
元タレントの中居正広氏をめぐる一連の問題で、お笑いコンビ『とんねるず』の石橋貴明は所属事務所を通じて謝罪のコメントを発表。その中で、新たに咽頭がんも併発していたことを明かした。
《まず今闘っている病気についてですが、私のYouTubeチャンネルにおいて、初期の食道がんとお伝えしましたが、実際は、咽頭がんも併発しておりました。現在は、無事手術を終えましたが、快復までは、今しばらく時間がかかる見込みです。集中治療室から一般病棟に戻ったのが一昨日であり、その後私に関する報道を知りました》
フジテレビに関する第三者委員会の調査について、病気の発覚と重なったことで対応することが出来なかったと謝罪している。
中高年男性に多いがんの一種
咽頭がんは、鼻の奥から喉頭までを指す『咽頭』と呼ばれる部位にできるがん。できた場所によって、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分けられる。
主な原因とされるのが、過度の飲酒と喫煙。中咽頭がんでは『ヒトパピローマウイルス(HPV)』の感染も発症に関係することが知られている。また『フラッシャー』と呼ばれる、飲酒時に顔が赤くなる体質の人が長年飲酒を続けると、リスクが高まるといわれている。
がんの進行により、声のかすれ、飲み込みにくさ、しこりの出現、さらには味覚の異常や唾液分泌の低下といった後遺症が長く続くことも少なくない。
咽頭がんの見つかりにくさ、そしてその後の闘病の厳しさを物語るのが、2020年に中咽頭がんと診断された、お笑いコンビ・ペナルティのワッキーさんの体験だ。
「首元にゴルフボール大のしこりを見つけたのですが、ほかに自覚症状はなく、痛みもないので気にしていなかったんです。でも兄や姉に見せた途端、ふたりが顔面蒼白になったものだから恐怖を覚えました」
と、以前『週刊女性』の取材で語ってくれた。
ヨーグルトは泥を食べている感覚
大学病院での検査の結果は『原発不明がん』。つまり、がん細胞はあるが、出発点となる“本丸”のがんがどこにあるのかがわからなかった。
「喉の奥の組織を調べたり、PET検査もして1か月ほどかけてもわからず、原発不明がんと診断されました」
妻と相談し、がん専門病院でセカンドオピニオンを受けたものの、やはり原発は不明のまま。首のしこりを切除する予定だったが、手術直前の診察で、担当医が喉の奥にわずかな異常を感じ取り、再度検査を行った結果、中咽頭がんが判明したという。

「先生の経験や勘、愛情でギリギリのタイミングで見つけてくれてすごいと思ったし、紹介してくれた大学病院の主治医にも、すべてのめぐり合わせに感謝しましたね」
ワッキーさんは切除手術を回避し、抗がん剤治療3回、放射線治療を30数回受ける選択をした。2か月におよぶ入院生活。だが、治療の副作用は想像以上だった。
「何を食べても良かったので、お気に入りのみそラーメンをよく食べていたんです。でも10日ほど過ぎたころ、急に味がわからなくなって。ヨーグルトなんて泥を食べている感覚で、そのうち気分も落ち込んで……。放射線を浴びると喉が痛くなり、ごはんも食べられなくなりました」
退院から4年が経つ今も、味覚は5割、唾液は3割しか戻らないという。
「何を食べてもうまいと思えないし、好きだったラーメンも違う味に感じたり。お医者さんいわく味覚が今より落ちることはなくても、5割のままがずっと続くかもしれないし、100%元に戻ることもないそうです」
咽頭がんは初期の段階では自覚症状がないことが多く、症状が進行してから発見されるケースは少なくない。定期的な検診や、気になる症状がもしあればかかりつけ医へ相談を。