6月5日発売、任天堂の新型ゲーム機『NintendoSwitch2』(公式HPより)

 6月5日、新型ゲーム機『Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ2)』が任天堂より発売された。世界累計売上1億5000万台を誇る『Nintendo Switch』の後継型だけに、発売前から争奪戦が起きていた“プレミアムゲーム機”だ。

 購入希望者が殺到する混乱が予想され、公式サイトの他、各量販店でも一般的な店頭販売ではなく抽選販売方式が行われたスイッチ2。現在も『マイニンテンドーストア』では、第4回抽選販売を応募条件付きで受け付けている。

 また任天堂は、ネット転売を含む不正な出品行為の防止策として、『メルカリ』や『Yahoo!オークション』といった、転売の市場になりうる各サービスにも協力を要請。昨今では米価格高騰にも便乗して高値をつける、社会問題にもなっている「転売」に「NO」を叩きつけた。

 ところが発売日の5日、時計の針が回った途端に『メルカリ』など、転売対策を講じたはずのフリマアプリで大量出品された「新品未使用」スイッチ2。ゲームマーケットに詳しいITライターによると、

『メルカリ』がとった転売対策の“穴”

「メルカリの対策というのが、スイッチ2の転売自体を禁止したのではなく、『楽天ラクマ』同様にあくまでも発売日前の出品、いわば出品者の手元に商品がない状態での“無在庫出品の禁止”。元来から掲げていた、利用ルールと何ら代わりない措置です。

 発売日になれば“無在庫”ではなくなることから、転売ヤーや業者が待ってましたとばかり、こぞって出品した結果でしょう。手数料ビジネスを手がけるメルカリにしても、転売ヤー同様に美味しいコンテンツに映っているのでは?」

『メルカリ』が商品取引後に得るのは《販売価格から10%を販売手数料》だけに、高額であるほどに“儲け”が出る仕組み。国内販売価格は「定価4万9980円(税込)」のスイッチ2は、どれくらいの“プレ値”がついたことやらーー。

フリマアプリ『メルカリ』では、発売日と同時に『NintendoSwitch2』が大量出品された

《スイッチ2転売価格しょっぱすぎておもろいな》
《メルカリSwitch2無法地帯だな、転売対策規制するとか言ってなかったか? しかしみんな大多数は我慢するから売れてないな 値下げ合戦始まってるwざぁまぁああ》
《Switch2発売日なのに とんでもない値崩れしてて草 12万とかでチラホラ売れてたのに 転売屋の出品数あまりに多すぎて 売れなくて65000でも売れてないやん》

 SNS上で聞こえるのは、大儲けした転売ヤーによる“勝利の声”ではなく、彼らの行いを嘲笑するネット民の声。

『Switch 2』8万円から早くも6万円台に値崩れ

『メルカリ』で商品検索をかけてみると、やはりスイッチ2の大量出品が確認できるのだが、「SOLD」のタグがついた、取引が成立している出品はごくわずか。誰もがほしいと思われたプレミアゲーム機が、全くと言っていいほどに捌けていない現状。

「発売当初の相場は8万〜9万円でしたが、思うように売れないことに在庫を抱えた転売ヤーも焦り始めたと見えます。すぐに7万円台、そして現在は6万円台と値崩れを起こしていますが、それでも買い手がつかない状態です。

 たとえ6万円で捌けたとしても、手数料や送料を差し引いたら利益は数千円程度。抽選販売に足を運ぶ“労力”などを考えたら、決して“大勝利”とは言えませんね。まあ、雀の涙の利益でも売れるだけましで、早々に“逃げ売り”合戦が始まるかも」

 それにしても、なぜ抽選販売まで行われた、完売必至の人気ゲーム機が“そっぽ”を向かれているのか。先のITライターの見解。

「まず、スイッチ自体がファミリー向け商品であって、前代未聞の争奪戦が起きたPS5のような、コアなゲームファンが是が非でもプレーしたいような機能を備えたゲーム機ではないということ。そんなゲーマーも家庭機よりもPC、オンラインゲームに流れていますからね」

『NintendoSwitch2』の「マリオカートワールド」CMに出演するSnowMan(公式HPより)

Snow Manも“マリカー”アピール

 スイッチ2もまたライト層向けのゲーム機であり、そんな一般世帯は定価にプレ値が加算されてまで入手したいとは思わないわけだ。そしてもう一つ、新ハードが売れる際の重要な条件を満たしていないとも。

本機と同時発売される、“ローンチタイトル”に魅力を感じませんね。例えば、最近では『モンスターハンターワイルズ』はPS5の売り上げを大きく伸ばし、コロナ禍に『あつまれ どうぶつの森』が大ヒットしたことでスイッチ本体が品薄状態になりました。

 今回の“目玉”とされるのが完全新作の『マリオカートワールド』ですが、いくらSnow Manがアピールしたところで家庭用ゲームで11作目と、すでに“マリカー”はやり尽くした感は否めません。

 スイッチ2の需要が高まるのは、誰もがプレーしたくなる“キラータイトル”発売時でしょうが、その時にはもうフリマサイトから転売品を購入せずとも、店頭で定価購入できるようになるのでは?」(同・ITライター)

 商売だけでなく、転売にも才能と才覚が必要なようで。