
メンバー3人の年齢、合わせて212歳! 8月にデビュー51周年を迎えるTHE ALFEE。ライブバンドとして、年齢を感じさせないパフォーマンスをデビュー当時から続けている彼らが語る、過去、現在、そして未来とは─。
SNSでバズった「おまえが歌うんかい!」
高見沢「今回の春ツアーで全国を回りましたが、初めて僕らを見るお客さんが増えていまして。ありがたいことに“アレ”でALFEEを知ったという人たちが結構多いんですよ」
高見沢が“アレ”と話すのは、『NHK紅白歌合戦』のこと。昨年末、41年ぶりに2回目の出場を果たしたこの番組で視聴者からは「70歳のステージじゃない!」「『紅白』を見てハマった」といった声が続出した。
坂崎「50年という前提がひとつあって『紅白』でさらに、という感じですかね。確かにバンドで50周年というのはほとんどないですからね」
桜井「家族と一緒に10代や20代の若い世代が見て驚いたみたい。やはり『紅白歌合戦』は影響力がすごいですね」

高見沢「そうそう、それでまずは桜井のダンスが注目され、『星空のディスタンス』の歌唱が始まると、おまえが歌うんかい! とSNSでトレンド入り。初めて見る人にとって、バンドといえば真ん中が歌うのが当然と思っていたら、まさかの端っこのベースが歌い出すんですから。僕らにとっては“えっ? そこ!?”という感じですけどね」
坂崎「これだけ長い間やっているので、日本のみなさんは『星空のディスタンス』を1回は聴いたことがあって、普通に知っていると思っていたのに“おまえが歌うんかい”でバズるとはね(笑)」
桜井「たくさんの方にコンサートを見てほしいと思って今までやってきましたけど、まさに今そうなってきている感じがしますね。うれしいことにホールによってはお客さんの半分近くが初めて見る、という場所もありましたから」
高見沢「50年やってきて、新しい層のファンがついてくれるのは本当にうれしいです。まさに“臥薪嘗胆”ですね」
坂崎「ん? 臥薪ひょうたん?」
高見沢「ひょうたんじゃないよ(笑)。何だよ、それ(笑)」
8月2日、3日には夏のイベント『Circle of The Rainbow』が神奈川の横浜アリーナで行われる。そこで披露されるのが、51周年を飾るシングル曲『HEART OF RAINBOW』だ。
高見沢「この曲でTHE ALFEEは“51年目も元気だよ”とみなさんに伝えたい(笑)。心とか夢とか愛というものは実体がないじゃないですか。虹も見えるけどつかめない。でも自分の中では想像はできますよね。“虹”は僕にとって希望の象徴。この楽曲に僕らの51周年に向けての思いを込めました」
桜井「自然現象の中でも美しいと思うし、誰もが見たら得した気分になりますよね。オーロラもきれいだけど、虹のほうが近くにあるという感じがします」
坂崎「僕みたいに動物を飼っている者にとっては、虹の橋の向こうには天国があって、動物たちが橋を渡っていくというイメージ。ちょっと切ないけど、すごく優しいものだなと思っています」
振り返ると、3人はいろいろな場所でファンと共に夏を過ごしてきた。もう一度できるとしたら、どこでコンサートをしてみたい?
キャバレーから武道館まで、一つひとつが印象的
高見沢「どこだろう……。やっぱり'86年の(東京)ベイエリアかな。チケットのソールドアウトなしでやろう、と話していて結果、10万人コンサートになったあの場所は、記憶の中に鮮烈に残っています。もう一度あそこでやるには、土地をまっさらにしなくてはいけないけどね(笑)」

坂崎「あのときは何もなくて草がボーボーだったよね。もう二度とできないから、記憶に残っているんだろうな。でもさ、もう野外であの規模のコンサートをできる場所がないよね」
桜井「場所自体もそうだけど、最近は異常な暑さや自然災害も心配だよね。'80年代は暑いといっても30度くらいだったし、夕方になったら風が気持ちよかったじゃない」
坂崎「もう夏の野外イベントはできないだろうな……。でもその分、音のいいアリーナ

クラスの会場ができていますけどね」
積み重ねてきたコンサートも、3000本が見えてきている。
高見沢「ライブハウスも入れたら、もっと数は多いですけどね。ライブハウスでもいろいろやりましたね。○と×のプレートを作ってお客さんに渡して“今の曲どうでしたか?”って聞いたりしたよな」
桜井「聞くもんじゃないよね(笑)。相手に聞いてどうするんだ、って」
高見沢「こっちが提供するものだからね。今考えるとアホだよね(笑)。当時は良かれと思ってやったことが、全部裏目に出ていましたね」
坂崎「新曲キャンペーンに出てレコード屋さんの前とかね。キャバレーもやったな。僕が前説やって“では登場してもらいましょう、アルフィーです”って、僕もギター持って並ぶの。お客さんから“あれ、前説の人じゃない?”って言われたりして」
高見沢「キャバレーから武道館まで、一つひとつが印象的ですよ」
51年目を迎えても、立ち止まることを知らない3人。バンドとしての“還暦”まであと9年、どんな思いで続けていくのか?
桜井「今まで誰もやったことがないことですから、これから1年1年が“パイオニア”になりますよね。フロンティアを開拓していると思い続けることがいちばんかな」
取材・文/蒔田稔