7月4日、昭和天皇の陵墓・武蔵野陵を参拝し、ブラジルからの帰国を報告された佳子さま

 東京都心の気温が30度を超えた7月4日。グレーのロングドレス姿の佳子さまが訪れたのは、昭和天皇が埋葬されている武蔵野陵だった。

“過密スケジュール”で体調を崩された佳子さま

「皇室の方々は、進学や海外への公式訪問の前後など、節目ごとに武蔵野陵を参拝されています。佳子さまは6月4日から17日までブラジルを公式訪問しており、無事に帰国したことを報告するため、武蔵野陵と香淳皇后の陵墓である武蔵野東陵へ足を運ばれました。

 参拝はもともと6月23日の予定でしたが、体調不良のため急きょ取りやめに。今回は“リベンジ”となりました」(皇室担当記者、以下同)

 ブラジルでの日程は、体調を崩されてもおかしくないほど過密だった。さらに、精神的にショックな出来事も。

ブラジルの公式訪問で、移動中のご様子が盗撮された佳子さま(Xより)

「移動日を除いた10日間、休むことなく8都市を回られました。ブラジル国内を飛行機で移動中、何者かによって寝顔を盗撮される事態が発生したのです。その動画はSNSにアップされ、現在も拡散されています。

 おひとりでの公式訪問ということで、ただでさえプレッシャーを感じていたであろう中、思わぬ事態も起こり、帰国直後は肉体的にも精神的にも疲労困憊だったと思われます」

 帰国後も佳子さまの予定はびっしりと組まれていた。

「6月24日には皇居で開かれたお茶会に出席されたほか、25日にはブラジル訪問の感想として3000字超えの文書も発表されています。武蔵野陵へはブラジル訪問前の5月16日にも足を運ばれていることから、ネットでは“参拝は本当に必要なの?”と疑問の声が見られました」

 今回、リベンジ参拝に赴かれた理由について、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授は次のように話す。

「一般的な感覚からすると、“どうして再度日程を調整してまで行かれるんだ”と思うかもしれません。しかし、伝統を重んじる皇室にとって、昭和天皇をはじめとする祖先を崇拝するのは、重要なことです。ですから、佳子さまは皇族としての義務を果たすため、改めて訪問の日程を組まれたのだと考えられます」

“ロイヤルニート”と呼ばれた過去

 日々の振る舞いから、佳子さまが皇族としての強い自覚を持たれていることが伝わる。しかし、かつては心無い批判を浴びた時期もあった。

「佳子さまは2019年に国際基督教大学を卒業していますが、2021年に『全日本ろうあ連盟』に嘱託職員として勤務されるまで、就職も進学もなさらなかったのです。その間、皇族としてのお出ましも少なかったことから“ロイヤルニート”や“公務嫌い”と指摘されたことがありました」(皇室ジャーナリスト、以下同)

'21年に結婚し、アメリカへ渡った眞子さん。担っていた公務のほとんどは佳子さまが請け負われている

 今は、当時と打って変わって公務に邁進されている佳子さま。昨年の公務は134件と、皇室屈指の回数だ。これほど多くの公務を担われるようになったきっかけは、姉である眞子さんの結婚だという。

「眞子さんは2021年に結婚し、皇籍を離脱。その際、眞子さんが担っていた公務のほとんどを佳子さまが引き継いだのです。当初は“眞子さんの公務を引き継いでも、徐々にまた、お出ましにならなくなるのでは”という見方もありました。

 しかし、眞子さんから引き継いだ公務を継続するだけでなく、手話やダンスに関する式典など、佳子さまならではの公務も担われるようになっています」

 公務に向き合う姿勢に変化があった背景を前出の河西准教授は次のように分析する。

「“ロイヤルニート”などと揶揄された、かつての批判がトラウマとなっているのではないかと思われます。批判を受けて佳子さまは“きちんとやらなければ”と焦燥の念に駆られたのかもしれません。

 そして眞子さんから受け継いだ公務を請け負ううちに、やりがいを持つようになられたのではないでしょうか。さまざまな場所へお出ましになることで、国民から求められている実感がわき、率先して公務に取り組まれるようになったのだと拝察いたします」

ただ、佳子さまのあまりの多忙ぶりに「このままでは体調を崩しかねない」と河西准教授は警鐘を鳴らす。そして、負担を減らすためには「公務を請け負う仕組みを改めるべき」だと続ける。

「式典などに皇室の方々を呼ぶ際、主催者は宮内庁に“どなたか皇族を派遣してください”と頼むのではなく、それぞれの宮家に対して、こちらへ来てくださいと頼みます。そのため秋篠宮家に依頼が来た公務に、秋篠宮家の方が行けないからといって、代わりに他の宮家の方が行くということはできないのです。

 これでは公務数が偏らざるを得ません。宮内庁が一括で依頼を受け、どの皇族を派遣するか振り分けることができれば理想的です」

 今の佳子さまに“ロイヤルニート”の面影はない。ただ、内親王も人間。身体が資本という点に変わりはない。

河西秀哉名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数