新潟県上越市の中川幹太市長(公式インスタグラムより)

「私の不適切な発言で三田(さんだ)市民や農家の皆さまにご心痛をおかけし、深くおわび申し上げる」

 7月29日、新潟県上越市の中川幹太市長が兵庫県三田市の田村克也市長を訪問。自身の“まずい”発言について謝罪した。

「中川市長は7月1日、市役所で行われた委嘱式の場で、自身が学生時代に暮らしていた三田市の酒米『山田錦』を絶賛しつつも、主食用の米は“まずかった”と発言。後に三田市長から“農業者の努力や産品に込められた思いを愚弄している”という抗議状が送られる騒動に発展しました」(全国紙社会部記者、以下同)

 中川市長は、広島生まれの関西育ち。社会人時代にNPO活動を通じて上越市に移住。2008年に上越市議会議員選挙に無所属で出馬して当選した後、2021年に上越市の市長となった。

「上越市における最年少の市長として注目されましたが、とにかく失言が目立つんです。2022年に上越市内の『直江津』駅前に商店街があるにもかかわらず、にぎわいがないことからか“直江津には商店街がない”と発言して関係者から抗議が殺到しました。

 2023年には、市内にある私立高の2校を指して“レベルが下のほうにある”と発言して後に謝罪するはめに。2024年にも赤十字を“あかじゅうじ”と読み間違えたこともありました」

三田市内をお詫び行脚、米の試食も

 相次ぐ失言により、上越市議会の副議長から“首長の器ではない”とまで言われた中川市長。今回の“まずい発言”の対応にも注目が集まったが……。

中川市長は、三田市長に謝罪した後、三田市内の田んぼも訪れ、米農家やJAなどの関係者にも謝罪。最後に三田米を食べるパフォーマンスをして“もちもち感あって、おいしかった”とコメントしていました」

三田市でお詫び後、神妙な面持ちでお米を試食する上越市の中川幹太市長(Xより)

 これで禊がすんだかのように見えたが、SNS上では中川市長の謝罪行脚について、

《三田市への移動は自腹だろうか?》
《自分の失言なのに公費で行ったの?》

 といった声が散見された。

「確かに、中川市長が三田市を訪れたのは、市長自身の失言が発端。謝罪行脚の移動費が公金、つまり税金で賄われているのであれば、上越市の納税者から理不尽だと思われても仕方ないかと」(ワイドショースタッフ)

移動費は「公費から支出している」との回答

 上越市に、中川市長の移動費について聞いてみると、上越市秘書課から“公費から支出している”との回答があり、市側の認識として、

「この度の三田市への訪問は、市長の公務の中での発言に起因し、三田市において、三田市長や農業関係者の皆さまとの面会、三田米の評価回復に向けた協議などを行ったものであり、公務となります

 とのこと。

 また、秘書課の担当者が語るには、三田市への訪問にかかる旅費を市長自身で負担するとの申し出もあり、法令上の問題がないか弁護士に確認をしたところ、実現に至らなかったという。

「市長が公務として出張する際の旅費は、市の債務と解釈され、仮に市長において法律上弁済すべき義務を負わないにもかかわらず、市長がこれを弁済した場合、すなわち市長が、旅費を支払うべき市に負担させず、自らが負担した場合は、利益供与となり、公職選挙法で禁止されている公職の候補者等による市に対する“寄附”と解される怖れがあることが確認されたことから、公費で支出するものです」(上越市秘書課)

 と、市長が自腹を切れなかった経緯も教えてくれた。

 今年10月で任期満了を迎え、2期目に向けての出馬も表明している中川市長だが、彼の誠意は上越市民に届くか、それとも――。