夏野菜を美味しく食べるひと手間

 旬を迎えた夏野菜。価格も手頃なうえに味も濃い。さらに夏野菜には、夏バテ防止に効果的な栄養素も豊富……。ということで、新著『KAGOMEの管理栄養士さんに聞く 野菜の賢い食べ方』(KADOKAWA)でさまざまな野菜の食事術を紹介しているカゴメの管理栄養士チームに、夏を代表する野菜の健康効果とおいしく食べるコツを教えてもらった。

夏バテ防止に欠かせない夏野菜

旬の野菜と旬以外の野菜の違いは?

「野菜には食物繊維やビタミン、ミネラル、カリウムなど健康維持に欠かせない栄養素が含まれており、生活習慣病の予防、改善の効果が期待できます。カリウムにはナトリウムを体外に排出して、中高年が注意すべき高血圧の予防が期待できます。しかし、実際に野菜をとっていても、足りていないことがほとんど。厚労省が定める、1日の野菜摂取目標量350gを十分に摂取するように心がけましょう」

 野菜のビタミンやミネラルは、糖の代謝を助けて疲労回復を促すため、十分な量の野菜を食べて、夏バテ予防に備えたい。

「今回紹介するトマト、なす、きゅうり、ズッキーニは水分がたっぷり含まれる果実野菜なので、体内の水分が失われやすい夏の食卓に欠かせません。夏野菜を上手に活用しながら、毎日の野菜摂取量アップを目指しましょう」

抗酸化力ならトマトとなす

 まずは夏野菜の中でも、高い抗酸化力を誇るトマトから。

「トマトに含まれる赤い色素成分のリコピンには、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。その抗酸化力は、ビタミンEの100倍以上ともいわれています。この働きにより、紫外線によって引き起こされる肌の赤みや、色素沈着などの皮膚ダメージを予防・軽減する効果が期待されています。また、活性酸素は疲労の原因にもなるため、リコピンを豊富に含むトマトは、夏の疲れ対策にもぴったりの野菜です」

 調理の際は、油を使うのがポイント。リコピンの吸収率をアップさせることができる。

 リコピンがより多く含まれるのは、加工用のトマトやミニトマトに多い真っ赤なトマト。一方、ピンク系のトマトは、甘みが豊かで生で食べやすいという特徴がある。

「食感が苦手な人は皮を湯むきするのがおすすめです。特に、皮を湯むきしたミニトマトをはちみつに漬けると相性抜群。保存の際はヘタを下にしてつぶれないように冷蔵庫へ。ひっくり返して青かった場合は、りんごなどエチレンを発生させる食材と一緒にビニール袋に入れて保存すると、早めに赤くなります」(※はちみつは1歳未満の乳児には与えないでください)

 なすも抗酸化作用が高く、夏バテ対策に欠かせない。

「なすの皮には、アントシアニンの一種、ナスニンが含まれます。トマトと同様に抗酸化力があり、夏の紫外線ダメージをやわらげてくれます。なすは9割以上が水分なので、低カロリーで水分補給にいいですね」

 選び方は全体にハリ、ツヤがあり、皮に傷がなく、紫色の発色がよいものを。鮮度の確認は、ガクのトゲが鋭く尖っているかがポイントだ。

「調理の際は、スポンジ状の性質を利用して煮浸しや、揚げ浸しなどで出汁やうまみを吸わせると、トロトロ食感が楽しめます。炒める際に油の吸い込みを抑えたい場合は、先に電子レンジで加熱しておきましょう。割り箸を2~3本置いた上になすをのせ、途中で返しながら加熱するとムラを防げます」

 種類も豊富だが、夏におすすめなのは、全長が20~25cmある「長なす」。温暖地産は果肉がやわらかく、焼き物や煮物向き。寒冷地産は果肉が締まっているので、漬物によく使われる。

水分補給はきゅうりとズッキーニ

 きゅうりは、95%が水分。また、食物繊維、カリウム、ビタミンC、ビタミンKを含む。

「選ぶ際はハリがあってしっかりした触り心地のものを。鮮度はなすと同じくトゲの鋭さで確認できます。調理前に板ずりや塩もみでひと手間加えると、えぐみが取れます」

 冷凍保存したい時は、薄い輪切りにしてから塩少々を加え、ボウルでもみ込む。

「5分ほどおくとクタッとしてくるため、手で絞って水けを抜いてから、小分けに。1本分ずつラップで包めば約1か月の保存が可能です。大量消費をしたい時は炒め物に。千切りのように細かくせず、やや大きめの乱切りにすると、火が入っても程よく食感が残り、みずみずしさも味わえます」

 ズッキーニも9割以上を水分が占め、カリウム含有量はきゅうりの約1・5倍。

「水分が多く栄養価が低いイメージのズッキーニですが、夏バテ防止のためにもとってほしい野菜。大きすぎると味が落ちるため、20cm以内のものを選びましょう。全体の太さが均一で、ツヤがあるものが新鮮で味も濃い。調理する際は、食感が残る1・5cm程度の厚切りにして油と炒めると、ホクッとした食感を楽しめます。ズッキーニっぽさを残したい人は、輪切りや半割りにしてから格子状に切り目を入れ、フライパンで焼き目を。しょうゆやかつお節をかけるだけで、おいしい一品に仕上がります」

 野菜には水分を多く含むものもあり、生で食べることで、身体の水分補給にも役立つので、汗をたくさんかいた日にはおすすめだそう。

「調理いらずで火も使わないので、暑い日でもストレスなく食べられます。例えば、スライサーで薄くカットしてサラダのトッピングにしても美味。汗をかいた日は塩分摂取も必要なので、塩で味つけをするのがポイント。野菜の摂取量を増やしたい場合は、冷やしたラタトゥイユがいち押しです。冷蔵庫に作り置きしておくと、暑い日も食べやすく、たっぷりと野菜を摂取できます」

 今年の夏は、夏野菜をおいしく取り入れて、バテずに元気に過ごしたい。

カゴメおすすめ!夏野菜を使ったアレンジ料理

癖になる味つけでやみつきに ペペロンチーノ風枝豆

塩ゆでした枝豆はビールのつまみにぴったりだが、ペペロンチーノ風にして味変を楽しむのもおすすめ。ペペロンチーノと同じ材料である、にんにく・鷹の爪・オリーブ油を合わせてフライパンで熱し、ゆでた枝豆をさやごと焼きつけたら、塩で味つけを。にんにくの香りとピリ辛がやみつきになり、手が止まらなくなってしまうほどのおいしさ。

甘さを加えてボリューム増 肉巻きソテー

豚バラ肉の薄切りをオクラに巻きつけてソテーし、しょうゆやみりんなどで甘辛く味つけ。オクラに火が通りきっていなくても、豚肉に火が通ってタレがしっかり絡んでいればOK。肉を巻きつけるのでボリュームが出るうえ、野菜と肉を一緒にとれるのもメリット。夕食のメインおかずのほか、お酒のつまみ、お弁当にも◎。

トマトの皮は捨てずに再利用!?

トマトの皮は捨てずに再利用!?

湯むきしたトマトの皮は油で揚げると一品に。皮をキッチンペーパーなどにとっておき、ある程度水分が抜けるまで乾燥させてからフライに。高温で揚げると赤からオレンジ色に変わるので、つけ合わせやトッピングに。まとめて湯むきした時にぜひ。

『KAGOMEの管理栄養士さんに聞く野菜の賢い食べ方』(KADOKAWA)日本有数の食品・飲料メーカーKAGOMEによる、野菜本。野菜の栄養、野菜のレシピ、野菜の調理や保存の方法など、野菜のトリセツ。野菜に関する豊富な知見をもち、管理栄養士資格を保有するカゴメ社内の専門チーム「野菜と生活 管理栄養士ラボ」が徹底解説。※画像クリックでAmazonの販売ページへ移動します。

<取材・文/井上真規子>