
2023年に大学を卒業し、おひとりでの公務も数多く担われるようになった愛子さま。11月には初の外国への公式訪問として、東南アジアの内陸に位置するラオスを訪問される予定だ。しかし今、訪問を巡って暗雲が垂れ込めている─。
愛子さま初の外国訪問に暗雲
「7月にラオスの隣国であるタイとカンボジア間で国境を巡る紛争が勃発。7月26日には、戦闘中の砲弾がラオスに着弾する事態となりました。両国は7月28日に停戦の合意に至りましたが、停戦は長続きしないとの見方が強く、今も多くの人々が避難を続けるなど警戒を強めています」(全国紙社会部記者)
2国間の紛争を受けて、「場合によってはご訪問が取りやめとなる可能性もある」と、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授はこう語る。
「今後、両国の紛争によってラオスの治安が著しく悪化すれば、ご訪問を延期するという可能性もゼロではありません。ただ、天皇陛下の一人娘が初めて外国の公式訪問に臨まれるということで、出向く側も迎え入れる側も相当な準備をしていることでしょう。ですから、延期することなく予定どおりの訪問を実現したいというのが両国の本音ではないでしょうか」
雲行きが怪しくなったラオス訪問。そもそも愛子さまにとって初めての外国訪問の行き先候補としては、まったく違う国が有力視されていた。
「天皇陛下や秋篠宮さま、黒田清子さんが初めての外国訪問で赴かれたブラジル、また愛子さまと同世代の女王がいるノルウェー、最近国王が来日して皇室とのつながりも深いオランダなどが候補として挙げられていました。
一方、ラオスは発展の途上にある国で、アジアの中でも比較的貧しい国です。そのため愛子さまのラオス行きが発表されると、関係者の間だけでなく、ネット上でも“意外すぎる”との声が上がりました」(皇室ジャーナリスト)
しかし、『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務める、つげのり子さんは「初の海外訪問として、とてもいい行き先」だと次のように話す。
「日本からラオスへはベトナムやタイを経由して7~8時間ほどで、さほど遠くありません。皇室の方が外国を訪問されると、毎日分刻みで予定をこなす必要があります。
初めての外国訪問で、戸惑いによる疲れもあるでしょうから、日本から近くて時差も少ないということは、とても重要なポイントです。温和で親日的な国民性で知られるラオスの人々から、愛子さまは心からの歓迎を受けるでしょう」
愛子さまラオス訪問に“3つの思惑”
そもそも、皇室の方々の外国への公式訪問はどのように決まるのか。宮内庁関係者は次のように明かす。
「宮内庁から“行ってほしい”と申し出ることはなく、お招きのあった国へ行っていただくという形式です。お招きがあった国の中から、ご本人の意見を取り入れつつ、政府や外務省の協議によって行き先を決定します。
皇室の方々による外国訪問の目的は“国際親善”で、政治的な意味合いは持たないとされていますが、実際にはさまざまな思惑や意図が秘められているものです」

愛子さまのラオス行きにも、こうした思惑があると前出の河西准教授は話す。
「ラオス行きが決まった背景の1つに“対中政策”があると見ています。これは愛子さまが、ということではなく国が意識していることです。今、アジアでは中国が影響力を強めています。
日本政府としては中国の周辺国と友好関係を深めることで中国を包囲し、アジアでの発言権や利権を強めたいと考えているのだと思います。両陛下が2023年にインドネシア、今年7月にモンゴルを訪問されたのも、同様の狙いがあると考えます」
さらに、輸出入に関する利権にも期待をしているのではと河西准教授は続ける。
「ラオスは米の栽培が盛んで、輸出にも力を入れています。日本政府は中国に頼らない経済圏を確立したいと考えていると思われ、愛子さまのご訪問でラオスと日本の友好関係がより強固なものになれば、“中国に頼らない米の輸入”の実現に一歩近づくかもしれません」
一方、今回のラオス訪問には「愛子さまらしい目的がある」と前出のつげさん。
「“日本が行う人道支援の現場を視察する”という意味合いもあるのではないでしょうか。皇室とのつながりが深い、青年海外協力隊が初めて派遣された国の1つがラオスです。こうしたつながりから、愛子さまは関連施設へ足を運び、現地で活動する日本人と懇談されると見ています」
愛子さまが赴かれるであろう場所はほかにもあると、つげさんは続ける。
「近年、ラオスでは交通量が増えて交通事故が多発しているそうですが、日本のように救急医療が充実していないといいます。そこで、日本赤十字社がラオスでの救急医療の普及活動に努めているそうです。日赤の職員として、愛子さまはそうした現場を視察されるのではないでしょうか」
今年は日本とラオスの外交関係樹立から70年という節目。愛子さまのご訪問は両国に、より深い絆をもたらすことだろう─。