結浜(左上)・楓浜(左下)・良浜(右上)・彩浜(左下) 写真/共同通信社

 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」が園内で飼育しているジャイアントパンダ4頭が、6月28日に中国・成都へ返還される。お母さんパンダの良浜と、その娘の3頭(結浜、彩浜、楓浜)の一斉帰国となる。

「おいしいものを食べて元気に過ごしてほしい」

 日本パンダ保護協会会員で、アドベンチャーワールドにいたパンダ「明浜」と「優浜」の名付け親でもあるパンダライターの二木繁美氏は、

「(返還されると聞いたときは)“ああ、この日が来ちゃったか”と思いました。ファンの中では、もしかしたら誰かは日本に残ってお婿さんが来るかも、という希望もあったんですが、4頭一気に返還の日が来ちゃったかと。ガーンときました」

 と、寂しさを吐露した。しかしパンダにとっての母国には、やはり快適な環境が整っているようだ。中国では日本よりパンダ1頭あたりに与えられるスペースが広く、より伸び伸びと生活できるという。

「母親の良浜は高齢なので、もう繁殖には参加しないだろうといわれています。医療体制が整った中国で、のんびり過ごすのではないでしょうか。娘たちは将来の繁殖を目指してパートナーを探すと発表されています。中国では好物のたけのこが1年中食べられるので、おいしいものを食べて元気に過ごしてほしいなと思います」

 6月27日にはアドベンチャーワールドにて歓送セレモニーが行われ、その様子は公式YouTubeでライブ配信される予定だ。日本中から愛された4頭。気軽に会えなくなるのは寂しいけど、中国に帰っても幸せでありますように!

良浜(らうひん)と結浜(ゆいひん)

良浜(RAUHIN)子どもといっぱい遊ぶお母さん

2000年9月6日生まれ(24歳)
「子どもをかわいがって本気で遊ぶ、すごく愛情深いお母さんです。子どもをこづいたり、引っぱったりして結構強めなコミュニケーションをとるので、怪獣をイメージして“ラウゴン”って呼ばれたりもしています(笑)。子どもにしてみれば、ずっと一緒に遊んでくれる良いお母さんなのでは。

 今は1年くらいは親元で過ごすのですが、良浜自身は親離れしたのが生後4か月くらいですごく早かったんです。自分は寂しい思いをしたのかもしれません。“私は子どもと目いっぱい遊ぶぞ!”という気持ちから、“ラウゴン”が生まれたのかも?」

良浜(らうひん)。2021年撮影。抱きついているのは楓浜(ふうひん) 写真/共同通信社

結浜(YUHIN)頭のとんがりがチャームポイント

2016年9月18日生まれ(8歳)
「頭の上にピコンととんがりがある、不思議ちゃん。中に人が入っているんじゃないかという座り方をしたりする、個性的な子です。生後4か月くらいからとんがりが目立ち始めて、今は1cmくらいあるそう。

結浜(ゆいひん) 写真/共同通信社

 パンダは双子で生まれることが多く、その場合は入れ替え保育(1頭は保育器で世話をし、もう1頭は母親の元で母乳を飲ませ、入れ替える方法)をされるのですが、結浜はひとりっ子。お母さんの良浜にずっと抱っこされて育ちました」

彩浜(さいひん)と楓浜(ふうひん)

彩浜(SAIHIN)どっしり構えて何事にも動じない?

2018年8月14日生まれ(6歳)
「通常は100g程度のところ、わずか75gとパークの中で最も小さく生まれた彩浜。心配されながらも、どんどん体重を増やし力強く生きている姿をみんなで見守った子です。正面の顔は良浜に似ていて、歩く姿は父の永明(えいめい)に似ています。

 今では“社長”や“神様”というあだ名がつくほどどっしり構えていて、ほかのパンダが気にするような物音なんかにも動じない姿がかわいらしいです」

彩浜(さいひん)。2019年撮影。生後半年 写真/共同通信社

楓浜(FUHIN)カメラ慣れした生粋のアイドル!

2020年11月22日生まれ(4歳)
生まれながらのアイドル! 無邪気で活発なかわいい女の子です。コロナ禍の真っただ中に生まれたので、自粛期間や入場制限があるなか、すくすくと育っていく姿がSNSで毎日配信されていました。

 カメラ慣れしているという意味でも、まさにアイドルです。お姉ちゃんの結浜と一緒で、頭のてっぺんの毛がピコンと立ってるのがチャームポイントです」

楓浜(ふうひん)。2021年撮影。生後約4か月 写真/共同通信社