
その量、味の濃さ、脂の量。それらが織りなして生む“中毒性”で一部の熱狂的なファンに支持される『ラーメン二郎』。本店は東京・三田。かつては支店展開は都内や首都圏中心だったが、現在は北海道と九州にも。そして現在は沖縄の支店も準備中。その名と中毒性は全国に響いている。
食事は「最大」で20分以内での投稿が炎上
しかし現在、悪い形でSNS上でその名が広まり、燃えている。
「ラーメン二郎『府中店』がXにて、《最近、極端にゆっくり食べている方が増えまして》という理由で、食べ終えるまで《「最大」で20分以内》を求める旨を投稿しました。投稿に対しては多くの否定的な意見を集め、府中店は即日、謝罪投稿をするに至っています」(飲食コンサルタント、以下同)
『ラーメン二郎 府中店』の公式Xは、
《ラーメン二郎は怖い店だ、高圧的な店だと誤解させる結果となり、お客様、二郎関係者、多方面にご迷惑と不快感をもたせてしまい、大変申し訳ありませんでした》
と謝罪する事態に。

「食事時間の指定は、“ロット”という二郎特有の制度もあり、炎上が大きくなった印象です。常に行列ができている二郎は、決まった個数の麺を“見込み”で茹でるので、決まった人数の入れ替え制になる。これが二郎における“ロット”です。つまり極端に食べるのが遅い人がいると、ロットにズレが生じるので店として悩ましい存在となるわけです。それに対し、“そんな店側が多く売りたいための都合、知らねぇよ”という人が否定的な声を上げた形ですね」
今回、府中店での食事時間が炎上したが、そのような“対応”は他店でも。
「府中店は20分で炎上していましたが、荻窪店はそれ以上に早い“15分程度”を店の張り紙に掲げています。また、細かい分数のアナウンスはないですが、目黒店でもゆっくり食べていると声をかけられ、ほぼ追い出されるようなことになりますね」
なぜ二郎はこれほどまでに客に“早さ”を求めるのか。二郎愛好家の男性は次のように話す。
麺4分の1でも一般的に見れば多い
「ロット制も関連していますが、もともと二郎は本店の店主さんが、“学生のために安価でお腹いっぱいになる量”をコンセプトというか店の指針としてやってきた店。しかし、有名になればなるほど、大食いチャレンジのように頼んで食べ残すというような客が増えている印象です」
この男性は先日、二郎のなかでも特に麺量が多いといわれている『神保町店』を訪れた。
「二郎は好きですが、それほど量は食べられないので自分のオーダーは“麺4分の1”。それに対して麺量を聞きに来た店員さんに特別な反応はありません。他のラーメン店であれば“そんな少し?”などと驚かれるかもしれませんが。その理由は、麺4分の1でも一般的に見れば多いからであり、そのような注文は少なからずあるからでしょう」(二郎愛好家の男性、以下同)
この男性と同じタイミングで行列に並んだ “同ロット”には、学生と思しき4人組の若者がいたという。
「麺量を少なくした場合、同ロット内ではいちばん最初に提供されることが多いです。私の“麺4分の1”が提供されると、近くに座った若者たちから声が漏れてきました。どう見たって、ラーメン大盛り、店によっては“特盛り”が、麺4分の1として提供されたためでしょう」
二郎は見込みで麺を茹でるため、行列に並んでいるときに“麺量”を聞かれる。大盛りにあたる『大』か、普通盛りの『小』か。もしくはこの男性のように“少なめ”、“半分”などと麺量を減らすかをここで伝える。
「私の後ろに並んでいた若者たちは、行列中に麺量を聞きに来た店員さんが、“初めてですか?”“大丈夫ですか?”などと何度も確認していたのに、“小”で押し通した。“いけるっしょw”的に。私と一緒に行った『小』を頼んだ友人いわく、“自分が店出るときは箸動かさずにうなだれてた。たぶん半分以上残ってた”そうです。おそらく店員に促されて退店させられたでしょう」
退店後に耐えきれず近隣で“もどす”客が一部にいたことで、注意を促した二郎の店舗もある。
「二郎は高圧的、居丈高といわれることがあり、事実なところもありますが、“安く量を多く”という店側のサービスを、“遊び”のように使っている人たちが絶えないため、店側も苦言を呈さざるを得ないのも実情で」
郷に入っては……。