
「長い道のりだと思いますよ。信頼を失うのは早いけど、取り戻すのには時間が必要ですから」
中居正広と元女性アナウンサーのトラブルに端を発したフジテレビ問題。同社の今後について聞いたところ、冒頭のように語ったのはフジテレビの取締役副会長だった遠藤龍之介氏だ。
フジテレビは、中居と女性アナのトラブルを知りながら、中居の番組出演を継続させていたことが大問題に。企業からの広告出稿は停止し、同社の根幹を揺るがす事態に発展。今は信頼回復に必死だ。
「フジテレビは港浩一前社長と大多亮氏を提訴する準備に入ったことを明らかにしました。また、騒動を社内で検証する番組の制作も行っているよう。6月下旬に開催される株主総会を前に、信頼回復に努めている姿勢を打ち出したいのでしょう」(スポーツ紙記者)
業界関係者は、同社の今後についてどう見ているのか。
元テレビ朝日で、現在はフリーのテレビプロデューサーの鎮目博道氏に話を聞いた。
「検証番組を作ることは大切ですが、その中身が大丈夫なのか心配です」
どういうことか。
企業側はフジに広告を出したい
「騒動の関係者の中には、もう在籍していない人や会社から訴えられている人もいる。まだフジに在籍している人も被害女性への二次加害を考えると話せるのか疑問です。新たな情報は出てこないのでは……。そうなると社内アンケートや、専門家のコメントを流すだけの非常に内容の薄い番組にならないか不安です」(鎮目氏、以下同)
しかし、フジテレビの完全復活は間近ともいう。
「実は企業側も広告出稿をしたがっているのです。企業はフジ以外の局に出稿している一方で、年間の計画で広告を打つ本数が決まっています。CM枠にも限りがあるため、現状だと計画を達成できない。そのため企業も広告を出す口実が欲しいと考えています」
秋には広告出稿も戻ると鎮目氏は見ているという。だが、復活を目論むフジテレビの思惑を中居が阻もうとしている。

中居は、第三者委員会が公表した報告書の内容に対して“性暴力という言葉から想起される暴力的・性的な行為はなかった”と反論。調査の証拠開示などを要求するも拒絶された。では今後、中居はどう動くのか。
中居が訴訟を提起する可能性
「法律事務所Z」の溝口矢弁護士に話を聞いた。
「中居さんは、その名誉を回復するために訴訟を提起する可能性もあると考えます。裁判になったら、第三者委員会はどのように報告書を作成したのか、説明が必要となる場面が出てくるはず。他方、調査の録音や資料が証拠として提出された場合に、それが中居さんにとって不利な内容の場合もある。実際に訴訟提起をするかは、さまざまなリスクも踏まえての判断になるでしょう」
もし中居の主張が認められれば、フジテレビの信頼が再び地に落ちることになりかねない。一方、多額の被害を生む原因をつくった中居を、フジテレビが提訴する可能性も囁かれているが……。
「中居さんが訴えられる可能性は低いと思います。元幹部への提訴は、問題に対して適切な対応を取らずに会社の価値を落とした責任追及のため。会社としての事後対応が焦点ですから、中居さんを元幹部への提訴の話に巻き込むのは容易ではないと考えます」(溝口弁護士)
騒動の行方は、いかに。