国民的人気アイドルグループである嵐が、2026年春のコンサートツアーをもって5人での活動終了を宣言した。この電撃発表にファンはざわめき、各メディアがこぞってニュースで取り上げている。

5位は「若さが垣間見える」懐かしの番組

一つの時代が終わっちゃうんだな、という気がします。アイドルグループの一つのスタンダードを築き上げたのが嵐でした。いい楽曲もたくさんある。やはり一抹の寂しさを感じます

 と言うのは、放送作家の山田美保子さん。音楽活動と並行し、嵐のもう一つの柱となっていたのがバラエティー番組だ。いくつもの冠番組を持ち、メンバーおのおのが個性を発揮し、それがまたグループの魅力を高めてきた。

 そこで、30代〜60代女性500人にアンケート。活動終了までに復活してほしい嵐のバラエティー番組は何ですか?

 5位は『嵐の宿題くん』(日本テレビ系・2006年~2010年)。

 アンケートには、「嵐の全盛期で活躍がすごかった。また見てみたい」(三重県・48歳)、「夜中ならではの内容で面白かった」(山口県・51歳)との声が集まり、16票獲得。

“宿題くん”というワードがまだちょっと子どもっぽい(笑)。若さが垣間見えて、なんか懐かしいですね

 と山田さん。放送は月曜深夜枠で、宿題をテーマにトークを展開。山田さんは当初から彼らの活動に注目してきたという。

『Cの嵐!』『Dの嵐!』『Gの嵐!』(いずれも日本テレビ系)といった初期の前身番組を経て、個々の個性が出てきたころ。ソロの仕事もどんどん増えつつあって、彼らの成長をスタッフたちが見届けている感じがします。メンバーの個性を理解し、彼らがどうやったらバラエティー的に面白くなるのか考えていた。メンバーとスタッフの信頼関係で生まれた番組だと思います

 4位は『USO!?ジャパン』(TBS系・2001年~2003年)。

「心霊コーナーが楽しみだった」(栃木県・51歳)、「ホラーや都市伝説などの番組で、復活したら面白そう」(東京都・47歳)、「深夜に見ていた。怖い企画が多くて独特の雰囲気があってよかった」(新潟県・62歳)、「ミステリー番組みたいで、ロケがすごく印象に残っている」(京都府・49歳)と、17票獲得。

3位は「女性コンビとの絡みがよかった」

心霊と嵐を組ませようという、今となってはちょっとあり得ない企画でした(笑)」(山田さん、以下同)

 嵐はデビュー2年目で、心霊スポットや怪奇スポットにメンバーが体当たりで潜入している。共演は国分太一、タッキー&翼など。

まだ嵐が知られていないころで、トークも全然こなれてない。スタッフもちょっと手探りだったのだと思います。レアだからこそ、もう1回見てみたい、という声が多く上がったのかもしれません

2011年3月まで『ひみつの嵐ちゃん!』でレギュラー出演していたオセロの中島知子と松嶋尚美

 3位は『ひみつの嵐ちゃん!』(TBS系・2008年~2013年)。 

「ファッションコーディネートを競うコーナーが好きだった」(徳島県・55歳)、「5人のトークが面白かった」(東京都・64歳)、「オセロとの絡みがよかった」(兵庫県・55歳)と、33票獲得。

楽しい番組で、オセロの2人とメンバーのやりとりも絶妙だった。女性タレントとアイドルが組むと焼きもちを焼いちゃうファンもいるけれど、そうならない点でもオセロは最強でした」(山田さん、以下同)

 嵐初のゴールデンタイムでの冠番組で、木曜夜10時からの放送。メンバーがファッションコーデを競う「マネキンファイブ」など名物コーナーも誕生した。

『マネキンファイブ』で特にいじられがちだったのが櫻井くん。彼らしいまじめな感じが出て、なんでこの服を選んだんだ?なんて仕上がりになっちゃったり(笑)。コーデはメンバーの素が出るところがあって、そういう部分も見どころでした

