藤浪晋太郎(公式インスタグラムより)

 元阪神タイガース・藤浪晋太郎投手(31、以下敬称略)の日本球界復帰が報じられた。メジャーリーグ・マリナーズ傘下の3Aを自由契約になった彼が、プレーの場を求めているのがNPB(日本野球機構)だというがーー。

 メジャーリーグを経験するスター選手の凱旋情報に、SNS上では《また日本で見られるの楽しみ》《胸張って日本に戻ってきてほしい》との好意的なファンの声も聞こえる。その一方で、

《いやぁ、、、藤浪やめてくれ 日本以外で頑張ってくれ》
《日本復帰しても獲る球団あるんか?》

《藤浪もう引退でええやろ…》

 藤浪が日本でプレーすることを快く思わない意見も散見される。

 大阪桐蔭高校(大阪府)で2年生からエースとして活躍し、3年生で迎えた2012年のセンバツ・夏の甲子園大会で春夏連覇を達成。現ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手(31)らと“高校ビッグ3”の一角として、プロ注目の逸材と知られた藤浪。

 同年のドラフトで4球団競合の末に阪神に入団すると、2013年のルーキーイヤーから10勝を挙げ、3年目の2015年にはキャリアハイの14勝、最多奪三振のタイトルも獲得。この時点で、誰もが阪神の若きエースの将来を疑うことはなかった。

メジャーでも「制球難」改善できず

 ところが翌年は7勝、以降は思うような投球ができなくなり、6年間で15勝と勝ち星を伸ばせなくなった藤浪。原因とされたのが「制球難」だ。高校野球にも詳しい野球ライターによると、

「兆候はありました。ルーキーイヤーでの与四球は44、死球は2だったのが、2015年でそれぞれ82、11に跳ね上がっています。特に右打者の頭部付近に抜けるボールが増え、藤浪本人もフォーム変更などの試行錯誤を繰り返すも改善されませんでした」

 時速160キロの速球が直撃しようものなら怪我による離脱、頭部では命をも落とす危険性を帯びてくる。中には露骨にベースから離れて打席に立ったり、腰の弾けたスイングをするバッター、しまいには左打者を揃えるチームも現れた。

「そんな勝負を避けるチームを抑えても、もはやプロとは言えません。2023年にMLB移籍した後も、時に目を見張るような投球を見せるも、徐々にコントロールを乱すようになり、“先発失格”の烙印を押されると、中継ぎでも結果を出せずにマイナー行き。

 これではNPB復帰が実現しても、再びバッターを危険な目に合わせる可能性もあり、藤浪と対戦する球団ファンの心理として“帰ってくるな”も無理もない」(前出・ライター、以下同)

ライバル・大谷と“差”がついた理由

藤浪晋太郎に挨拶をする大谷翔平。一瞬握手しただけで、目は合わせていないように見えた 写真/共同通信社

 阪神入団後は即戦力として、同級生でライバルだった大谷以上の結果を残してみせた藤浪。あれから12年、“二刀流”でMLBを代表する選手にまで上り詰めた大谷と、何が差をつけたのだろうか。

「一部では、藤浪は“イップス”との指摘も聞こえますが、私個人はそうは思いません。阪神入団から数年は、高校時代に培った“貯金”でプレーできていた、つまりプロ入り後の“練習量”に差が出たのかなと思います」

 時に「甲子園大会を勝ち抜くよりも難しい」と形容される、強豪校がひしめく大阪大会にて“常勝”を築いてきた大阪桐蔭高校。全国から有望選手が集まる野球エリート校で、選手は平日の終業後に6時間以上、休日は丸1日、加えて朝晩の自主練とレギュラー獲得のために死に物狂いで練習に務める。

 その中でも下半身強化のため、過酷な走り込みメニューを課せられるのが投手。山道・坂道ランは“桐蔭名物”として多くのプロ野球選手を育ててきた歴史があり、それは藤浪もまた例外ではない。

やっぱりタテジマが似合う?(藤浪晋太郎公式インスタグラムより)

 片や、日々の試合がメインのプロ野球では、チーム練習や個人練習に割り当てられる時間は限られており、各々の調整やトレーニングに任せられる部分が大きいという。

 そして前出のライターによると、他球団とは少々異なる環境に取り巻かれるのが「阪神タイガース」だとか。

誘惑に負けて練習時間が減少も

「たとえ二軍の選手でも周囲からチヤホヤされ、スター選手となれば“王様”扱いで、芸能人の如くテレビ出演も増え、“タニマチ”といった有力者と会食なども多くなります。社会経験が少ない高卒であれば尚更、誘惑に抗えずに野球に向き合う時間が減ってしまうことも。

 比べて大谷です。日本ハムファイターズ入団後は、練習施設やトレーニング機器が整えられた環境に目を輝かせて、逆に高校時代よりも練習量は増えたそう。夜のお誘いも断ることが多く、自身の夢に向けてストイックに積み重ねてきた結果が、今になって出ているのでは?」

 藤浪が2年目のシーズンを終えた2014年のオフ、テレビ朝日系のスポーツバラエティー番組『中居正広のプロ野球魂』に出演した際、中居から「評価は投手よりも野手の方が上?」と大谷の“二刀流”について聞かれて、「そうですね」と即答した藤浪。

 打者・大谷との対戦経験を踏まえての解説だろうが、どこか「投手としては大谷より俺の方が上」との自信ものぞかせていた。ドジャースで投手復帰したライバルを、今の藤浪はどんな「評価」をつけるのだろうか。