テレビ、YouTube、CM業界などの放送作家として、数々のコンテンツを作り出してきた澤井直人(35)。今、ほかの誰よりも「人間」に興味がある平成生まれの彼が、「話を聞きたい!」と思う有名人と対談する、好奇心と勢いだらけのインタビュー企画『令和にんげん対談』!
第18回は、お笑い芸人の友近が登場!いまや舞台、コント公演、YouTubeドラマなど多方面で活躍し、演者だけでなく企画やプロデュースも手掛ける友近。テレビの枠に捉われず、マルチな才能を発揮する友近さんの現在地を聞いちゃいます!

47都道府県巡ってます
澤井直人(以下、澤井)「本日はよろしくお願い致します!僕は普段、テレビの放送作家をしているのですが、友近さんはよくテレビは観られる方ですか?」
友近「もともとはテレビっ子で、いまも全録機能を回しているんですけど、最近はめっきり観る時間が減ってしまったんですよ」
澤井「それはお忙しいからですか?」
友近「地方ロケや公演が多く東京に週2回ほどしかいない生活が続くようになったのが大きいですね。
というも、もともと演者だけでなく、企画や営業に関しても、全部自分でやりたい気持ちがあったんで、吉本さんとエージェント契約を結ぶことになったんです。ある程度、裁量を持たせてもらえるエージェント制にすると仕事の幅が広がりやりたい仕事が積極的にできるようになったんです!ただその分、自分で進行管理する仕事も増えますから時間に追われて、自然とテレビを観る時間が減ったんですよね。
いまはライブや舞台も含めると、年間47都道府県巡わってます!大変ですが楽しいです。だから久々に自宅に帰っても疲れてすぐ寝てしまい…(笑)」
澤井「たしかに友近さんは、ライブやYouTubeの企画も、全部ご自身でやられている印象です……!」
友近「演者側も好きなんですが、面白い人(一般の方)を見つけてプロデュースするのも好きなんですよね。この人面白いなと思ったら、自分でアプローチして、一緒に仕事したいみたいな感覚が強いです。
いま『ありんくりん』という沖縄出身の芸人さんと、番組(『友近×ありんくりんのい~あんべぇ』)をやっているのですが、それも自分から沖縄のキー局の方に打診して実現した番組なんです!きっかけは去年、一緒にロケした時に『ありんくりん』のひがりゅうたくんのキャラが面白くて、絶対に一緒に仕事したいと思ったんですよね。『ロバート』の秋山さんとか『シソンヌ』のじろう君並みにキャラが強くて。
それで後日、プライベートで沖縄まで行って、一緒にYouTubeの収録をして、その動画を沖縄の局の人に送ったんです、“この人たちと一緒に何か出来ないですか?必ず面白くします!”って根気強く。そしたらレギュラー番組になったんです(笑)ありがたいです」
澤井「その行動力がすごいですよね。直感が働いても、現地まで足を運んでアプローチすることまでは普通はなかなかできないですよ」
友近「どちらかというと直感が働いたら、すぐ会いに行くタイプではありますね。『ありんくりん』本人たちもびっくりしていました(笑)」
澤井「それはそうでしょうね(笑)」
友近「どこかプロデュースするのが性に合っているのかもしれないですね。それで『千鳥かまいたちゴールデンアワー持ち込み!ダービー私の推しSP』や『千鳥のクセスゴ!』に出て、MVP取って結果も出していて。そうしたところに喜びを感じますね」
『友近サスペンス劇場』の原点とは?
澤井「発掘力がすごいですね、テレビマンより足使って営業しているんじゃないですか(笑)。最近のテレビマンの一部は、ほかの番組に出てたから呼ぼうとか、そういうキャスティングをする人が結構多いです」
友近「苦言というわけではないですが、他のテレビに出演してたから呼ぼうというよりも、自分の体で面白い人見つけてくる方が信頼できますよね。そういう人が増えたら嬉しいなと思います」
澤井「僕が尊敬している『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』を担当している大先輩の作家さんがいるのですが、その人は自分の目でしっかり選んでいる。オーディションも全部自分で見て、アドバイスも的確で、収録本番も芸人さんが出番を待っている舞台下で芸人さんひとりひとりに声をかけておられて。ちゃんと世に送り出そうとしている姿勢が素敵だなと感じます」