 2位は『VS嵐』(フジテレビ系・2008年~2020年)。

「対戦相手とのトークが見られるし、嵐が5人そろって調子がよくても悪くてもゲームをしているのがとにかくよかった」(宮城県・44歳)、「メンバーの普段と少し違った真剣な表情が面白かった」(鹿児島県・64歳)、「嵐のみんなが協力して目標を達成する、息の合った感じがいい」(埼玉県・36歳)と、135票。

みんな運動神経がよくて、さらに回を重ねるごとに達人になっていく。さすがだなって見てました。ただ嵐もみなさんアラフォーなので、そういう意味でも『VS嵐』は本当に最後のチャンスかも。5人そろってもう1回、身体を張ってほしい」(山田さん、以下同)

 毎回ゲストが登場し、メンバーと共にさまざまなゲームに挑戦。メンバー5人のオープニングトークも話題に。

1位は「バラエティーもできる嵐」にした原点

「『VS嵐』に出演したゲストの方たちから、嵐の5人が優しかった、気を使ってくれた、なんて話をよく聞きました。

 バラエティーでは声を張ったり押していく“張り芸”と、それに対する“引き芸”があるけれど、嵐は“引き芸”。引いたあと、ボソボソとツッコんだり、笑い合う感じが嵐らしくて、そういう場面が多く見られたのも『VS嵐』でした

絶品料理をかけて、早押しクイズをする「デスマッチ」企画が印象に残った視聴者が多数(『嵐にしやがれ』公式HPより)

 1位は『嵐にしやがれ』(日本テレビ系・2010年~2020年)。

「グルメのクイズコーナーが面白かった」(東京都・38歳)、「家族で見て楽しめて、明るい気持ちになる」(千葉県・31歳)、「5人の仲がいいのが伝わってきた」(神奈川県・54歳)、「ありのままの嵐の姿を見られる番組だった」(東京都・47歳)、「メンバーが企画した各地のロケが楽しめた」(埼玉県・62歳)、「嵐の番組の中で、もっともバラエティーに富んでいて、各人のキャラクターがよく出てた」(大阪府・59歳)と、182票獲得。

「嵐が“バラエティーもできる嵐”になった原点がこの番組。もともと嵐はSMAPという大先輩がいて、彼らのようなバラエティーもできるアイドルを目指していた。

 当初は役割がおのおのあって、グループのリーダーは大野くん、勉強のリーダーは櫻井くん、芝居のリーダーは二宮くん、アイドルリーダーが相葉くん、そしてバラエティーリーダーが松潤。体当たりものなどいろいろやった前身番組を経ての『嵐にしやがれ』でした」(山田さん、以下同)

 2020年の活動休止に伴い、番組は終了。最終回は視聴率18.3%を記録し、10年余り続いた長寿番組は有終の美を飾っている。

切磋琢磨を続け、個々の役割もだんだん変わっていった。最初のころはやはり拙い感じがありましたけど、フリートークのテクニックもここで磨かれた。彼らの努力が実を結んだ番組で、1日にしてならず、といった感があります

復活してほしい「嵐バラエティー番組」ランキング

 トップ5には、デビューしたての'01年から、'20年の活動休止前までと時代の幅が約20年あるバラエティー番組がランクインした。復活を望む声は多いが、実際にその可能性はあるのだろうか。

「希望はあるし、実現できるんじゃないかと思っています。嵐は解散ではなく活動終了という形をとっていて、これからも嵐の一員であり続けるという矜持を示している。メンバー5人が納得すれば、番組復活はそんなに難しいことでもないのでは

 すでに水面下では動いているだろう、と推測する。

やっぱり復活してほしいですよね。ファンも待ってるでしょうし、スタッフもそう。バラエティーのスタッフはメンバーと一緒にいる時間も長く、ロケに出ることもある。信頼関係やメンバーとの絆もあるはず。各テレビ局とも、動き出しているのではないでしょうか

 活動終了まで残りあと約1年。伝説のバラエティー復活はいかに─。

取材・文/小野寺悦子

山田美保子 放送作家、コラムニスト。テレビ、ラジオのコメンテーターとして『サンデージャポン』(TBS系)などに不定期出演中