
7月17日、俳優の遠野なぎこさんが亡くなったことが、親族を通じて発表された。あまりにも早い別れに、ファンや業界関係者からは驚きと悲しみの声が広がっている。
遠野なぎこさんと摂食障害
生前、遠野さんは『週刊女性』の独占インタビューで、自身の結婚と離婚について赤裸々に語っていた。バラエティー番組で見せる鋭い言葉とは対照的に、そこには苦しみながらも愛を求め続けた彼女の姿があった。
子役として6歳から活動を始め、NHK連続テレビ小説『すずらん』やTBS系ドラマ『未成年』など、数々の話題作に出演してきた遠野さん。華やかなキャリアの裏で、15歳のころに“摂食障害”を発症している。
きっかけは、思春期に体形が変化し始めた彼女に母親がかけた「吐けば太らない」という言葉だった。過食嘔吐を繰り返し、やがて拒食症へと移行。飾らないキャラクターで親しまれる一方、誰にも見せない苦しみを抱え続けていた。
摂食障害と向き合う中で、彼女はある傾向に気づいたという。
「異性関係が充実していると不思議とおさまったりすることがあって。依存と言ったら言いすぎですけど、何か夢中になれる対象がないとダメ。寂しいという気持ちを埋めようとするのかもしれません」
過去に3度の結婚を経験している遠野さん。2023年に一般男性との3度目の結婚を発表した際には、「うれし涙って、人生で初めて流しましたね」と幸せそうに語っていた。
続かなかった結婚生活「甘かった」反省も
独占インタビューでは、結婚の背景をこう明かしている。
「結婚したのは全部、摂食障害が一時的に良くなったのが理由でした。おいしいねって一緒にご飯が食べられて、感動して結婚したんです。それをメディアで言ってもわかってもらえないだろうから、あえて言わなかっただけで……」
好きな人と食事をしながら笑い合う。そんな当たり前のひとときすら、過ごせるとは思っていなかった彼女にとって「ものすごくびっくりする出来事だった」という。
しかし、その幸せは長くは続かなかった。1度目の結婚生活は72日間、2度目は55日間、3度目はわずか14日で終止符。

同じインタビューでは、3度目の離婚を経て感じた心境についても語っていた。
「最初は幸せでも、少しでも相手のあらが見えたり、結婚生活の中で何か不安に感じる事があったりすると、すごいストレスになってしまって。もうここから逃げられないんだと思って、症状が以前より悪化してしまったりするんです。結婚前はこれで病気が良くなるもんだと思い込んでいて、そこまで想定していませんでした。甘かったですね」
その言葉には、希望と現実の間で揺れた彼女の思いが滲んでいた。
遠野さんの公式ブログに掲載された「親族一同」からの訃報には、《故人は、生前も大切な愛猫のために日々懸命に生きておりました》という言葉に続き、《故人は俳優業に真摯に向き合い、さまざまな困難と闘いながら、懸命に生き抜いてまいりました》とも記されている。
懸命に生きた遠野さんのご冥福をお祈りします。