伊藤沙莉

 4月1日から放送されているNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』。日本初の女性弁護士の1人である三淵嘉子さんをモデルとした物語で、主人公の猪爪寅子役を、伊藤沙莉が演じている。

「聡明な女学生の寅子は、女性はお見合い結婚をして家庭に入ることが幸せとされていた時代に、そうした女性の生き方に“はて?”と疑問を抱いていました。そのため、母親役の石田ゆり子さんや父親役の岡部たかしさんが結婚話を進めようとしてもうまくいかず……。ある日、仲野太賀さんが演じる下宿人に弁当を届けるために訪れた大学で法律に出合い、弁護士への道を歩み始めます」(テレビ誌ライター、以下同)

“家なし生活”の苦労

 無事、大学の女子部に進学することになり、法律を学び始めた寅子。朝ドラとしては珍しく、主人公の幼少期が描かれないことでも話題となった。

そのぶん序盤からテンポよく物語が展開していったことが、視聴者に好評です。第1週の平均世帯視聴率は16・2%を記録しての好スタート。寅子がたびたび発する“はて?”という口癖は、早くも今年の“流行語大賞候補”ともいわれています」

 伊藤は『虎に翼』について、4月2日発売の『週刊女性』インタビューで、

「確実に私の代表作になると思いますし、私の人生を描くうえでは絶対に外しちゃいけない期間だなと思っています」

 と語っていた。大きな覚悟を持って朝ドラに挑む彼女は、人生のほとんどの時間を女優として過ごしてきた。

「伊藤さんは現在29歳ですが、芸能界入りしたのは9歳のとき。その芸歴は21年目になります。2005年には日本テレビ系の大ヒットドラマ『女王の教室』に、天海祐希さんが担任を務めるクラスの生徒役として出演し、当時11歳ながらも注目された1人でした」(スポーツ紙記者、以下同)

 しかし、それまでの歩みは決して順風満帆ではなかったようで……。

「芸能界に入る前に“家なし生活”を送っていた時期があったんです」

 いったい、何があったの?

幼少期の伊藤さんは、父親の仕事の関係で、伯母の家に家族で暮らしていました。しかし、伊藤さんが2歳のときに父親が蒸発。その家を出なければならなくなり、伊藤さんは1人で母親の友人宅に預けられたそうです

 伊藤の姉と、兄であるお笑いコンビ『オズワルド』伊藤俊介は別の知人宅に預けられたという。

「その間に母と伯母が必死で働いて、どうにか3か月ほどで新たな住まいが見つかったそうです。その家は狭いボロボロのアパートでしたが、母と伯母、子ども3人で暮らしたんだとか。小学2年生ごろまでその生活が続き、やっと団地に引っ越した際には、アパートよりも広く豪華に感じて“豪邸だ!”とハシャいだといいます」

地元での評判と学生時代の沙莉

 その後も、伊藤は母と伯母の手で育てられた。

「主にお母さんが働きに出て、伯母さんが子どもたちの世話や家事を担当していたようです。お母さんはいつも軽トラックで仕事に行って、ペンキまみれのつなぎ姿で帰宅することもあって……。女手だけだったので大変だったと思いますが、礼儀はしっかり教えていて。沙莉ちゃんも俊介くんも、会うといつもきちんと挨拶をしてくれました。今では2人ともすっかり人気者になって、このあたりの住民の自慢です」(伊藤の地元住民、以下同)

 今は地元を離れてはいるが、たびたび帰省している。

「大人になっても家族仲がとても良く、伊藤さんが帰省するとお母さんや伯母さんと近所のお店に外食に行くこともあるそうです。よく行く蕎麦屋さんでは、家族といるときでも、声をかけられると快くサインや写真の撮影に応じてくれるんだとか

『虎に翼』公式インスタグラムで公開されたポスターでは、伊藤沙莉が法服を着用している

 子役をやっていたこともあり、地元では昔から知られた存在だったという。

近所では“小学校の学芸会でも演技が上手だった”と、評判になっていました。昔から心の強い子で、中学では強気な“ボス的存在”だったとも(笑)

 高校でも人気者で、

テレビで見る姿と変わらない明るい性格とかわいいルックスで、とにかく“爆モテ”していました。あまり話したことがない同級生にもすごく気さくに話しかけていて、かなりフレンドリーでした」(伊藤の知人)

 しかし、当時の伊藤は“芸能界引退の危機”にあったそうで……。

高校3年生くらいのとき、仕事を辞めようとしていたんです。そのころ、あまり仕事がなかったタイミングで……。それでも、迷いながらも、女優をやり続けるという道を選択したのです」(芸能プロ関係者)

翼を授けるから揚げランチ

 その後も、地道に活動を続け、2022年に放送されたドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)にはメインキャストの1人として出演、2022年公開の映画『ちょっと思い出しただけ』では主演を務めるなど、活躍の場が増えていった。そして、ついに朝ドラヒロインに上り詰めた。

「制作サイドは、伊藤さんがどこか“ずっと見ていたいと思わせる雰囲気”を持っていることや、持ち前の明るさが前向きな性格の主人公にピッタリだということで、伊藤さんにオファーをしたそうです」(前出・テレビ誌ライター、以下同)

 撮影は2023年9月28日からスタート。

「初日は、法律を学ぶ大学のシーンなどの撮影が行われました。クランクインの際には“長期間の撮影になるので、自らが大きな軸となって、みなさんも自分自身も楽しめるように心がけたい”とコメントしていました」

 およそ半年が過ぎたが、しっかりとこの言葉を体現していて……。

「天性の明るい性格で、いつも現場の雰囲気を盛り上げています。休憩中には、関係者数人と連れ立ってNHK内の食堂でランチを食べることも。水はセルフサービスなのですが、あるときには伊藤さんが率先して、同席する全員分の水をくんでいました」(テレビ局関係者、以下同)

伊藤沙莉のインスタグラムには、実の兄・オズワルド伊藤俊介(左)と劇中の兄・上川周作(右)との写真も

 また、1年以上におよぶ長期間の撮影を乗り切るため、体調管理も徹底。

健康のために“腸活”も意識しているんだとか。でも、ランチにはから揚げなどの、ガッツリ系のメニューを食べて、体力をつけることも忘れていないようです

 から揚げランチで“翼”を生やした伊藤は、どこまでも羽ばたく!?