GENERATIONSの片寄涼太 撮影/齋藤周造

「針の穴に糸を通すように、いろんなことをくぐり抜けてきた」

 そう語るのはGENERATIONSのボーカル・片寄涼太。着実にキャリアを重ねてきた彼が、ついに初のソロアルバム『Bouquet』を8月6日にリリース。初回特典には、片寄が執筆したエッセイも同封される。

家族の形に「正解はない」

「自分の表現のひとつとして書き物もあっていいのかなと思うようになったので、アルバムにつけるかどうかは決めずに、とりあえず文章を書き始めました。いざエッセイも収録しようとなったときに、過去と今と未来がひとつにまとまっているアルバムなので、自分の生い立ちも表現として必要だと思い、いろいろと書き足していって完成しました」

 そうして綴られたエッセイには、幼少期の思い出や、お母さんとのエピソードも。

「母はパンを作るのが趣味で、ママ友を集めてパン教室をやるくらいの腕前でした。ちっちゃいころから、ずっと母の作ったパンを食べていました」

 お母さんとは、友人のように仲良し。

「僕にとっての母は、その日にあったことを1から10まで全部話すような近しい存在でした。ただ、大人になって思うのは、自分の母親は自分の母親でしかないというか、母親の数だけ母親の形があるんだ、ということです。自分もライフステージが変わって親になったからこそ思うのかもしれませんが、親の形って家族の数だけあって、そこに正解はないんだなと感じています」

アルバムに込めた思い

 高校受験が終わったタイミングでLDHのオーディションを受け、合格をつかみ取った。エッセイの中では当時の葛藤が赤裸々に語られているが、もし当時の自分に声をかけるなら、オーディションをすすめるか問うと、

「いやぁ……、かなり悩みますね。オーディションに合格した後の試練というか、その先に待ち受けているものが多すぎて、“受けなよ!”と気軽には言えないです。針の穴に糸を通すようにいろいろなことをくぐり抜けてきて、奇跡の連続によって今の僕があると思うので。“もっと普通に生きててもいいんじゃないの”と言うかも」

 と、シンデレラストーリーの先で味わった厳しさと努力がにじんだ、少し苦い笑顔で答えた。

「でも、受けないと気が済まなかったんでしょ、とも思うんです。当時の自分は、“絶対にオーディションに受かってやる!”というタイプではなかったのですが、何かに向かって踏み出すタイミングだったんだと思います。あのときの自分は、どんなに止めたとしても受けるんだろうなぁって(笑)」

GENERATIONSの片寄涼太 撮影/齋藤周造

 ソロ活動5年の集大成としてアルバム『Bouquet』をリリースする。

「色とりどりの楽曲をひとまとめにするという意味を込めて『Bouquet』というタイトルにしました」

 と、タイトルに込めた意味を語るとおり、自身の作詞曲や他アーティストとのコラボ曲など、盛りだくさんの内容だ。

「グループ活動があるから、ソロ活動をより自由な発想でやれているんだなと感じています。自分なりのメッセージを生み出すこともできるのは、グループという大きな軸があるからこそ。メンバーにはまだ聴いてもらってないのですが、きっと“らしいな”と言われると思います。タイトルが『Bouquet』っていう時点で、もういじられそう(笑)」

おしゃれで情緒ある大人に

 30代に突入した今、若いころに思い描いた大人に近づいているか尋ねると、

「自分の30歳のときのことなんて、10代のときは想像もつかなかったです(笑)。20代のときは30代の目標を一生懸命に考えていたりしたけど、そんなに肩肘張らなくても、自分なりの、自分らしい30歳を迎えたな、と思います。20代のときは、なりたい未来の理想と現実に悩まされたりしたけれど、いざ蓋をあけてみれば、本当に恵まれていました」

 最後に、これから目指したい理想の大人像は?

「ひとりでも多くの人に感謝される大人になりたいです。こういう仕事をしていると、あることないこと言われたりしますし、いろいろなところで意見が飛び交います。そんな中でも、誰かに少しでもポジティブな影響を与えたい。人に感謝してもらえるような、誰かのためになる大人になっていきたいです。

 そして、おしゃれで素敵な、情緒のあるおじいさんに向かっていきたいです。今はたくさんの情報があふれていて、とても展開が早い世の中ですが、日本人らしい情緒を忘れずに、自分の好きなものを楽しんで、若い人から見ても“おしゃれだな”って思ってもらえるような生き方ができたらいいなと思います」

ソロ〇〇はどこまでできる?

 ソロ映画、ソロBAR、ソロ旅行も行けます。基本的にひとり行動はまったく苦じゃないんです、ひとりっ子なので。でも、焼き肉は勇気がいりますね。恥ずかしいからとかではなく、頼む量がわからなくなりそうだから。焼き肉の一人前って、わからなくないですか?(笑)“2〜3人で食べるからこんな感じで頼むよね”っていうメニューが、焼き肉には多すぎます!

アルバム『Bouquet』8/6 Release!

撮影/齋藤周造 ヘアメイク/隈崎晋也 スタイリング/吉田宗平