白鵬

 2025年6月2日、宮城野親方(元横綱白鵬)の退職届が日本相撲協会の理事会で受理され、退職が正式に決まった。当初、協会側は退職届の受理を保留していたが、最終的に9日付けで受理する方針を明らかにしている。

宮城野親方に厳しすぎる処分

2017年、大相撲名古屋場所を観戦した藤井聡太は白鵬と握手

退職のきっかけは、昨年2月に宮城野部屋内で発生した暴力事件です。日本相撲協会は、この事件の報告を怠ったとして、宮城野親方を『委員』から『年寄』へ2階級降格。さらに減俸処分を科しました。『年寄』というのは親方の中にある階級の最下級にあたります」(スポーツライター)

 本来であれば、この処分で十分であったはずだ。ところが日本相撲協会はその後、師匠としての自覚の欠如や部屋の運営能力に問題があるとして、宮城野親方から“無期限”で師匠の立場を外した。その結果、宮城野部屋は閉鎖状態に追い込まれている。

 この措置により、当時19名いた弟子たちは伊勢ヶ濱部屋へ転籍。あわせて、宮城野部屋を支援していた後援会なども全て解散を余儀なくされた。

 なお協会側は、「指導姿勢などに改善が認められれば部屋を再開できる」としていたが、その「指導姿勢」の基準については一切明らかにしていない。

「6月2日に日本相撲協会が発表した文書では、『宮城野には、師匠としての素養、自覚が大きく欠如していることが確認されたことから、宮城野部屋力士らを伊勢ヶ濱一門で預かり、師匠・親方としての指導・教育を行うことになり、現在まで、伊勢ヶ濱部屋での預かりとなっていました』と記されています。しかし、問題なのは日本相撲協会が公益法人であるにも関わらず、その対応が不透明な点です。処分に一貫性や公平性が見られず、ここまで厳しい処分を課せられた前例はありません」(前出・スポーツライター)

元貴乃花以来の退職

 この一連の処分に対し、ネット上では批判の声が相次いでいる。

《白鵬いじめが酷すぎる》

《今の相撲協会の在り方には疑問しかない》

《春日野部屋は2度も傷害事件あったのに許されて宮城野部屋閉鎖はあかん》

《根っからのいじめ体質だな》

《元力士だけだから、自分たちの異質さが分からないんだろう》

《貴乃花が追放されたときとまったく同じ》

 など、協会の姿勢を厳しく非難する投稿が目立った。

 6月2日の時事通信の報道によれば、宮城野親方は不当な扱いを受けているとの思いから「協会は俺を辞めさせたいんでしょ」と漏らしていたという。

 元横綱の退職は、2018年9月の元貴乃花以来だ。現在、平成以降の元横綱で角界に残っているのは、伊勢ヶ濱親方(元旭富士)、武蔵川親方(武蔵丸)、音羽山親方(鶴竜)、二所ノ関親方(稀勢の里)、照ノ富士親方(照ノ富士)の5人のみとなった。

 このままでは、日本の国技としての信頼すら揺らぎかねない。はたして日本相撲協会が「品格」を持つ日は訪れるのだろうか。