佐々木朗希投手、デーブ・ロバーツ監督

 6月23日、右肩の「インピンジメント症候群」で60日間の負傷者リスト(IL)入りしている、ロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希投手(23)が“再び”キャッチボールを再開させた。

 5月13日に“右肩痛”を訴えて15日間のIL入り、約2週間のノースロー調整を経て月末にキャッチボールを始めたことをメディアに伝えたデーブ・ロバーツ監督。この時、佐々木の状態について、「“痛みは感じていない”という報告を受けている」と安堵の表情をのぞかせた。

 ところが約2週間後の6月中旬、右肩の違和感によって再度ノースローを余儀なくされた佐々木。その原因について「本人に聞いてくれ」と少々投げやり気味の指揮官は、「彼なしでやるぐらいの覚悟もしておかなければ」と、今シーズン中の復帰は絶望的との見解も。

 すると1週間後、一転して「嬉しい誤算だね」と顔をほころばせたロバーツ監督。「(佐々木は)“痛みはない”と言っていた」と右肩の状態が回復に向かっていることを強調すると、冒頭の佐々木の近況を知らせたのだった。

 ここまで、佐々木本人がメディアの取材で答えたのは、「チーム状況もあって、投げ続けたい気持ちがあった」との5月にIL入りした時点のみ。つまり、後の「右肩痛の再発」や「キャッチボール再開」などの二転三転は本人ではなく、全てロバーツ監督から伝えられたということ。

日々のメディア対応も「仕事の一つ」

 メジャーリーグ事情に精通するスポーツライターによると、これは「メジャーリーグの日常風景」だという。

MLBでは新人研修時に講習会があるほど、メディアとの会話も“仕事の一つ”とされ、試合の結果はどうあれ監督や選手が試合前後に取材に応じるのは当たり前。そして大谷翔平投手(30)や山本由伸投手(26)ら、日本人選手が多いドジャースだけに、国内スポーツメディアが多く立ち会うのも自然なこと。

 大谷投手たちのことに質問が集中するのは当然で、ロバーツ監督としてもメディアが聞きたいことを事前に把握し、調整中の佐々木投手の“ネタ”もしっかり仕入れているわけです」

2023年のWBCで、ダルビッシュ有から指南を受ける佐々木朗希

 またロバーツ監督が語るのは日々のメディアだけではない。インターネットテレビ『ABEMA』の独占インタビュー番組『おはようロバーツ』では、監督だからこそ知り得るドジャース情報を伝えている。

 6月23日の配信でも、佐々木について「私の希望としては8月中でしょうか。8月後半での復帰を期待しています」と、“絶望視”していた今シーズン中の復帰もありうるとしている。

“おしゃべり”がネットニュースに

「佐々木投手が当初、右肩の怪我を“隠していた”ことにも、同番組でチームを助けたい気持ちがあったことに感謝と理解を示しつつも、“何か言ってくれたらよかったのにとも思う”との本音も吐露しています。

 そして、ロバーツ監督の“公開おしゃべり”は、時に一部を切り取られてネットニュースになり、それを見た“アンチ”によって佐々木投手が批判に晒される。そんな悪循環が起きているのも事実。

 ロバーツ監督にとっては“リップサービス”なのでしょうが、二転三転する状況を逐一メディアに流されることは、右肩の違和感をもどかしく思い、一番悩んでいるであろう佐々木投手へのプレッシャーになっているのかも」(前出・スポーツライター)

 大谷と真美子さんに第一子が誕生した際、「翔平は携帯のFaceTime(ビデオ通話アプリ)で赤ちゃんを見ていた。とても誇らしげだったよ」などと、グラウンド外での選手の表情も明かしてくれる、ファンにとっても楽しみな『おはようロバーツ』。

 ぜひとも、佐々木に関しても“ほっこり”させてくれるような朗報を聞かせてほしい。