中居正広騒動で揺れるフジテレビ

「Aさんに対しては先日、私が直接謝罪する機会を設けてくださったことについても改めて深く感謝いたします」

 7月6日にフジテレビ系で放送された『検証 フジテレビ問題 〜反省と再生・改革〜』。冒頭、清水賢治社長が約2分にわたって、同局の元アナウンサー「Aさん」に起きた人権侵害事案の説明、また当人と関係各所への謝罪を述べた。

 番組では港浩一元社長、大多亮元専務、佐々木恭子アナ、元アナウンス室長の男性への聞き取り調査が公表され、元SMAPの中居正広とAさんとの間で起きたトラブルと、自局の対応などを検証。

 加えて港元社長ら経営幹部と、女性社員らを集めた「不適切会合」が定期的に開かれていたこと、また“口外”の禁止がなされたことも追求するなど、番組が掲げた「反省と再生・改革」の通りに一旦の区切り、“けじめ”をつけたようにも思えた。

 しかしながら日曜日午前の放送だったとはいえ、検証番組の平均世帯視聴率は2.0%、平均個人視聴率は1.0%(ビデオリサーチ社)。1月27日に中継された、10時間にも及んだ「緊急特報フジテレビ経営陣会見」の13・1%(午後7時から10時)と比較すると、視聴者の興味を引く番組にはならなかった。

 国民的スターの中居自ら芸能界引退を選択し、またフジテレビからスポンサー企業が撤退する事態を招いた、元女性アナとの「深刻トラブル」。発覚から半年以上が経ったことで、すでに“風化”しつつあるということか。

元編成部長・B氏は姿を現さず

「今回の番組でいえば、フジテレビの現体制を築いた“天皇”こと、フジサンケイグループ元代表の日枝久氏と、中居とAさんを繋いだ元編成部長のB氏の“証人喚問”がなかったことに納得がいかない視聴者もいたことでしょう。

 そして番組自体も、最後には新入社員らの“笑顔”で終わるなど、検証と謳いながらもどこか演出がかった構成を見透かされたように思います。何より、双方による“泥試合”も興醒めさせた一因では?」

 ベテラン芸能リポーターが指摘するのは、フジテレビが設置した第三者委員会の調査報告書で「業務の延長線上の性暴力」を認定されながらも、代理人弁護士を通じて「性暴力はなかった」との反論に出た中居。そして当然、納得いかないAさんによる再反論だ。

2023年6月2日、中居正広と被害女性Aさんとのやり取りについて(調査報告書より)

“Aさん側”はこれまで『週刊文春』で“知人”らを通して、トラブルの実態とフジテレビ対応を明るみのもとに晒し、一貫して中居さんを“加害者”として扱ってきました。

 片や中居さんも会見を開くわけでもなく、潔白を証明する“証拠”を出すわけでもなく、ただ代理人を通じての屁理屈とも言える反論ばかり。双方による“水掛け論”が続いているため、世間から“飽きられた”というよりも、中居とAさん共に“結局、何がしたいの?”と呆れられた状況だと思います」(前出・芸能リポーター、以下同)

トラブル解決で見据える最終手段

 Aさんと真っ向対立している中居側だが、「論点に女性の二次被害にあたる要素はない」と、あくまでも彼女に矛先を向けているのではなく、自身の「名誉・社会的信用の回復のため」としている。

 それでも「性暴力はない」の強弁はトラブルを根底から覆すものであり、それを吹聴されるのはAさんにとって耐え難い苦痛に違いない。実際、7月9日に配信された『文春オンライン』記事では彼女自ら取材に応対し、あらためて中居は《全く反省してない》と憤りを見せている。

トラブル後に弁護士間で済ませたという“示談”ですが、刑事告訴によって事件化した上での示談ではありません。互いに納得がいかない、真実を明らかにしたいのならば、最終的には示談を破棄して法廷に出るしか“性暴力の有無”を判断できないでしょう。

 その時にはAさんも“実名告発”に至るかもしれませんが、今までも、これからも被害者として苦しまないためにも、前を向いて歩いていける道を選択をしてほしい」

 2人が再び顔を合わせるのは法定か。