
2025年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)は8月30日から31日に渡って放送されることが発表された。今年で放送48回を迎えるが、今回のテーマは『あなたのことを教えて』。どういった内容になるのか、その詳細はまだ発表されていないが、総合司会を務めるのは昨年同様、上田晋也と羽鳥慎一、そして日本テレビの水卜麻美アナ。
『24時間テレビ』2023年の“事件”
チャリティパートナーは、『King&Prince』の高橋海人と永瀬廉、志尊淳、長嶋一茂、浜辺美波、氷川きよし、そして昨年のマラソンランナーだったやす子が務める。
30日夜に放送される「24時間テレビ48ドラマスペシャル」では黒柳徹子の青春時代が描かれ、黒柳を演じるのは芦田愛菜だ。
ここまででも盛り沢山の感はあるが、さらに目玉企画であるマラソンのランナーはSTARTO社の人気アイドルグループ・SUPER EIGHTの横山裕に決定した。
チャリティー番組のパイオニアでもある『24時間テレビ』だが、なにかと批難されるようになって久しい。そして、2023年には番組の根幹を揺るがすような“事件”が発覚する。
2023年11月、鳥取市に本社を構える系列局『日本海テレビ』の経営戦略局長が、寄付金を含む計1118万円あまりを着服していたことが発覚した。この事件を受けて、「始まっていた制作準備が一時ストップしました」(元日本テレビ関係者)といい、2024年は放送がないだろう、ついに打ち切りか……と、番組の存続が危ぶまれたのだが、6月に入り放送決定が発表された。
総合司会を務めた水卜アナが『ZIP!』をはじめとした同局の番組内で謝罪するなどしたが、7月に警察が容疑者を“業務上横領”の疑いで地検に書類送検したことが報じられると、SNSでは批難の声があふれ出したのだった。
『24時間テレビ』ギャラ問題とマラソンの懸念
日本テレビ本体で起きた事件ではなかったことが幸いだったが、非難されるのは当然のこと。また、毎回のように指摘されるのが、「チャリティー番組なのに出演者にギャラが支払われている」という問題。この件に関して、日本テレビは2000年にBPO(放送倫理・番組向上機構)を通じて、
「『24時間テレビ』に出演して頂いたタレントのギャラについては、基本的にボランティアでお願いしております。しかし、拘束時間の長い方など、場合によっては謝礼という形でいくらかのお支払をしております」
「タレントによっては謝礼を辞退される方もいらっしゃいます」
と回答をしているのだが、いまだに蒸し返されるほど根深い問題であることは間違いない。
そして、これも何かと物議を醸す“チャリティーマラソン”。かつては、途中で車に乗って移動しているのではないか、などと“不正”疑惑が出ることもあったが、最近は企画自体の意義を問う声と、ランナーの健康を憂慮する声が増えている。

近年、夏は35℃を超える“猛暑日”が普通になった。夜間でも、気温はそこまで下がらない。毎日のように熱中症予防が叫ばれている中で、過酷なマラソンを敢行する必要はどこにあるのか、ランナーがかわいそうだ、とチャリティーマラソンに疑問を呈する声は増えた。
以前から、オリンピックや夏の高校野球についても「涼しい時期にした方がいい」という声はたしかに多い。そのほうがアスリートのパフォーマンスが上がり、いい記録が出るに決まっている。しかし、民放でバラエティー番組を担当するディレクターによると、
「チャリティーマラソンはオリンピックや夏の甲子園とは求めていることが違いますから。競技会のように、いい結果を出すことが目的ではありません。過酷な条件の下で、ミッションを達成する。それを見て視聴者は感動するわけですから、簡単に完走してしまっては盛り上がりません。それに、事故なんて起きたら番組は即アウトですから、そこは徹底して気を付けているハズです」
日本テレビ関係者は「気にしてない」
そして、毎回、湧き出てくる“不要論”。日本テレビの関係者に、世間の反応について聞いてみると……。
「『紅白歌合戦』と同じで、年1回でも長寿番組となるとマンネリ化も指摘され“もういいんじゃないか”という不要論が必ず出てきます。でも、局内ではそんなに気にしていませんね。チャリティー番組といっても、できるだけ多くの人に視てもらいたいわけですから、ワンパターンだと言われないように新しい企画を考えています。ギャラ問題を指摘する声も以前ほど少なくなり、非難も出尽くした感がありますので、愛される番組作りをし、夏の代名詞になればいいなというところです」
毎年、年末が近づくと『紅白』の出場歌手と司会に注目が集まり、マスコミもこぞって報じるようになる。同様に、梅雨が明けて夏になると、今年は放送があるのか、誰がマラソンを走るのか、などと『24時間テレビ』が気になり始める人は多い。

そして気になるのが視聴率だが、広告代理店社員によると、
「番組自体は毎回、数字(視聴率)はいいです。いろいろ非難されたり、不祥事もありましたが、極端に数字が落ちることもなく、安定しています。視聴者の中には一定数番組のファンもいますし、逆に同番組を放送しているから、“絶対日テレを視ない”、という視聴者も多くはありません。“アンチ”も結局、視ますしね。よっぽど大きなトラブルでもない限り、急にスポンサーが離れることはないでしょう。
チャリティー番組といっても、制作スタッフをタダ働きさせるわけにはいきませんし、マラソンランナーにしても、練習も含め何日も拘束するわけですから、その間の生活費も保障しなければなりません。出演料ではなく“協力費”という形で支払いますし、その他も含め、制作費はスポンサーフィーで賄うわけですから、問題はないのです」
日本テレビの発表では昨年、番組に寄せられた寄付金は総額で15億8,955万4,167円だったという。これは歴代2位の記録。チャリティー番組としての目的は十分に果たしているのではないだろうか。批判が止まずとも、番組はもはや夏の「風物詩」だろう――。