2025年6月29日、投手として復帰後3度目の登板をした大谷翔平(共同通信)

 日本時間7月2日、大谷翔平が今季30号ホームランを放った。エンゼルス時代の2021年から5年連続で年間ホームラン30本に到達した。

18歳から70歳までの“人生設計シート”

「大谷選手はチーム86試合目での30本塁打に到達。これは54本塁打を放ち、ホームラン王に輝いた昨年の100試合目と比べても14試合早いです。大谷選手のほかに、5年連続30本塁打を記録した現役選手は、ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手だけ。またしてもすばらしい記録を達成しました」(スポーツ紙記者)

 昨年を超えるペースでホームランを量産している大谷。投手としても完全復活へのステップを踏んでいる。

「右ひじの手術を受けて以来、3度目の登板となった6月29日は、2回を投げて無失点。メジャーリーグでの自己最速となる101.7マイル(163.6キロ)を記録するなど、手術の影響を感じさせない投球を披露しています」

 投打共に順調な大谷。今年も“球宴”でのスタメン出場が決定している。

「7月16日に行われるオールスターゲームの出場者を選ぶファン投票の結果が、6月27日に発表。大谷選手はリーグ全体トップの396万7668票を獲得し、5年連続5回目の選出となりました。メジャーリーグのオールスターゲームでは、ポジションごとにファン投票1位の選手が先発となるため、大谷選手のスタメン出場も決まりました

大谷翔平は花巻東高校を卒業後、ドラフト指名を経て日本ハムファイターズに入団

 大谷には花巻東高校時代に書いた18歳から70歳までの年齢ごとに自分が活躍している姿を想像した“人生設計シート”がある。

《人生が夢をつくるんじゃない!夢が人生をつくるんだ!!》

《人生を野球に》

《俺がやらなくて誰がやる!?》

 と力強い言葉とともに未来の姿を記していた。その中には“有言実行”となったことも。

「31歳のところには“女の子誕生”と書いてあり、見事に現実となりました。ほかにも年齢のずれはありながらも、メジャーリーグ昇格、ローテーション入り、年俸15億円、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でMVP、ワールドシリーズ制覇といったことも叶えています」(スポーツライター)

 結婚などプライベートなことも書いていたが、野球に関しては、高校時代はまだ二刀流という選択肢が大谷の中にはなかったため、投手としての目標がつづられている。

2024年の優勝パレードに真美子さんとデコピンと参加した大谷翔平(大谷翔平のインスタグラムより)

高校時代の大谷が立てていた目標

 シーズン16勝や25勝、その年に最も活躍した投手に贈られるサイ・ヤング賞の受賞、ヒットも打たれず無失点で9回まで抑えるノーヒットノーラン世界最速記録となる175キロ合計3度のワールドシリーズ制覇メジャーリーグでの年金を満額もらうなどといった目標を立てていた大谷。

“現在地”から考えて、現実のものとなる可能性はあるのか。メジャーリーグ評論家の友成那智さんが次のように予想する。

「メジャーリーグの年金は、10年間プレーすると満額がもらえます。大谷選手は今年8年目。満額もらうことは、ほぼ確実でしょう。現在の制度では62歳から年間27万5000ドル(約4000万円)がもらえます。

 今年のワールドシリーズ優勝の可能性は60%くらいでしょう。ドジャースは毎年90勝くらいできると思います。ドジャースは12年連続でポストシーズンに進出していますが、今のメジャーリーグに絶対的な強さのチームはありません。あとはポストシーズンで勝てるかどうか、主力選手がベテランになったときに世代交代がうまくいくかどうか。大谷選手がワールドシリーズをあと2度制覇する可能性はあるでしょう

2012年、一度は高卒でのメジャー挑戦を決意して、父・徹さんが同席する会見に臨んだ大谷翔平(共同通信)

 近い将来に実現できそうなものもあるが、投手としては2度もひじにメスを入れた“代償”は大きいようだ。

「投手としてエンゼルス時代のように年間を通して休まずにローテーションに入るということはないでしょう。なので、サイ・ヤング賞の受賞やノーヒットノーランの達成は難しいと思います」(友成さん、以下同)

 そこにはエンゼルスとドジャースのチーム事情からくる、考え方の違いがあるようだ。

「エンゼルスでは、ポストシーズン出場のためにレギュラーシーズンを必死に戦わないといけませんでした。一方で戦力が充実しているドジャースとしては、レギュラーシーズンは勝って当たり前、いかにポストシーズンで勝ち、ワールドチャンピオンになるかが目標。

 2度の右ひじの手術を受けている大谷選手にとっても、次のケガは致命的。レギュラーシーズンはゆとりを持って登板させるはずです。そうなると試合出場数が減るので、よくて年間10勝となり、サイ・ヤング賞には選ばれにくい。球数も制限すると、9回まで投げないといけないノーヒットノーランも厳しいでしょう」

 だからといって、大谷の投手としての評価が下がるわけではない。

MVPを祝福される大谷翔平と真美子さん(公式インスタグラムより)

大谷が40歳の引退後にしたいこと

「ひじの手術を受けた後に、球速が上がる選手は2割ほどいますが、大谷選手も投手復帰後3度目の登板でメジャーリーグでの自己最速を記録しています。175キロを計測するというのは現実的ではありませんが、球速はアップしているので、メジャーリーグの先発投手の中でいちばん速い球を投げる投手となることは十分に望めるでしょう」(前出・友成那智さん、以下同)

 投手としての栄冠は手に入らなくても、唯一無二の武器である二刀流で、別の栄誉を手にできるかもしれない。

「球数や登板制限がされるとはいえ、投手としての実力はチームでもトップクラスなのは間違いないです。現在はケガ明けの調整段階として短いイニングしか投げていませんが、これから徐々に長いイニングを投げるようになっていき、10月のポストシーズンには完全な二刀流に戻っているでしょう。

 二刀流で活躍すれば、日本人では2009年の松井秀喜さん以来となるワールドシリーズでのMVPも十分に狙えます。大谷選手は投手と打者の2つの成績が加味されるので、今のような投球を続けていけば、今年のシーズンMVPも獲れると思いますし、30代前半はMVP級の活躍を続けるでしょう」

 メジャーリーグの歴史に名を残す活躍を、これからも続けていくであろう大谷。高校時代に本人が思い描いた“ゴール”は、どのようなものだったのか。

幼少期の大谷と父・徹さん。野球以外ではほとんど怒られたことがなかった(MLB公式インスタグラムより)

“未来設計図”では38歳で結果が出せなくなり、40歳で引退としています。大谷選手はドジャースと2024年から10年契約を結んでおり、満了時には39歳。かなり近い年齢になっています。

 野球以外では男の子が2人生まれると書いてあるので、プライベートな部分も楽しみ。引退後は日本に戻ってきてプロ野球での指導者やリトルリーグの監督になるとも書いてあり、大谷選手がどんな選手を育てるのかも気になりますね」(前出・スポーツライター)

 目標を現実にして、時には目標以上の偉業を成し遂げてきた大谷。野球界の“ユニコーン”が突き進む道から目が離せない。