
6月の第3日曜日は父の日です。誰もが知る、各界の有名人の父を持つ人たちに、これを機会に思いを語っていただきました。人前に出るようになったからこそ知った、「父の偉大さ」とはーー。
50年以上、多くの人のヒーローであり続けている存在、仮面ライダー。
「私にとっては唯一のお父さんであり、本当にたった一人のヒーロー」
仮面ライダー1号・本郷猛を演じた藤岡弘、さんを父に持つ藤岡舞衣さんが笑顔で答える。
「悩んだり落ち込んだりしたとき、父に相談すると、自分の経験談からつらかったことをどう乗り越えたかなどを一から教えてくれます。人間性をとても大事にする人。
仕事現場で父と共演した方が、初めて私に会うと、『あんなに優しくて謙虚な人はいないよ。お父様を大切にしてくださいね』と言ってくださることが本当に多いんです。そのたびにすごい人だなって改めて尊敬します」(舞衣さん、以下同)
藤岡弘、さんといえば、食に対して一家言を持つ求道者でもある。「父の料理が一番好き」だと話し、こんなエピソードを挙げる。
「最近も、私が寝ようとしていたら、父が『食べたいと言っていた空豆のクリームスープを作ったから、明日の朝に食べなさい』と伝えてくれて。いつも私のお弁当を作ってくれたり、料理を通じて父の愛情を感じます」
子どもの頃に諭された“藤岡家の家訓”
“食は人をつくる”、それが藤岡家の家訓の一つだそう。
「小さいころ家族でバイキングに行ったときのことです。うれしくて取りすぎてしまい、食べきれずに残してしまったのですが、『恵まれた環境を当たり前だと思ってはいけないよ』と真剣に諭されたことを覚えています。
私がしてしまったことはどうしていけないことなのかを、小さな私にも納得できるように説明してくれたんですね」
単に「ダメ」と言うのではなく、かみ砕いて教える。その際、必ず理由を添えて、子どもたちにもわかるように理解を促すという。私たちがイメージする藤岡弘、そのものだろう。

舞衣さんは、父と同じ芸能の道を選んだ。そのことについて何かアドバイスはあったのだろうか。
きょうだい全員、本当に仲がいい
「仕事をするうえでも、『世の中のために何ができるか。自分よりも他の人たちの幸せを願うことを忘れないで生きなさい。そうすれば、気持ちを伝える技術が磨かれ、表現の道が拓かれるから』と教えてくれました。
実際にお父さんはいつも、自分のことより家族のことを考えてくれている。うちはきょうだい全員、本当に仲がいいんですね。それは父と母がいつも平等に愛情を注いでくれているので、信頼し合えているからだと思います。藤岡家を通じて、家族っていいよねといったことを伝えていけたら」
近い将来、映画やドラマで親子鷹として共演する姿にも期待が高まる。
「親子や師弟など、何かつながりのある役柄で共演してみたいです。お父さんと私の絆を、映像として残したいという思いがあるんです」
取材・文/我妻弘崇