オスマン・サンコン

「僕はもう日本人だよ(笑)」

 こう語るのは『笑っていいとも!』(フジテレビ系・以下、『いいとも!』)をはじめ、かつて多くのバラエティー番組に出演したギニア共和国出身の外国人タレント、オスマン・サンコン。実はギニア外務省に勤めていたエリート外交官だった。彼はなぜ、日本のテレビ番組に出演するようになったのか。

休職中に『いいとも』合格

「'72年にギニア外務省に入省して、日本にはギニア大使館をつくるために来日しました。大使館には8年間在籍して、その後はアメリカのワシントンに渡りました。そして、'84年に再来日したの。実はそのとき、最初に結婚した日本人の奥さんの出産に立ち会うため、休職して再来日したんですよ」

 サンコンはこの休職を利用して『いいとも!』の出演者オーディションに応募した。

「正直、まったくテレビに興味はなかった。日本の人たちにギニアという国を知ってもらういい機会だと思って応募したんです。そして当時、日本の人たちは黒人に対して“怖い”というイメージを持っているようだったから、それを払拭したかったのも理由のひとつかな」

『いいとも!』のオーディションは見事合格。出演時の視聴率が評価され、レギュラーメンバーにまで抜擢。さらに、異文化交流や教育に関する講演会のオファーが急増したことで、日本国内を東奔西走することになる。

「東京だけでなく、関西のテレビ番組への出演オファーも増えてきたの。それに地方の講演会の仕事もあって、本当に忙しかった。仕事の合間に点滴を打たないと身体がもたないくらい。当時のマネージャーまで病気で倒れちゃってね……」

教育普及の慈善活動も

 現在、76歳になったサンコンは、いまだ現役。ギニア駐日大使館の顧問を務めながら、慈善活動に奔走している。

「医療法人の徳洲会グループの創設者である、徳田虎雄先生から透析機器をいただいたの。新品を10台だよ! ギニア人は肥満体形が多くて、糖尿病患者が多いの。それなのに、透析機器が3台しかなくて、助けられない命もあったから本当にありがたかった」

 今回のインタビューには、サンコンの妻であり、『日本ギニア友好協会』の会長である、北山みつき氏にも話を聞くことができた。

オスマン・サンコンと、妻であり『日本ギニア友好協会』の会長である北山みつき氏

「ギニアの子どもたちにランドセルを寄付する活動を行っています。ランドセルを手にする子どもたちは、目がダイヤモンドのように輝いています。私たちの間に子どもはいませんが、ギニアの子どもたちが私たちの子どものように感じています。しかし、ギニアへの輸送費は高額なんです。少しでも支援していただく方が増えたらうれしいです」

 サンコン夫妻の慈善活動は、ギニアの教育普及にまで広がっている。

「日本に来て、たまたま有名になって、お金をいただけるようになって何がしたいかなと考えたとき、教育だと思いました。日本の仕事がきっかけで、僕の生まれた町であるボッファに『サンコン小学校』を建てることもできた。僕の好きな言葉は“義理と人情”。日本という国にとても感謝しているし、愛しています!」

 サンコンの人柄が生んだ“縁”がギニアの医療と教育普及につながっている。