
「まず狙うべきは、フェアメニューです」
開口一番、こう語る米川伸生さん。フェアメニューとは、各店舗の期間限定で提供されるメニューで、通常のグランド(基本)メニューにはない一皿のこと。
人気は、国産魚と厚切りの一皿
「その期間にしか食べられないフェアメニューは、おいしくてリーズナブルなのです」(米川さん、以下同)
一昔前は、回転寿司をお得に楽しむといえば、一皿100円で、どれだけコストパフォーマンスがいいネタを食べるかということが重視されていた。
しかし今は、どの店もネタによって300円、500円と値段を上げて原価率を一定にするため、コスパはほとんど変わらないという。
「今の回転寿司の基本原価率は平均40~50%といわれていますが、フェアメニューだけはそれより高く設定されるものが出てきます。店側からすると、フェアメニューは他店との差別化の要になるので、少し無理をしてでもコスパをよくするわけです。
なので、コスパという点では圧倒的にフェアメニューがお得になります」
そんなフェアメニューにも流行があるとか。
「最近は各社、漁業会社と直接契約するようになり、国産魚がどんどんメニューに並ぶようになりました。旬の国産魚は、フェアメニューの目玉になっています。今のフェアメニューは昔よりも、その季節で一番おいしい魚が並ぶようになりましたし、鮮度もよくなっています」
フェアメニューの目玉は、もう一つ。
「お得な厚切りフェアがおすすめです。例えば、中トロを分厚くカットしたものが、一貫100円程度で食べられる。今は、国産魚と厚切りが人気を二分していますね」
一皿100円ではなくなった今、家族4人で行くと合計7000~8000円はかかる。手頃な外食先ではなくなった回転寿司だが、それを補う訴求力を各社高めているのが、最近の傾向ということだ。
ランチやカフェでも回転寿司へ!
さらに最近は、回転寿司の使い方のバリエーションが増えているという。
「寿司+丼で1000円以内のランチにするとか、スイーツだけでお茶をするとか、いろいろな使い方がされています。それだけ、回転寿司のメニューが豊富になってきているということです。
寿司を食べに行くぞ!となると夕食や休日の利用に限定されますが、自分でテーマを考えて来店すると、楽しみがすごく広がります。私も、今日は巻き寿司だけにしようとか、やっています」
実際、カフェの利用で回転寿司に入る高校生なども多いという。今夏の回転寿司の楽しみ方、ぜひ考えてみたい!

お得に食べたい5つの極意
1)コスパは気にしない
一皿100円均一ではなく、ネタによって値段が違うのが一般的に。一部を除いて、多くの皿が原価率40~50%のため、コスパは気にしなくてよい。
2)狙うなら国産魚
運営会社が、漁業会社と直接契約するようになったため、国産魚がメニューにラインナップ。フェアの目玉になることが多い。
3)フェアメニューは絶対おいしい
各店舗で、期間限定で提供される季節のフェアメニューは、旬の国産魚や厚切りなどお得な一皿が多い。必ず食べたいところ。
4)満腹狙いなら巻き物
おなかいっぱいになりたいなら、ふつうの寿司2貫の2倍ほどの米量のある巻き物がおすすめ。懐がさみしいときにぜひ。
5)各店舗の「強み」を押さえる
スシローは野菜、くら寿司はエンタメ、はま寿司は肉系、かっぱ寿司は食べ比べなど、各店舗の特徴を知ると、使い分けしやすい。
スシロー
今や“ベジロー”といわれるヘルシー寿司
サラダ系の寿司やサイドメニューを推しているスシロー、まさに「ベジロー」。絶対食べてほしいのが「たいのサラダ寿司」や「炙りえびチーズのサラダ寿司」などの野菜寿司。あわせてサイドメニューの「サラダパフェ」も食べたら、野菜のおいしさに驚くはず。夏メニューの推しなら、迷わず「スシロー海鮮巻き重ね(夏)」。
スシロー海鮮巻き重ね(夏)
うなぎのかば焼きやツブ貝、まぐろ、えび、サーモン、玉子など12種類の具材を巻き上げて、数の子バラコをトッピング。260円~

炙りえびチーズのサラダ寿司
シャキシャキのレタスに玉ねぎ、しゃり、さらに炙ったえびとチーズが一体化した一皿。炙りがアクセントに。150円~

たいのサラダ寿司
レタスの上にしゃり、玉ねぎ、トマトをトッピング。たいは野菜に合うように漬けにしてある。150円~

サラダパフェ
シャキシャキ野菜に、しょうゆとレモンのドレッシングでさっぱり。「サーモンのカルパッチョ風サラダパフェ」「えびのカルパッチョ風サラダパフェ」の2種類。各250円〜

達人・米川さんの推しの一声
「スシローカフェ部」として年間50種類ものオリジナルスイーツを開発するほど、カフェメニューに力を入れています。午後は、スイーツを楽しむ女性客でいっぱい!
くら寿司
夏の定番は押さえるべしうどんや丼もおすすめ
エンタメ路線が強く、新しいことに最初にチャレンジするのが、くら寿司。この夏は、大阪・関西万博の関連で「世界の料理」、ホールケーキやちらし寿司が音楽やメッセージとともにレーンを流れてくる「プレゼントシステム」などが登場。必ず食べたいのが「特大切りうなぎ」。うな丼など、うなぎの扱いには定評あり。
特大切りうなぎ(1貫)
迫力ある大切りのうなぎは、外は香ばしく、中はやわらか。ふっくらと厚みのあるうなぎと、甘辛いタレは相性抜群。250円〜

天然だしうどん
毎日店舗でとる昆布やかつおなどの天然だしをベースにした一品。115円のお寿司を2皿プラスしても500円以内に収まる! 230円〜

【屋台名物】たこせん
ソースやマヨネーズ、天かす、かつお節をトッピングしたたこ焼きをえびせんべいでサンド。いろいろな食感が楽しめる。150円〜

達人・米川さんの推しの一声
大阪・関西万博出店を記念し、全70種類の世界の料理が店舗ごとに1品食べられます。アメリカのハンバーガー、フランスはカヌレのほか、大使館からアドバイスを受けて開発したものもあって評判も上々。
はま寿司
バリエーション豊か!揚げものも食すべし
牛丼のすき家などを手がけるゼンショーグループが運営しているはま寿司は、直火焼き牛カルビなど肉握りや肉系のメニューに強いチェーン店。炙り商品にも力を入れているので、魚系でも炙りメニューは必ず頼みたい。天ぷらにも定評があり、フェアメニューの「コーンの天ぷら握り」は注目の一皿!
直火焼きまