「そうなるんじゃないの」と予想していたファンやメディア関係者は多かったものの、突然の発表に驚いた人は少なくなかっただろう。国民的アイドルグループ『』が1年後、2026年5月末をもって活動を終了すると発表した。

2015年の“事件”

 1999年に結成された嵐だが、2020年12月末からグループとしての活動を休止していた。その理由は正式に発表されてはいなかったが、

「大野智さんが“休みたい”という意思を示しているといった話が流れましたが、休みたいというより、もうアイドルとしての活動はしたくない、もっと言うなら、芸能人であることが嫌になったからだということが理由の1つのようです。メンバーが1人抜けても、残ったメンバーで活動を続けるグループは、これまでの旧ジャニーズでいくらでもありました。しかし、嵐は特に団結力が強かったので、大野さん抜きで活動することは考えられなかったのでしょう」(スポーツ紙・ジャニーズ担当記者)

 大野の“辞めたい”という気持ちが強くなったのは、ある「事件」からだという。それは今から10年前、2015年のこと。その年の9月19日、嵐は宮城県で東日本大震災復興支援コンサート『ARASHI BLAST in Miyagi』をスタートさせたのだが、コンサート開演前に大野が謝罪会見をするという、前代未聞の出来事が起きた。

 コンサート開始前日の18日に、『FRIDAY』が大野とアイドル歌手の半同棲を報じたのだ。ジャニーズタレントの熱愛報道など珍しいことではなく、それまでも数えきれないほど報しられている。所属タレントの女性関係が報じられた際の、旧ジャニーズ事務所の対応はいつも決まっており、コメントなど出すことはなく、会見も開くことはなかった。

 ところが、大野に対して事務所は異例の対応をしたのだった。大野はマスコミの取材に応じ、「僕の軽率な行動で、ファンのみなさまを悲しい気持ちにさせたことを反省し、申し訳ない気持ちでいっぱいです」とファンに謝罪。相手の女性についても、「写真に載っていた方は友人の1人で、同棲という事実は一切なく、お付き合いもしてません」と交際自体を否定し、「誤解を生む行動を取ってしまったことを本当に反省してまして、もう会うことも一切ございません。お騒がせしてしまって申し訳ございません」と重ねて謝罪した。

大野智を取り巻く環境も激変

 アイドルではあるが、当時彼は34歳の立派な大人だ。恋愛はごく普通のことで、なぜファンに、そして世間に謝罪しなければならないのか……そんな思いを抱いても不思議ではない。さらに、会場では「裏切り者!」と書かれた団扇を掲げたファンもいたというから、自分の置かれている立場に嫌気がさすのは当然だろう。

「2019年、活動休止を発表したときの会見で、大野さんは休止を考え始めた具体的な時期について“だいたい3年くらい前から”と言ってました。その時期に何かしらの要因があったと考えたら、謝罪会見のことだと推察できます。それが、すべての根底にあるのだと思います」(ワイドショースタッフ)

2024年6月、複数の工事車両や関係者が出入りして、建設が進められていた大野智が携わるホテル

 そして、活動を休止している間に、彼らを取り巻く環境も大きく変わった。ソロ活動が軌道に乗ったメンバーは、グループとしての活動に対しモチベーションが上がらなくなったという。

「二宮和也さんは俳優としても活躍し、冠のついた番組も持っている。松本潤さんは俳優としてのポジションを築き、櫻井翔さんも今やキャスターとして活躍しています。実は、二宮さんも大野さんと同じような経験がありました。奥さんとの交際・結婚報道が出た時に反発するファンが多く、SNSが大荒れに。ファンの顔色を伺う必要がない俳優のほうがずっといいと思うようになったといいます。メンバーがグループとしての活動に積極的になれない以上、こうして活動終了を迎えるのも仕方ないことですね」(前出・スポーツ紙記者)

旧事務所の“協力”は

 メンバーそれぞれの事情もあるのだが、環境の大きな変化の1つに、自分たちを育ててくれた事務所が消滅してしまったことがある。それによって『嵐』がグループとして活動することが物理的に難しくなっていることも考えられる、というのは大手芸能プロの幹部。

「いま、彼らがグループで出演できるようなテレビの音楽番組は数えるほどしかありません。嵐として活動するとなると、ライブやコンサートしか考えられないのですが、そうなると大変な手間がかかるのはご存じのとおりです。特にツアーとなると、その労力は莫大です。これまでは、すべて旧ジャニーズ事務所が仕切ってくれていましたが、いま彼らは独立して個人事務所ですから、すべて自分たちでやらなければなりません。業務提携している『STARTO』社に依頼することも考えられますが、どちらにしろ、ジャニーズ事務所でやっていたようなコンサートツアーをプロデュースできるだけの人材がいるのかどうか……」

『嵐活動休止表明会見』に登場した5人。見ている方向は違えど、心はひとつ

 グループ活動が主体となるコンサート開催が今後は難しくなり、音楽活動ができなくなるのも“終了”を迎えた理由の1つではないかという。

 そして、それに伴って不安視されているのが、最後のコンサートツアーが思うような形で実現できるかどうかということ。

「さすがに中止ということはないでしょうが、現在の体制でファンが満足できるクオリティのコンサートができるのか、業界内で心配する声があるのは確かです。そのため、プロデュース能力に長けているといわれた滝沢秀明さんや堂本光一さん、あるいは旧事務所のスタッフに力を借りるのではないかという話も出てきています」(同・大手芸能プロ幹部)

 旧ジャニーズが力を貸すとなれば、これほど力強いことはないだろう。ファンの期待を背負って、最後まで無事に駆け抜けることができるか――。