
「着るだけで疲労回復」をうたうリカバリーウエア。もともとはプロアスリートが就寝中に身体をケアするという目的で作られたが、ここ数年、メディアやSNSで紹介され、一般にも広まった。血行を促す特殊繊維を使用していることもあり、価格は1万~3万円台がメイン。部屋着やパジャマと考えるとなかなかのものだが売り切れ続出の商品もあるという。ワークマンやドン・キホーテ、アオキ、ローソンなどから廉価版の類似商品が発売され、さらに知名度が上がっている。コロナ禍以降、健康志向の高まりも需要を押し上げた。
洗濯しても効果は「半永久的」
「いつも疲れている」「肩や腰のコリが取れない」……年齢を重ねると増える、こうした悩み。寝ている時間を使って少しでも回復できるなら朗報だ。しかし、いったいどんな仕組みなのだろうか。そこで話をお聞きしたのが業界大手「べネクス」代表・中村太一さん。同社は日本代表選手らトップアスリートが着用したことで話題となった、リカバリーウエアの先駆けだ。
「ここ数年で市場が急拡大しています。大手企業の参入で商品群が増え、消費者の選択肢も多くなっています」(中村さん、以下同)
しかし、商品によって使用されている繊維や技術は大きく異なるという。
「弊社の場合だと、独自開発の特許素材が売り。ナノプラチナなどの鉱物を繊維に練り込み、着て休むだけで心身の緊張をやわらげる効果を狙っています。洗濯しても効果は半永久的です」
今の時季、屋内外の温度差や暑さによる寝苦しさで身体はダメージを受けている。自律神経も乱れやすく不調になりがちだが、休養の質を高められるという。
『休養』は睡眠だけではない
「選ぶなら接触冷感、高通気素材、吸放湿機能などのタイプで、さらりとした肌触りのものが最適。夏こそ心身の健康のために睡眠を含む『休養』を効率よく取ることが大切です」
睡眠時以外にも活用してほしいという。
「『休養』は睡眠だけではないと考えています。移動中や運動後、自宅でくつろぐ時間、産後など、さまざまなシーンで使ってほしいですね」
手軽に健康になりたいという現代人のニーズにハマったリカバリーウエア。期待値が高い商品のせいかSNSでは「値段ほどの効果は……今後の体調変化に期待」「ひと口にリカバリーウエアといっても、科学的根拠が危ういものも」といった声も。

効果の感じ方は個人差が大きく、ほとんどの商品は短期よりも長期で試してみないとその実力はわからないという。厚生労働省はリカバリーウエアを扱う事業者に対して、自主点検を促しているのが現状だ。
近年では「一般医療機器」に届け出するメーカーも増えている。ワークマンやローソンが取り扱う商品も該当し、消費者が購入する際のひとつの目安に。ただし、それでもどんな科学的根拠があるのかやネットでの口コミを調べてから買うのがおすすめだ。
夏疲れの自分へのご褒美や大切な人への「健康ギフト」として……「モノは試し」なのかも?