写真左から工藤静香、YOU

 65歳にして、いまだ現役。10年以上1人で年間1億円以上の売り上げを叩き出し、サロン経営者でもあるのがMISS ESSENCE MAYUMIさん。そんな彼女が、自身も大人女性だからいえる、髪の悩みの解決法とNG行為をズバリ提言します!

劣化や老け見えの理由はほぼ“髪形”

 SNSを時折騒がせる、女性芸能人の「劣化」報道。《誰かわからなかった》《疲れてる?》《シワがすごい》などなど、かつて若さや可愛らしさを誇った彼女たちに、一気に突きつけられた老いの現実……。

 書き込む人もおそらく、彼女たちを見続けた自分にも同じ波が押し寄せているのではないかという不安もあるのだろう、ついつい辛辣になってしまうようだ。

劣化や老け見えの理由はほぼ“髪形”です。とはいえ人間も含めた生物はみな老化するもの。今の自分を素直に受け入れて、自分を“魅せる”方法を考えれば、年齢を重ねるのは少しも怖いことではありません

 こう語るのは、美容室『MISS ESSENCE』オーナーで、現役ヘアデザイナーのMAYUMIさん。カット料金は6万500円と高額ながら連日予約が絶えず、年齢や骨格に合わせたヘアスタイルの提案を得意とすることから、別名“似合わせの女王”とも。

MISSESSENCEMAYUMIさん

 そんなMAYUMIさんが近年残念に感じているのは、韓国風のヘアスタイルが流行していることだという。

『劣化した』とネットニュースで取り上げられている芸能人の方々の写真を見ると、みなさんおしなべて直線を基準としたヘアスタイルをしているんですね。これは、美形で小顔な若い韓国の芸能人や、AIが作成した美男美女クラスでないと似合いません。“流行をそのまま取り入れる=若く見える”ではないのです」(MAYUMIさん、以下同)

 MAYUMIさんは、直線のカットや薄い前髪、オイルでなでつけたようなボリュームダウン、耳にかけたりして顔をすべて出す……といったヘアスタイルは「加齢の変化を気にする大人女性はやってはいけない」と断言する。

 実際、今年になって宮沢りえや、小泉今日子が「劣化した」と、SNSで話題になった。それについてもMAYUMIさんはこう分析する。

「おふたりとも直線だらけの髪形で、宮沢さんの前髪は額が透けて見えるようにつくる“シースルーバング”でした。このスタイルは、大人がすると毛量の薄さの印象につながり、かえって老けて見えます。顔の骨格に合わせてデザインしていない前髪だから、より顔の欠点が強調されやすい。

 そして、両サイドの髪が頬や顎のあたりでカットされていると、カットされたその部分に目がいくため、頬や口元のたるみ、ほうれい線が強調されてしまいます

 小泉の場合は顔まわりの白髪を隠さなかったことも話題となったが……。

白髪が老け見えにつながったのではなくて、顔を全部出している状態がよくなかったのだと思います。顔を全部出すヘアスタイルをされていますよね。こちらもすべて直線で成り立っていますから、頬骨がやたら目立ってしまい、老けた印象に見えてしまいがちなのです

大人女性の悩みに寄り添えないことも多い

 MAYUMIさんは「美容師が提案する流行の髪形を安易に受け入れないで」と語る。

若い美容師や男性の美容師は、流行は知っていても大人女性の悩みに寄り添えないことも多いのです。『キリッとしている=大人』くらいの認識しかないから、直線的な髪形や黒髪をすすめたりする。それがキツさや老けにつながっていることに気づいていないんですね

写真左から中村アン、木村佳乃

 木村佳乃や中村アンなどのような、直線でボリュームを抑えた短めのボブを思い浮かべればわかりやすいという。

髪を耳にかけるスタイルは、服でいえば二の腕に悩みを抱えているのに袖をまくり上げている状態です。頬骨や頬のコケ、肌のアラなどをあえて目立たせているわけです。また、額やこめかみ、頬骨あたりなどに髪を押さえつけて隠すのも『髪が少ない』というイメージに寄ってしまい、老け見えします

 よく「ひし形のシルエットが美人に見える」「顎まわりにローレイヤーを入れるとエレガントに見える」などといわれているが、これには落とし穴があるとMAYUMIさんは指摘する。

人は年を取るとエラ部分の肉が下がり、顔が四角くなります。その状態で無理やりひし形のシルエットをつくると、レイヤーが下のほうにいくので、顔の肉がさらに下がったような印象になり、一気に老けて見えてしまうのです

 また、よくやりがちな「ひとつ結び」も「大人女性には危険極まりない行為」とも。

若い人の間で、韓国風の無造作なまとめ髪が流行していますが、髪をまとめたことによって老いがむき出しになった大人女性のおくれ毛から出るのは、フェロモンではなく生活感のみです。若さを演出しようなんて、ゆめゆめ思わないように!

