阪神タイガース・佐藤輝明選手(公式インスタグラムより)

 7月21日に行われた読売ジャイアンツ対阪神タイガースの18回戦。2連敗を喫していた巨人が、6−5のサヨナラ勝ちで一矢を報いた“伝統の一戦”だが、観客を巻き込んだ2つのプレーをめぐって東京ドームは勝敗以上に荒れてーー。

 まずは初回、阪神が迎えたツーアウト一塁三塁のチャンスで、5番の大山悠輔選手(30)が一塁、ライト間にファウルライを打ち上げる。これを巨人の右翼手・丸佳浩選手(36)が懸命に追いかけて、フェンス際で観客席に手を伸ばしてナイスキャッチ!

 と思われたが、丸選手と交差するようにグローブを差し出して捕ったのは、グラウンドに迫り出すエキサイトシートで観戦していた男性客。すんでのところで好捕を逃した丸選手はその場でガックリとうなだれ、客席に向かって苛立った表情で何やら一喝するのだった。

 翻って八回裏の巨人の攻撃、ツーアウト一塁で中山礼都選手(23)が打った打球は三塁ファウルゾーンへのフライ。今度は阪神の三塁手・佐藤輝明選手がフェンス間際まで追いかけて補給体勢に。

 しかし、キャッチしたのはやはり両手を高く伸ばした、エキサイトシート最前列の男性。初回のプレー同様に、選手が捕れるかどうかのインプレーのボールを男性客が“強奪”するシーンが相次いだのだ。

「このアホどもを出禁にしろ」

 この両観客の“プレー”に対してSNS上では、

《今日のエキサイトシートのあれ、妨害すぎないか? 丸のときも、サトテルのときも、、、 ジャイアンツファンどうなってるんだ、、、》
《ほんまにエキサイトシートの馬鹿どもに 両チーム邪魔されたな。 とれたはずのファールを このアホどもがいたせいで 出禁にしろ》

 中継を視聴していた野球ファンからは選手を“妨害”する、試合を妨げる行為として怒りの声が上がっている。一方で、

《これね、あんまり客を責められないと思うんだよ フィールドに身を乗り出して客が捕ってたら批判対象になるだろうけど、これ客席入ってるしな》
《そもそもエキサイトシートから出てなきゃ客が取って怒られる謂れはないだろ、そういう席なんだから》

 実際には、席からグラウンドに身を乗り出してキャッチしたわけではない、エキサイトシート内で想定できる行為であって、批判対象にならないとの擁護論も見受けられる。

阪神・佐藤輝明選手に向かってボールを突き上げるエキサイトシートの観戦客(Xより、一部編集部加工)

 ただ佐藤と対峙した、後者の男性については、

《選手を煽るのは違くない?人としてまず最低。 敬う気持ちはないのかね》
《普通に取ればいいのに、煽ってくるあたり気持ち悪すぎる。 サトテル優しいから許してたけど、怖いやつなら顔面パンチ喰らってたな》

 ファウルボールを捕った行為そのものよりも、その後に佐藤に向かってボールをこれみよがしに掲げて見せた行為が「選手を煽った」と見做され、余計に批判されているというわけだ。

丸は試合後に「気にしていない」

 彼らに対する嫌悪はネットだけではなく、スポーツ紙・野球担当記者によると、

ファウルボールをキャッチした観客たちは、特に三塁側の男性は得意げにアピールしたことで周囲からブーイングを浴びることに。幸い、サトテルは“煽り”を意に返すことなくプレーに戻り、丸選手も試合後には“気にしてません”と大人の対応を見せたことで騒ぎが大きくなることはありませんでした。

 今回の行動は東京ドーム、NPB(日本野球機構)が定める規定違反には問われませんが、一歩間違えればプレーの妨害どころか、自身、または選手が怪我を追いかけない危険な行為。席にはヘルメットやグローブが用意されているエキサイトシートですが、あくまでも身を守るための安全用として使ってほしいですね」

 選手との距離を近くに感じ、より迫力あるプレーが楽しめる東京ドームの『DAZNエキサイトシート』。1万5000円と高額を支払っているから“何をしてもいい”のではなく、より観客としてのマナーが求められる席のようだ。