撮影/佐藤靖彦
撮影/佐藤靖彦

「初めての時代劇は、得るものがとても多いです。現代とは生活習慣や言葉遣い、すべてが違う。その時代を演じられることはとっても貴重で新鮮な時間です」

 9日スタートの木曜時代劇『かぶき者 慶次』(NHK総合、毎週木曜夜8時放送)に、戦国一のかぶき者と言われた前田慶次(藤竜也)の娘・佐乃役で出演する西内まりや。

「時代劇の女性といえば、おしとやかで男性を立て、一歩後ろに下がっているイメージでしたけど、佐乃は意思がはっきりして活発。おてんばな面もあるけど、礼儀作法やきれいな所作(しょさ)は身についている。そのギャップが魅力なので、演じるうえでも気をつけています」

 クランクイン前に所作や殺陣(たて)の指導を受けたが、慣れない正座には、自宅のフローリングで自主練習をした。

「最初は数秒しかできなかった正座がカットがかかってもそのまま座っていられるようになりました。締めつけがきついと思っていた着物も着ているほうがラクだと思えるようになって、だいぶ身体にしみついたと思います。言葉遣いも丁寧になって、普段でも“母上”“姉上”と呼んじゃうことがあります」

 薙刀(なぎなた)で殺陣にも挑戦した。「まさにやりたかったこと」と声を弾ませる西内は、バドミントンで地元・福岡県の大会で優勝経験があり、運動神経のよさは折り紙つき。

「バドミントンは足のつま先に重心をおいてピョンピョンとハネながら構えるけど、薙刀は足を地につけてどっしり構えないといけない。最初はハネる癖が出て笑われたけど、今は慣れてきていろんな技を覚えたいです」

 時代劇出演は目標のひとつで、そのためにピアスをあけずにいた。女優だけでなく、10代女子が“なりたい顔No.1”と言われる人気モデルとして活躍中で、昨年は歌手デビューし、日本レコード大賞最優秀新人賞に輝いた。

 5月6日には、自身初の作詞作曲によるサードシングル『ありがとうForever…』をリリースする。

“3足のわらじ”は多忙を極め、密着番組『情熱大陸』では、「幸せだけど苦しい。でも今を楽しまなくちゃ」と涙で胸のうちを吐露した。

「家族にも言えなかった弱音を吐いたら、“本音が聞けてよかった”“人間らしさが見えた”“勇気をもらいました”というファンの声に、肩の荷が下りてすっきりしました。いつか3つから吸収したことがひとつになって、ほかの人にはできない何か大きなものが生まれるかもしれないと思っています」