 確かに、無理やりな若づくりほどイタいものはない。むやみに流行に乗る怖さを覚えておきたいものだ。

“加齢”を“華麗”に

 MAYUMIさんによると、「年齢を気にするなら、髪形に曲線とボリュームづくりを意識すること。そして、自分と正直に向き合うこと」と語る。

そもそも現代人の私たちは、普段は洋服を着ているわけですから、西洋人風のヘアスタイルを目指すべきなのです

 顔まわりに曲線があれば、年齢による変化もカバーしやすい。

一度鏡で自分の顔─、真正面からフェイスライン、斜めから顎下と首のたるみを確認してください。それをいかに髪形のシルエットでカバーするかなのです。そのベースがカットで、次に頭のハチの部分にボリュームを出すことを意識することです

 考え方の参考になるのはYOUのヘアスタイルのシルエットだという。

ご自身で髪を切っているそうですから、隠したいところを隠した、こうなりたい自分というのを踏まえていらっしゃるわけです。まさに曲線とボリュームがふんだんにありますし、前髪や両サイドなど隠したいところを上手にカバーしていますよね。現在のご自身と正直に向き合っているのだと思います

 また、自分と正直に向き合い、自己プロデュースが上手な芸能人としてこの人も評価する。

「工藤静香さんです。大人女性にとってイタい髪形の一つである、ストレートのロングのイメージが強い彼女ですが、コンサートのときなどはボリュームを上手に出されていますよね。

 白髪との向き合い方についてもSNSで発信したりと、若さに固執しているわけではなく、今年ならば『55歳の工藤静香』を上手に演出していると思います

 白髪といえば、大人女性のヘアカラーの悩みについてこんなアドバイスを。

アジア人の肌の色だと白髪の色は浮いてしまうので、一気にグレイヘアにするとおしゃれよりも“老い”のイメージに直結してしまいがちです。かといって真っ黒にすると肌の老化も目立ってキツいイメージになります。むしろ肌の色に合わせたハイトーンのカラーにチャレンジされたほうが、白髪が伸びても目立ちにくいし、顔まわりも華やいで見え、顔の劣化をぼやかすことができます

写真左から森高千里、石田ゆり子

 そんなMAYUMIさんが思う、素敵な髪形の芸能人の名前を挙げてもらった。

「みなさんに支持されているとおり石田ゆり子さん、森高千里さんあたりでしょうか。最近ハッとしたのは、松たか子さんと、元マラソン選手の高橋尚子さん。みなさん、前髪や両サイドの生かし方、ボリュームや曲線のつくり方がとても素敵だと思います。

 特に森高さんの場合、髪形はアイドル時代とまったく違うのに、トータルで『変わっていない』という印象を受けます。加齢を上手に受け入れていますよね。あと、天海祐希さん。面長なので顎下までのボブがお似合いだと思います。ただ、お顔がシャープなこともあり、ストレートよりも少しカールを入れたほうがエレガントさが増すと思います

 辛辣なようでありながら、まさに的確。自らも大人女性のひとりとして、髪の悩みに向き合い続けているからこそのMAYUMIさんの分析力はさすがだ。

髪形しだいで、“加齢”を“華麗”につなげることができます。そのお手伝いをできる限り続けていきたいですね

取材・文/木原みぎわ

MISS ESSENCE MAYUMIさん 1959年生まれ。コーセー美容専門学校理事評議員、早稲田大学招聘研究員、米国NLP 協会認定コーチ。1989年、名古屋に「MISS ESSENCE」をオープン。1995年に東京・青山に2号店を出店。カットだけで小顔でツヤ髪にする流線型シルエット『MAYUMIカット』を発案。国内外の講師活動は20年以上で受講生は2万人を超える。カットのみで10年連続年間1億円の売り上げも残し、今もなお現役で活躍中。人気漫画家、桜沢エリカ作『こまどりの詩』(主婦と生活社)に本人役で登場。2021年、「第7回美容・アンチエイジング部門 プラチナエイジスト賞」を受賞。著書に『加齢を華麗に変える!MAYUMI美髪メソッド』、『人生を楽しむお洒落のコツ』、『50歳からの髪と頭皮のお悩みQ&A』など。YouTube、TikTok(「MAYUMISM」)で、辛辣ながら愛のあるアドバイスを発信中。