理を見定める能力が優れている。

みちょぱこと池田美優

 さらに掘り下げると、みちょぱは“自分がわかっていないこと”をきちんと理解できているのも強みのひとつだ。

 みちょぱがわからないことを質問すると、この子の知識力は乏しいと思う人もいるかもしれないが、彼女はロジカル思考が得意で、その議題の問題点を瞬時に理解できるから、発言の筋が通っている。

 対して村重はたぶん、“自分がわかっていないこと”がなんなのかを、わかっていない。

 そのため、みちょぱと村重では、同じようなストレートな過激発言でも違う受け取られ方をされるのである。

 みちょぱは状況をロジカルに整理したうえで、自分の感情や主張を乗せているので正論となるが、村重は論点がわかっていない状態で、自分の感情や主張を言い放ってしまうので、的外れな暴論になってしまうのだ。

――みちょぱと村重は、“忌憚のない発言ができるギャルっぽいタレント”というアウトラインは同じでも、中身がまるで違うということが浮き彫りになってしまった。

 これが村重がみちょぱにはなれない決定的な理由である。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi