
中高年になると増えてくる髪の悩み。特に、紫外線が強い夏は頭皮や髪がダメージを受けやすく、正しいケアを怠ればさらなる毛髪の衰えにつながりかねない。そこで、髪老化の原因と正しいヘアケアについて、毛髪診断士の齊藤あきさんに話を聞いた。
夏のダメージを防ぐ
「シニア女性の髪の悩みに多いのが、抜け毛、薄毛、パサつきなど。こうした髪の衰えは、閉経前後に女性ホルモンのエストロゲン分泌が減少することや、老化による毛髪の成長速度の低下、毛周期が短くなったりして起こります。中高年になると腸の消化吸収が弱まり、毛髪の原料となるタンパク質が不足してしまうことも。体内における毛髪へのタンパク質の供給は、筋肉や臓器に比べて優先順位が低く、タンパク質が不足すると髪の衰えに直結してしまうんです」(齊藤さん、以下同)
中高年以降は、頭皮の水分量やバリア機能の低下で頭皮トラブルを招きやすくなる。
「デリケートな状態の頭皮に白髪染めやパーマなどの薬剤、紫外線、乾燥などの刺激が加わることで頭皮が炎症を起こし、頭皮のヤケド、フケを招きます。頭皮の色が赤い人は危険な状態。放置すれば抜け毛の原因にもなるため、日頃から頭皮のチェックを心がけて。頭皮の色が青っぽい白色なら健康な状態」
これから訪れる夏に、どのようなヘアケアを心がければいいのか。
「まずは頭皮の細胞に栄養を届けるために、タンパク質、ビタミン、ミネラルを食事でしっかりとること。髪の発育を助ける亜鉛は必須。メニューは青魚と野菜中心が理想です。また黒ゴマや黒豆茶など、漢方で髪にいいとされる黒い食材も積極的にとりたいですね」
これらの内側からのケアに加え、外側からのケアも欠かせない。
「髪に栄養を行き渡らせるためには、頭皮の血流を促すことも大切。頭皮は加齢とともに硬くなって血流が悪化しやすくなるため、運動や入浴を心がけて。余裕があればマッサージで頭皮をほぐす、血行促進作用のある育毛剤を活用するケアもおすすめ」
紫外線ケアを忘れずに
夏の頭皮のケアには正しい洗髪、保湿、UVケアも欠かせないと齊藤さん。
「紫外線に当たって酸化した皮脂を放置すると毛根のダメージにつながるので、毎日洗いましょう。洗髪ではシャンプー前の予洗いが大切。37度のぬるま湯で頭皮を中心に1~2分流すだけで汚れはかなり落ちます。シャンプーは軽く泡立ててから塗布し、優しく円を描いてマッサージを。すすぎもしっかり行ってください」
頭皮の皮脂を取り除くのに、週に1度のオイルクレンジングもおすすめだ。
「洗髪後は、頭皮美容液で保湿と栄養補給を。外出時は日傘や帽子、頭皮のUVスプレーなどで紫外線ケアをするのも忘れずに」
正しいヘアケアで夏のダメージを防ぎ、美髪を手に入れたい。
自分に合ったものを! タイプ別ブラシ

獣毛ブラシ
髪がパサつきがちの人は獣毛ブラシを使うのがおすすめ。獣毛ブラシには天然の油分が含まれているためキューティクルを整え、ツヤ出しに最適。天然毛100%のほうがツヤは出やすいが、初心者はピンとミックスになっているものが使いやすい
竹ピンブラシ
側頭部をつまんでつかめない人は頭皮がこっている証拠! 竹ピンのクッションブラシを使って好きな時にマッサージ。やり方は頭皮にピンを当て、優しくプッシュするだけ
弱った頭皮に
アミノ酸入りで潤いアップ

シャンプー「ティースリー ボリューム&シャイン シャンプー」
中高年世代にはマイルドな洗浄力のアミノ酸系シャンプーがおすすめ。髪にハリ・コシを与えるパルミトイルジペプチド-18や保湿成分のプラセンタエキス、アルガンオイルを配合。ちなみに硫酸系シャンプーは洗浄力が強く、乾燥を招きやすい。シャンプー選びの際は要注意(1958円/470mL)
頭皮環境を整えるならスカルプケア

シャンプー「エムキュア 薬用スカルプケア&モイストシャンプー」
頭皮トラブルの予防には、頭皮や髪に潤いを与えるスカルプケアシャンプーを。セラミドなどの保湿成分と頭皮環境を整える植物エキスを配合。抗菌・抗炎症成分も配合し、フケやかゆみの予防にも効果的。選ぶ際はグリチルリチン酸ジカリウムなどの、抗炎症成分が配合されたシャンプーを(1980円/450mL)
女性の弱った頭皮をレスキュー

育毛剤「スカルプDボーテ 薬用スカルプスパエッセンス」
洗髪後は、頭皮に潤いと栄養を与える頭皮美容液を。シニア世代に欠かせない保湿、血行促進、抗炎症に効く成分をバランスよく配合した美容液。女性にうれしい育毛ケア成分「タマサキツヅラフジアルカロイド」も配合。頭皮用EMSをあわせて使うと、血流促進効果倍増!(3300円/137g)
剛毛の方にもおすすめのアイテム
傷んだ髪を保湿&補修

トリートメント「スグニ 浸透ツヤ髪トリートメント」
保湿&補修成分のバランスがよいトリートメント。髪のタンパク質成分である加水分解ケラチンや、髪のタンパク質を強化するヘマチン、熱ダメージを防ぐヒートプロテクト成分を配合。白髪染めなどで髪のパサつきやダメージが気になる方におすすめ。シリコン入りなので髪の広がりが気になる方にも(1500円/400mL)
ツヤ出し&ボリュームダウンに

ヘアオイル「エイトザタラソ リペアショット&EXモイスト美容液オイル」
髪のパサつき、広がりやすさが気になる方には、ボリュームダウンとツヤ出しのできるヘアオイルを。髪にまとまりやツヤを与えるしっとりタイプで、剛毛の方にもおすすめ。ヘアオイルは頭皮から10cmほど離して塗布を(1540円/100mL)
パサつく髪に潤いを

ヘアミルク「ハニーク ナイトリペア 2WAY ヘアミルク モイスト」
トリートメントをしてもパサつきや細毛で悩んでいる人は、ドライ前にヘアミルクで潤い補給を。マヌカハニー(はちみつ/保湿)を配合し、髪の潤いとツヤ出しに最適。熱ダメージを防ぐヒートプロテクト成分(γ-ドコサラクトン/保湿)も配合で、ドライヤー前の熱ダメージケアにも◎(1650円/150mL)
夏は必ずUV対策を
シャンプーで落とせない皮脂汚れをオフ

クレンジングヘアオイル「ボタニスト ROOTHエイジングケア 地肌クレンジング&ヘアオイル」
コメヌカ油とスクワランオイルを使用した、さらっとした使用感の頭皮用クレンジングオイル。頭皮をケアするショウガ根、ウコン根エキスを配合。使用法はシャンプー前の乾いた頭皮になじませて少し置くだけ。頭皮の保湿効果もあり(1870円/80mL)
夏は頭皮もUV対策を!

UVスプレー「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト」
全身に使用できるUVスプレー。SPF50/PA++++、スーパーウォータープルーフで汗にも強い。紫外線は真皮まで到達してダメージを与え、頭皮の弾力を奪って血行不良を招くため、夏は必ずUV対策を。帽子や日傘の活用や、定期的に髪の分け目をかえるのもおすすめ(1078円/60mL)
※価格はすべて税込み、編集部調べ
夏にしがちなNG行動

朝シャン
皮脂には頭皮を守る役割もあるので、朝の洗髪で皮脂がなくなると日中頭皮が無防備な状態に。そのまま紫外線を浴びればダイレクトにダメージを受けてしまう。また毛髪は睡眠中に修復されるため、夜の入浴時に頭皮を清潔な状態にしておくことも大切

扇風機やエアコンで乾かす
扇風機やエアコンは、急激に頭皮を冷やして血流悪化を招くためNG。乾かし終わるまでの時間もドライヤーと比べて長くかかるので、キューティクルが開いてパサつきを招く原因に。髪を乾かす際は、ドライヤーを使うのがベスト

取材・文/井上真規子