友近「“面白い人”って芸能人であるとは限らないですからね。過去にはタクシー運転手さんとか、インスタで見つけたかわいくてオモロイお子ちゃんにも声かけたことあります。一緒に仕事しませんかと依頼して、それが実現するのはある程度、自分で裁量できるからこその醍醐味ですね」
澤井「友近さんは活躍の場が広いイメージです!YouTubeチャンネル『フィルムエストTV(昭和に流行ったサスペンスドラマやワイドショーをはじめとしオマージュを発信しているチャンネル)』とのコラボ作品や、舞台やアドリブコントもやられていますよね。自主制作でしか出来ない企画が多いのも、これまでのお話を聞くと納得です!」
友近「『友近サスペンス劇場』も、私が好きだった『フィルムエストTV』の西井紘輝監督という方に、お声がけして始まった企画なんです」
澤井「2時間サスペンスドラマをパロディ化した『友近サスペンス劇場』はとても面白く拝見させて頂きました。VHS風の映像やBGMなどの細かいディテールにも凝ってますよね!」
友近「小さい時から昭和のサスペンスドラマが好きで、ほかにも1980年代の大映ドラマ(『不良少女と呼ばれて』などメロドラマ路線がヒット)や、五社英雄監督(『吉原炎上』や『肉体の門』などを手掛ける)の作品は、ストーリーに引き込まれてしまうんですよね。
しょっちゅうセリフも真似していて、犬の散歩してる時に、1時間ずっとセリフを喋っていたり、役になり切ってみたり、口上を繰り返しつぶやいてみたり……。そうした慣習が『フィルムエストTV』の原型になっているんでしょうね」
水谷千重子50周年記念公演
澤井「舞台の話も気になります。友近さんが架空のキャラクターである、大御所の女性演歌歌手・水谷千重子さんや、ピザ屋でアルバイトする中年・西尾一男さん。根強いファンがおられるなと観ていて感じます」
友近「面白いのが、水谷千重子も、西尾一男も、全部自分が演じているはずなのに、それぞれのファン層が違うんです。素の自分でネタをやっている時は40~50代と同年代が多かったのですが、水谷千重子は60代以上の方がかなり多く、西尾一男は30代から80歳の幅広い女性にウケが良いんです。もちろん男性もいらっしゃいますよ!でも、女性が圧倒的に多いですね。
それこそ8月から明治座で、『水谷千重子50周年記念公演(というコンセプト)』で舞台をやるのですが、場所柄70~80代の人や、演歌が好きな方もいらっしゃいます。高齢のお客さんが“あれは友近さんなの?”“友近さんじゃないの?”という会話しているのが聞こえてきてて面白かったですね」
澤井「それは笑っちゃいますね。しかも演じているのは自分なのに、客層がキャラクターによって違うと混乱しそうですね」
友近「そうなんですよ。この間、久々に素の自分でコントライブをやったんですけど、ネタの反応があまり良くなかったんですよね。“あれ?なんかいつもとちがうな…”と。
それで不思議に思い客席を見渡したら、60~70代の方が多くて、“こっこれは!水谷千重子が自分のファンを連れてきたぞ!”と思って。バカ言ってる(笑)。それだけファン層が広がって、色んな場所に回遊してくれてると考えるとありがたいですね」

澤井「生の声が直接かえってくる!それはライブならではの良さですよね。芸人さんの多くもテレビを一周すると、劇場に戻りたいと言いますもんね」
友近「ここ最近は特にライブが楽しく2019年以降、毎週どこかでライブをやってるので、ファンとの交流は増えましたね。
今年で4度目の『水谷千重子50周年記念公演』を明治座さんでやらせてもらうんですが(笑)。まさか50周年を4回もやらせてもらえるなんて思わなかったですし、ファンの方もみんな共犯!関わってくださったみなさまとも絆が深まりましたね!」
性に合っている“気ままな”活動スタイル
澤井「企画とかプロデュースも自分でやられていたら、余計に人のつながりや活躍の場も広がっていくでしょうね。僕もリモートで打ち合わせしているより対面が好きなので、地方でロケとかしたいですね(笑)」
友近「テレビを見ていると、今はタレントさんも発言や表情を気にしたり、コンプライアンスも厳しくなったりなにかと窮屈ですよね。それよりは全国各地に巡礼して気ままに芸能活動している方が性に合っていますね」

澤井「じゃあ今後も、今と同じようなスタイルを続けていくような感じですか?」
友近「そうですね。自分でもあまり先を考えていないというか、遠征した先でどんな展開があるか楽しみにしているので、自由気ままに出来たらいいですね。
あとは最近ファンクラブを立ち上げたんです。ファンの方から“チケット取れないです~”というお声を聞いて、“これはファンの方のためにもファンクラブ作ろう!”と決めたんです!これからは会員限定のライブやツアーも組んで、よりリアルでの交流をしていきたいですね。
澤井さんとも初対面でしたが、こうした一期一会を大切にしていきたいですね。本日はありがとうございました」
澤井「こちらこそありがとうございました!」
『水谷千重子50周年記念公演』チケット購入・詳細はこちら https://www.meijiza.co.jp/info/2025/2025_08/
友近 OFFICIAL SITE & FANCLUB「友の近の会」はこちら https://tomochika-official.com/
タレントキャスティング協力:CLOUD CASTING