※写真はイメージです

 荷物などの再配達削減のために国土交通省は「置き配」を標準化し、手渡しには追加料金がかかる仕組みを検討しているという。

「置き配」標準化に大手3社の見解は…

 そこで、本誌は「日本郵便」「佐川急便」「ヤマト運輸」の大手宅配業者3社にどう受け止めているのかを聞いた。置き配標準化を社内で検討しているのかについては、

「現時点では標準化について検討しているものではございません」(日本郵便広報宣伝部、以下日本郵便)

「現在検討はしておりません」(佐川急便広報部、以下佐川急便)

「現時点での回答は差し控えさせていただきますが、(中略)全国5万か所以上にのぼる自宅外での受け取り場所の拡大や、お荷物の『お届け予定通知』や『ご不在連絡通知』サービスの提供などにより、お荷物の受け取り利便性の向上を図っています」(ヤマト運輸コーポレートコミュニケーション部、以下ヤマト運輸)

 今は検討していないと2社が答えたが、ネット上では将来、置き配がデフォルトになる可能性に、不安の声も。

《置き配が当たり前になると盗難が心配》
《置き配を標準化するのなら盗難時の補償はどうするのか》

 置き配での盗難の補償はあるのだろうか。

「弊社との間で事前に合意した荷送人さまから差し出された荷物で、置き配指定により配達されたものが盗難に遭われた場合に、保険金をお支払いする置き配保険の制度がございます」(日本郵便)

「盗難保険につきましては、現在検討中でございます」(佐川急便)

「置き配後のお荷物の盗難、紛失、破損、汚損に関しては、適用となる宅急便約款、クロネコメンバーズ会員規約内の個別規約『置き配サービス規約』に基づき、個別に状況を確認のうえ対応します。

『宅急便』『宅急便コンパクト』のお荷物の補償金額(責任限度額)は、30万円までです。『EAZY』(EC事業者向け配送商品)のお荷物の補償金額(責任限度額)は、15万円までです」(ヤマト運輸)

 盗難補償は運送会社によって差があるので、注意したほうがいいだろう。

深刻な“配達員不足”

 3社ともオートロック付きマンションに宅配ボックスがなければ原則、不在の場合は置き配はしておらず、冷蔵品や冷凍品も置き配の対象外との回答だった。

荷物を駅で受け取る「宅配ロッカー」

 宅配便の取り扱い個数は年間50億個を超えている。国交省は「今年3月末までに再配達率6%」を目指していたが、今年4月時点で約8・4%と目標達成には至っていない。

 置き配標準化は、再配達による宅配ドライバーの負担軽減のためとされる。配達員の不足を感じているのかについては、佐川急便以外の2社から回答が。

「物流業界全体の課題であると認識しています。弊社も同様の課題を抱えていることから、配達方法の見直しやDXによる効率化施策などあらゆる可能性を検討しているところです」(日本郵便)

「当社において、ただちに事業に支障が出るような状況ではございませんが、幹線輸送などのパートナーを含めた物流業界全体として輸送力不足は課題として捉えております」(ヤマト運輸)

 盗難の補償、集合住宅における宅配ボックスの設置、冷蔵・冷凍品の扱い、消費者の利便性との兼ね合いなど、問題は山積みのようだ。