
「ビール、本当に大好きなんです! もう僕は“ビールで始まってビールで終わる男”なので。人生もそうありたい! ……あ、始まるのはダメか(笑)」
笑顔いっぱいで話し始めてくれたのは、窪塚愛流。放送中の夜ドラ『あおぞらビール』に主演している。
抱いていた「人生の焦り」
演じているのは、自称“Fラン大学”4年生のアウトドア自由人・森川行男。就職活動に行き詰まる同級生・八木(藤岡真威人)に“面接で話すネタ”を体験させるべく、ノリで後輩・松宮(南出凌嘉)も誘ってプチ冒険を繰り広げる……!
撮影の9割は、なんとiPhoneで。大がかりな撮影スタイルではないため、臨場感たっぷり。“演技というより、素?”と思うほど、やんちゃでキラキラとした表情がまぶしい。
窪塚は、本作が連ドラ初主演。
「ついに託していただけるんだという、信頼される喜びはありました。一方で、この大役への責任感にビビる気持ちもあったんです。それは迷いではなくて」
撮影前にイメージした以上に、森川役には熱いエネルギーと無邪気さが求められた。
「そのころ、どこか人生に焦る気持ちもあって、自分の気持ちに蓋をして人の話を聞いていて。でも、やっぱり自分は等身大が似合うし、そうじゃないとダメになる。僕は僕なりに自分にしかできないものがあるから、主演とかは関係なく、そのままで行こう! と吹っ切れました」
少しずつついてきた“自信”
森川と窪塚自身は、似ていると感じるそう。
「自分のペースで生きているところは、まったく一緒。周りの声は聞きつつも、己を行く。そして自分の大切なものには、自分のペースで向き合う。そんなところかな?」

森川のモットーは“人生の豊かさは、大自然の中、青空の下で、キンキンに冷えたビールを飲んだ回数で決まる”。では、窪塚の人生の豊かさを決定づけるものは?
「“その日、どれだけ自分が楽しめたか”ですね。いつだって僕はハッピー! そうじゃないときがないくらい(笑)。毎日をずっと楽しんでいます」
さらに“日常の小さな幸せをどれだけ見つけられるか”も挙げてくれた。
「例えば今日、すでにお弁当を食べているのに“もう1個食べたい”と言ったら、出してもらえて。もう、これは幸せです! そういう小さいことで僕はよくて、そんな積み重ねが、自分の豊かさにつながっているなと思います」
クールな性格だと勘違いされることも多いそうだが、実はとってもおちゃめで陽気。デビューして丸4年、目指す俳優像を聞いてみると、
「探りながら、少しずつ自信がついてきました。今は挑戦のタイミングだと思っています。思いついたことはやってみる。たとえ、それがダメだったとしても、今の自分であればいい形に変換できる。だからこそ、挑戦です!」
いちばんおいしいビール
「やっぱり、次の日が休みという日の、仕事終わりのビールは最高です! それがお風呂上がりだったら、もう本当に幸せです」
お酒は強いほう?
「最近、強いかもしれない(笑)。最初にまずビールを飲んで、時に日本酒にいったり。ずっとビールでもOKです。だから、今作のタイトルが『あおぞらビール』と聞いたときには本当にうれしくて、それをつまみにビールを飲みました(笑)。ちなみに劇中のビールを飲んでいる表情は、素です!」
料理の腕前は?
サワガニの素揚げ、スズキと野菜のチーズ春巻き、ニジマスの塩焼き、クロダイめし、ポテトチップス……。森川は現地調達した食材で、慣れた手つきでおいしそうな料理をどんどん作っていく。
「魚の三枚おろしなどは自分でやっています。恐る恐るナイフを握ってますけど(笑)」
約1年半前の取材の際、ひとり暮らしを機に料理を始めたと話してくれた。
「料理の腕ですか? 少し上達したかな。レシピがあれば、作れます。腕が上がったというよりも、知識が増えた感じかな?」
アウトドア、好き?
「プライベートでキャンプに行ったことはないです。母が虫が苦手なので。釣りは好きで、祖父に教わりました。釣りざおも持っています。今回、共演の(藤岡)真威人くんとすごく仲良くなって。家にキャンピングカーがあるというので“乗せて”って言っています(笑)」

撮影/渡邉智裕 取材・文/池谷百合子