左から田中みな実、MEGUMI、Matt

 昨年、タレントのMEGUMI(42)さんが出した美容本が大ヒットし、その中で紹介されたアイテムが飛ぶように売れ、“MEGUMI買い”なる言葉まで誕生した。それを象徴するアイテムが、彼女が「美容の原点」と語っているシートマスク。

 朝晩のルーティンにしているというスキンケアだが、なにがそんなに優れているのか、また正しい使い方や注意点などを、皮膚科専門医でコスメへの造詣も深い山口華央先生に伺った。

確実に成分を届けるならシートマスク一択

「シートマスクは、美容成分をまんべんなく肌に行きわたらせることができるという点がいちばんのメリットです。自分で化粧水や乳液をつける場合は、どうしても塗りむらができてしまうからです」(山口先生、以下同)

 特に、凹凸のある鼻まわりや上まぶたなどは、塗っているつもりでも塗り残しや塗りむらが多いという。

「しかも手で塗る場合は、例えば乳液や日焼け止めでは、指紋の溝や手のひらに4割ぐらいが吸収されてしまい、6割くらいしか塗れていないといわれます。その点、シートマスクならダイレクトに顔じゅうに行きわたるので格段に効果は高いと思います」

 丁寧に指の腹を使って……などといったテクニックもいらず、顔にバシッと広げて貼りつけておくだけでいいので、何かをしながらの「ながら美容」としても便利。ただし、注意しなければならないのは決められた時間をきちんと守ること。

「長く貼っていると美容成分は蒸発してしまいますし、肌の乾燥も招いて逆効果になります。基本的には説明書に書かれた時間を守るのがベストですが、室内の湿度によっては早く乾燥することもあるので乾きを感じたらすぐに外しましょう」

※写真はイメージです

 また、よくありがちなNGが入浴中に使うことだという。

「入浴時は、身体が温まって汗や皮脂が毛穴から出るので、美容成分が浸透するどころか一緒に流れていってしまうんですね。使うのであれば、むしろ入浴後がいちばんおすすめです」

 お風呂上がりは毛穴が開いているうえに、血流がよくなっているので成分が浸透しやすくなる。洗顔後にホットタオルを数十秒顔に当て、毛穴を開かせてから使うのもいい。

 ただ大前提として、肌が荒れているときの使用は禁物。肌のバリア機能が弱っているときは何をしても刺激になって逆効果となってしまうのだ。

 人によって、毎日朝晩2回使う人もいれば、1~2週間に1回など使う頻度もさまざま。どのペースで使うのが最適なのだろう。

「これも商品によって異なります。“毎日OK”と書いてあるものは毎日使っていいですが、“週に1回”と書いてあるものをそれ以上のペースで使うと、“過保湿”といって保湿されすぎてニキビができたりといった害になることもあります」

 必ずしも、毎日使っているから効果が上がる、というわけではないので製品ごとの使用頻度は守りたい。

「使うのは、朝夜どちらでもいいと思いますが、お出かけ前に使うと化粧のノリがよくなるので、何か予定のある日は化粧の前に使うのもいいと思います」

商品選びのポイント

 商品選びでは、個包装や大容量のもの、化粧水や美容液タイプなど種類も豊富で迷ってしまうが、自分の肌悩みや、予算、ライフスタイルに合わせてチョイスを。

「価格を度外視するなら個包装のものがベストだと思いますが、毎日使いたい人にとっては大容量タイプはコスパがよくておすすめですね。

 背伸びして高いものを買って、推奨されている使用頻度より少なく使うくらいなら、プチプラの使い続けられる価格帯のものをしっかり使っていくほうが効果は高いです」

 アラフィフ世代が気になる肌悩み別のおすすめ美容成分も教えてもらったので、チェックして商品選びの参考にしてみて。

ドラッグストアの棚いっぱいに並ぶ、さまざまなシートマスク※写真はイメージです

「それから、意外と知られていませんが、保存場所にも注意してほしいですね。お風呂場や洗面所など高温多湿になりやすい場所は雑菌の繁殖の危険性が。また、冷蔵庫で冷やしたり湯船に浮かべて温めたりといったことは成分の劣化を招きます」

 特に夏場は、ほてった顔に冷たく冷やして使いたくなるが……。

「商品に冷やしてOKと書いてあればいいですが、一般的に化粧品は常温保存が基本です。冷やして使うと毛穴が引き締まる感じがしますが、それも一時的な効果で、毛穴自体が小さくなるわけではありません。

 また衛生的に使うために、大容量タイプでは清潔な手で使い、開封後3か月以内には使い切ってほしいですね」

 春になったとはいえ、肌は冬の間の乾燥を引きずって不安定。花粉症や紫外線の影響も加わって肌が荒れたりシミができやすくなったりとトラブルが起きやすい。

 簡単に肌の土台の底上げが叶うシートマスクを味方にして、ご機嫌な日々を過ごそう。

美のカリスマたちの活用テク

年々若返る・MEGUMI流

 朝晩2回、毎日活用。3~5分置いて、肌の奥が急にひんやりしてきたらそれを合図にはがす。ながら美容で、長くても10分以内に外す。

山口先生コメント
「頻度と時間は製品の説明書に沿っているのならOK。製品の説明を守るのがベストです。なお、“肌の奥がひんやりする”という感覚は玄人レベルのため、素人はマネしにくいかもしれませんね」

美容男子のアイコン・Matt(29)流

 洗顔後、スチーマーを当てて毛穴を開かせてから化粧水や乳液を入れ込み、その後シートマスクをオン。夜使うシートマスクはこっくりと濃厚なものに。

山口先生コメント
「スチーマーを浴びると、入浴ほどではないですが肌がほどよく温まって、血行がよくなったり毛穴が開きやすくなります。そのうえでシートマスクをつけると成分の浸透がよくなるのでおすすめです」

美の伝道師・田中みな実(37)流

 化粧水などで整えた後、シートマスクを10分し、その後乳液をマスクの上からたっぷりとすき間なく塗る。さらに裏返して乳液を塗った側を10分装着。名づけて“乳液仮面返し”なる美容法を実践。

山口先生コメント
「皮膚科で密封療法という治療法がありますが、なんでも密封することで成分の浸透はよくなります。この場合も乳液で密封するため、手で塗るよりも成分の浸透はアップ。ただ、大量の乳液が必要になるためコスパ面では△」

山口華央先生●皮膚科専門医、美容皮膚科・レーザー指導専門医。ルーチェクリニック銀座院医師。一人ひとりの肌悩みに寄り添う丁寧な診察・施術に定評がある。YouTubeでさまざまな美容情報の発信も行っている。

教えてくれたのは……山口華央先生●皮膚科専門医、美容皮膚科・レーザー指導専門医。ルーチェクリニック銀座院 医師。一人ひとりの肌悩みに寄り添う丁寧な診察・施術に定評がある。YouTubeでさまざまな美容情報の発信も行っている。


取材・文/荒木睦美