3月27日、『斎宮歴史博物館』で斎王の歴史について学ばれた

 愛子さまは3月26日から2日間かけ、大学卒業と日本赤十字社への就職を報告するため、三重県の伊勢神宮や奈良県の神武天皇陵などを訪問された。そのお姿を見ようと各訪問先には老若男女、多くの人々が集まった。

愛子さまに神々しさ

'14年、天皇、皇后両陛下と伊勢神宮を参拝された愛子さま

「伊勢は朝からずっと雨が降って、傘を差しながら待っていましたが、愛子さまが参拝されるときには雲が晴れ、青空まで見えたんです。そうした状況も相まってか、愛子さまに神々しさを感じました」(奉迎した男性)

 愛子さまが伊勢神宮を訪れるのは2度目で、前回は'14年。この時はまだ中学生で、天皇、皇后両陛下(当時の皇太子ご夫妻)と共に参拝された。10年前も愛子さまを伊勢神宮で奉迎したという伊勢市在住の80歳の女性は、

「両陛下と一緒に参拝されたときは、セーラー服を着ていたこともあって、“両陛下のお子さま”というイメージでしたが、今日はとても大人びた印象を受けました。2時間程度待っていたので、少し疲れもありましたが、お姿が見れただけで、疲れは吹き飛びました。“愛子さま”と手を振ると頭を少し下げ、ニコッと笑ってくださり、かわいらしさも感じました」

 三重では伊勢神宮外宮と内宮、『斎宮歴史博物館』、『いつきのみや歴史体験館』を訪問された。

「26日は東京駅から名古屋駅まで新幹線に乗られました。新幹線では、肘掛けに両肘を置き、体勢を崩されて眠っておられました。奉迎には終始にこやかな表情で対応されていましたが、その裏では、事前準備や朝からのご移動でお疲れだったのだと思います」(宮内庁関係者)

 27日に訪れた『斎宮歴史博物館』とは、伊勢神宮に仕えた皇女である斎王に関する歴史が学べる博物館。斎王とは天皇に代わって伊勢神宮の天照大御神に仕えるために選ばれた、未婚の女性皇族のこと。斎王制度は、674年から、600年以上にわたって続き、60人以上の斎王が存在したとされている。

愛子さまが語る理想のパートナー像

3月27日に訪問された『いつきのみや歴史体験館』では、町内の小学生と交流された愛子さま

「愛子さまには『伊勢物語絵巻』の展示をご覧いただきまして、その物語の中では、本来恋愛をしてはいけない斎王が恋に落ちます。初めに“斎王がどういう存在なのか”を説明する映像をご覧いただいたので、恋愛がタブーであることは理解されていましたが、“斎王は恋をしてもいいのでしょうか”と、驚かれていました。“フィクションの世界なので”とお答えしましたが、愛子さまもお若いですから、そういった昔の色恋に関するお話にもご関心があるのかもしれません」(斎宮歴史博物館、学芸普及課の天野英明さん)

 愛子さまは2年前に行われた成年会見で、理想のパートナー像について《一緒にいてお互いが笑顔になれるような関係が理想的》と回答されていたが……。

「斎王は神に仕える身なので恋をすることも許されず、中には恋人と引き裂かれた斎王もいたのだとか。愛子さまもこの斎王制度が現代まで続いていたら該当する可能性があったので、自身を重ねられたのかもしれません」(皇室ジャーナリスト)

『斎宮歴史博物館』で愛子さまをご案内した天野さんはそのお人柄を感じられたそうで、

「愛子さまはとても落ち着かれたご様子で、穏やかな表情をされていたので、私の緊張も次第に解け、普段どおりご説明することができました。

 一部報道で拝見しましたが、博物館の前で愛子さまを出迎えた地元の子どもたちに声をかけられたようです。当初は車を降りて、そのまま博物館に入られる予定だったので、そうしたところにも心優しいお人柄が表れていたと思います」

『斎宮歴史博物館』を後にし、その足で今度は『いつきのみや歴史体験館』へ。沿道で愛子さまをひと目見ようと訪れていた瀬田萌さん(35)は、

「穏やかな微笑みがとても素敵で……。斎宮に来てくださって本当にありがたく思います。かつてこの地で過ごされた斎王さまたちのように、『貝覆い』や『盤すごろく』という遊びを楽しまれているといいなと願っておりました」

『いつきのみや歴史体験館』は平安時代を遊びながら学べる施設で、愛子さまは町内の小学生が体験をしている様子を視察された。

「愛子さまは『貝覆い』『盤すごろく』『卯槌づくり』という3つの歴史体験をご視察され、貝覆いを体験している子どもたちに“何かうまく見つけるコツはありますか”と質問されていました」(『いつきのみや歴史体験館』職員)

愛子さまを前に涙を流した少女

3月26日、伊勢神宮を参拝され、学習院大学卒業と就職の報告をされた

 昔の遊びに触れられたあとは、神武天皇陵を訪れるために、電車で奈良県へ。母親と近鉄・大和八木駅で愛子さまを迎えた13歳の少女は、肩を震わせ感動の涙を流しながら取材に応じてくれた。

「昔からずっと憧れの人で……。実際、拝見したら本当に綺麗な方で思わず涙が出てしまいました。お母さんから“こんな素敵な人がいるんだよ”と愛子さまのことを教えてもらってから、ずっと憧れの方だったので、お会いできて本当にうれしかったです」

 神武天皇陵のご参拝も無事に終え、初の単独地方訪問を務めあげられた愛子さま。象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授は、今回の地方訪問について、

「今回の訪問は大学卒業と就職という人生の区切りのタイミングで、皇室の先祖に報告しにいくという、ある種の通過儀礼だったと思います。おひとりで行かれたのは、今後は社会の一員として働きながら、単独で公務も行っていくという姿勢を国民に示された意味もあるのでしょう」

 愛子さまの堂々たるお姿に河西さんも安堵したという。

「3月26日に名古屋駅で愛子さまを拝見したのですが、正直、まだ硬さや緊張が残っている印象でした。

 しかし、その後の報道で拝見した際、伊勢や奈良では積極的に国民に手を振っていたり、お子さんに話しかけていたので安心しました。やはり、たくさんの奉迎が愛子さまを待っていて、“国民に求められている”という自覚を持てたことで、自信を深められたのでしょう」(河西准教授、以下同)

 次世代の皇室を担う愛子さまに「期待しすぎるのはよくない」と前置きをしつつ、

「13歳の中学生など、次世代を担う方々が皇室に興味を持っていることは大変よい兆しだと思います。4月から宮内庁がSNSを始めますが、当然、若い人に関心を持ってもらう意味合いも強いのでしょう。愛子さまには、次世代の子どもたちと皇室との“橋渡し”的な存在になっていただきたいです」

 国民からの絶大な支持を受けながら、プリンセスは未来の皇室を担っていく。

河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数