
未曾有の物価高の中でスタートした参議院の選挙戦。それに先立ち、各党党首を集めた討論会もいくつか開かれたがその中の1シーンがSNSで拡散され、物議を醸している。
総理、自民党総裁の石破茂氏が「あまり舐めない方がいいですよ。今50代の人達ね」と言い放つシーンだ。
憮然とした表情、半ば脅すような口調。このシーンだけ見た人はまるで「俺を舐めるな」とか「今50代の人は俺を舐めるな」と捉えてしまってもおかしくはない。
そのためSNSのコメント欄などでは
《あまり舐めない方がいいのはお前だよ》
《顔が怖い》
《破れかぶれか》
などの投稿が相次いだ。
石破氏の「舐めない方がいい」の本当の意味
しかし、このシーンは明確に切り取りで、実際の発言の真意は違う。
7月1日に放送された『news every.』(日テレ系)の8党党首討論で同局がYouTubeで公開したCM中シーンだったが、発言の全体は、「団塊のジュニアが高齢化するっていうのをあんまり舐めない方がいいですよ。今50代の人たち」というものだった。
「現在50代くらいで、人口ボリュームのある団塊ジュニアが高齢化するにあたって年金をはじめとする社会保障費も膨らむ、その状況を舐めない方がいい、という意図ではないでしょうか。ちょうどこの日テレの討論会では直前に各党の減税・給付公約が議論されていました。与党の自民公明は一時的な給付金(1人あたり2万円、18歳以下の子どもと住民税非課税世帯の大人は2万円加算)のみ掲げていますが、野党はほとんどが消費税の減税を掲げています。石破首相としては、そんな風に社会保障財源としての消費税に手をつけると後々大変なことになるという意味で『舐めない方がいい』と言ったと思われます」(全国紙記者)
ある意味まっとうな発言が切り取られ、恫喝的な意味にとられ、可哀想な状況ではあった。
しかし、この日の石破首相は全体的にムスッとしており、笑顔もほとんど見られなかった。YouTubeで公開されたCM中のシーンは特にそうだった。
この「舐めない方がいい」発言の後も司会の鈴江奈々アナらに「次(のテーマ)はどうくるんですか?」と問いかけ、「消費減税や給付の財源について」と返答されると小声で「そんなこと言ってないし」とまたしても憮然とした物言い。
「自民党は消費減税なんて言ってないし」と言いたかったのだろうか。
『news23』小川彩佳アナとも一悶着

石破首相、2日放送の『news23』(TBS系)の党首討論でも、気になるシーンがあった。
「米価格高騰」がテーマになり、各党党首に「米の適正価格」が質問されたが、首相は「生産者も消費者も納得する価格」とし、具体的金額を聞かれると「それはいくらかとは言えません」との答え。
その後首相は米問題についての持論を語ったが、司会の小川彩佳アナが「なるべく簡潔にお答えいただけたら、ありがたいんですけども」とやんわり注意すると「そんな簡単な話じゃないですよ!これ!」と返し、小川アナを睨むシーンも。
7月20日投開票の参議院選挙は自民党の苦戦が伝えられ、一部では自民公明の与党過半数割れの観測も出る中、焦りを強めているのかもしれない。