岐阜県の江崎禎英知事(公式サイトより)

 全国の自治体で公用車のカーナビやテレビ機能付き端末のNHK受信料未払いが相次いで発覚する中、岐阜県の江崎禎英知事は29日の記者会見で放送法や徴収ルールの見直しを求める発言を行い、国民から賞賛の声が集まった─。

各地でNHK受信料未払いが判明

 放送法第64条の規定によると「NHKの放送が受信可能な携帯電話・スマートフォン、カーナビ、あるいはパソコンについても協会の放送を受信することのできる受信設備であり、受信契約の対象となります」と記載がある。

 受信契約漏れの有無を調査していた宮崎市では計64台で約561万円の未払いが判明し、沖縄県でも公用車のカーナビなど121台の未契約による未納額、約475万円があったと発表し「カーナビ受信料」を巡る問題は全国に波及。

 この規定に対し江崎知事は「今後も見る予定のないものについては、国のほうでルールを明確にしてほしい」「映像を見る予定がないものに対しても、貴重な県民の税金を払い続けるのは適切ではない」と放送法や徴収の見直しなど政府へ苦言を呈した。

 国民からは、

《歴史に残る「カーナビ受信料カツアゲ事件」です》

《カーナビにテレビ機能いらないです。NHKとの契約がおまけで付いてくるなんて最悪です》

《岐阜県知事の言うとおりだと思う。業務上必要なので車両にカーナビを付けたら、たまたまワンセグ機能が付いてたというだけ。観る予定も無いのに受信料を払う必要など無いと思う》

 など共感の声が飛び交っている。

元官僚の江崎岐阜県知事

「江崎知事が指摘しているとおり、公用車のカーナビでNHKどころかテレビも見ない層が多いからか今回大きな反響となっているようです。受信料は公共放送を支える仕組みではありますが、実際の利用実態や必要性を考慮した徴収設計が必要だと思います。今回の問題を機に、国会での議論も活発化してほしいですね」(全国紙政治部記者)

 江崎禎英知事は、1964年生まれの60歳。東京大学卒業後、通商産業省(現在の経済産業省)に入省し、金融制度改革や個人情報保護法の立案に携わり、エネルギー政策企画室長として地球温暖化問題にも取り組んだ元官僚。

 2020年11月に経済産業省を退官し、2021年1月、岐阜県知事選挙に無所属で出馬するも落選。今年の1月、岐阜県知事選挙にて初当選し、今回の発言は行政経験を背景に税金の適切な使途について問題提起を行った形だろう。

 そんな知事の発言には《都道府県知事としてそれを言って頂いたのは素晴らしい》《正論です》《まったくその通り》《国民も同意見です》と、称賛の声があふれ、一夜にして一気に株を上げた。

 NHK側としては、放送法に基づくものとして受信料の支払いを求める姿勢を維持しているが、国民や自治体からの反発が強まれば、徴収制度の見直しを迫られる可能性があるかもしれないーー。