
《席が外人さんの巨大キャリーバッグで占領されて座れない…声掛けても「NO」しか言われないしどうしたら》
SNSのこんな投稿が大きな反響を呼んだ。投稿主によると、窓際にあった自分の予約席は隣席に座る外国人旅行客の荷物で占拠され、英語で話しかけるも無視されたという。現在、その投稿は削除され真偽は不明だが、これに対して《引き下がったらダメ》《普通にぶったたいて》といったアグレッシブな対応策が多くコメントされた。
持ち込める手荷物の大きさには制限が
「乗車後、自分の責任でなく指定席に座れなかった場合には、車掌に相談すれば他の空席に案内してもらえます。満席などでそれができなかった場合でも、指定席特急料金の全額を戻してくれますよ」
こう教えてくれたのは鉄道ジャーナリストの梅原淳さん。
「飛行機なら座席や通路まわりに荷物が置かれることはないし、まず大きな荷物は預けます。ですが欧米の鉄道では網棚もないことが多く、大荷物は足元や空席に置くこともごく普通。単純に日本での鉄道のマナーを知らないだけかもしれないので、車掌を呼ぶ前にまずは相手に“荷物をどかして座らせて”と話しかけてみましょう」(梅原さん)
日本人でさえ自身のキャリーバッグなどの収納に困った経験がある人は多いだろう。
「日本の鉄道車両は現在も国鉄時代の設計がベースになっているものが多い。当時はキャリーケースが普及していなかったので、座席に持ち込むことを想定していません。特に国鉄時代は、大型手荷物はチッキと呼ばれる有料の託送手荷物扱いとなり、長距離列車に連結した荷物車に預けることができました。
現在、車内に持ち込める手荷物には大きさの制限がありますが、日本人も含めてそれを認識している人は少ない。空路に比べれば緩い制限ですが、もっと周知していけたら」(鉄道ライター)
JR東海の対応は
今回話題となったのは東海道・山陽新幹線の車両だが、
「海外旅行客の荷物を収納するには『大型荷物スペース』が小さいですね。また事前予約が可能ですが、外国人に知られているかは少し疑問です。例えばJR東日本の新幹線では、座席だった場所を潰して大型荷物スペースに転用している。国際的に見ると欧州の高速鉄道では、車両の中央部に大型荷物スペースが設けられています」(鉄道系ユーチューバー・鉄道博士さん)

スペースの小ささに加え“事前の予約”やその方法がややこしいのかもしれない。それについてJR東海では、
「今年7月1日より、一部デッキ部に設置している特大荷物コーナーを、試行的に事前予約不要でご利用いただける荷物置き場とします」(広報)
また、無料荷物スペースのあるJR東日本でも……。
「乗車マナーの案内放送や警備員の車内巡回など安心・安全の維持に努めているそうです。キャリーバッグの普及によって世界的に荷物が増え、また、それによるトラブルも増えました。今後の改善が期待されます」(梅原さん)
取材・文/山部和歌子