小芝風花 撮影/齋藤周造、ヘアメイク/青山佑綺子(BOND)、スタイリング/小川未久

「韓国の制作チーム(スタジオドラゴン)と一緒にお仕事できるというのが、すごく魅力的で。最初はもっとドロドロ系なのかと思ったんですが(笑)、ポップなところと、ジェットコースターのような展開の波が面白いなと思いました」

 と話すのは、小芝風花。昨年、世界的ヒットとなった韓国ドラマ『私の夫と結婚して』(主演パク・ミニョン&ナ・イヌ)。6月27日からAmazon Originalドラマとして日本版の配信が始まる。

演じた神戸美紗との“共通点”

 37歳の神戸美紗(小芝風花)は末期がん。夫・友也(横山裕)と親友・麗奈(白石聖)を信じ、尽くし続けるも、ふたりの裏切りによって転落死してしまう。気がつくと、そこは10年前。タイムリープで27歳に戻っていた美紗は、やられっぱなしの脇役人生からの脱却と、ふたりへの復讐を誓う……。

「“嫌われたくない”と周りの目を気にしすぎるところは、私も10代〜20代前半くらいまではありました。美紗は、友也くんや麗奈のわずかな空気の変化も察知しすぎ、“自分が我慢すれば穏便に済む”と思う人。ちょっとわかるな、という気持ちはあります」

 2度目の人生で、美紗はそんな自分自身を変革。相手に支配されることなく、自らの“好き”“嫌い”を言葉にし、行動していく。ただ1度目の人生で起きたことは、誰かに引き取ってもらえない限り、また自分の身に起きる。人生から夫・友也を遠ざけるべく、美紗は知恵を絞る。

「誰かの力に頼ったりせず、自分の人生を主役として切り開いていく姿がすごく素敵。見習っていきたいです。2度目の人生の美紗は、麗奈に“悔しい!”と思わせるように、笑顔でトゲのあることを言ったり。1度目の人生では辛辣な言葉をたくさん浴びせられているので、ちょっと楽しかったです(笑)」

 1度目の人生では何の縁もなかった勤務先の上司・鈴木亘(佐藤健)は事あるごとに美紗を気遣い、助けてくれる。その理由とは?

「苦しい土砂降りのときには、必ず傘を差し出してくれる。そして、美紗に欠けていた怒りの感情も引き出してくれる。美紗に2度目の人生をどう生きたいかを気づかせてくれる人です。でも恋愛には不器用で、“もっと美紗にアピールすればいいのに”って思うくらい(笑)。女性は全員、好きなキャラクターだと思います(笑)」

大河ドラマでの称賛 女優としての手ごたえ

 人生を生き直す美紗を演じる中で、浮かび上がってきた小芝自身の結婚観について尋ねると、

「友也くんは、夫としての反面教師という感じ(笑)。“俺が俺が”と自分の話ばかりしているんですよね。だから、ちゃんと私の話も聞いてくれる人がいいな。そして友也くんのように調子が良すぎる人は、なんだか不安になる。麗奈のような人に、ちょっとモーションかけられただけで行っちゃいそうだから、嫌かも(笑)」

 2025年の上半期もそろそろ終わりに差しかかる。

「怖いくらい早いですね(笑)」

 1月から始まった大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』での瀬川役は視聴者の度肝を抜き、出演終了後には“小芝風花ロス”という言葉まで誕生。

「うれしいです。細かい感情の機微など、すごくこだわって生き抜いたので。それを全部、視聴者のみなさんが拾ってくださり、愛される役にできたことが本当にうれしくて。丁寧に向き合った分だけ伝わるんだな、と改めて実感できました」

 元気で明るい役のイメージが強かった小芝が、大人の女性の凄みを見せつけた。女優としての自信や手ごたえを得たのでは?

「“成長できた”というような実感は自分自身ではあまりなくて。それこそ、周りの方の感想によって“もしかしたら、変われたのかな”“成長できていたなら、うれしいな”と思ってはいます」

 本作は復讐劇。小芝ははたして、どんな新たな顔を見せてくれるだろう─。

AmazonOriginalドラマ『私の夫と結婚して』出演/小芝風花、佐藤健、横山裕、白石聖ほか 6月27日より毎週金曜日2話ずつPrimeVideoにて配信 C2025.CJENMJapan/STUDIODRAGONallrightsreserved
美紗のようにタイムリープするなら、どのタイミングに戻りたい?

「幼稚園時代かな。そのくらいの耳がいいころから英語を習いたいですね。今回の現場は、アン・ギルホ監督をはじめ、みなさん韓国語でしたが、英語も堪能で。英語が話せたら、もっと直接のコミュニケーションが取れたのかなと思うと、悔しくて。

 やっぱり、通訳の方を介するのと、直接の対話では違うと思うので。今まで何度か奮起したことはあるんですが、毎回挫折しちゃって(笑)」


取材・文/池谷百合子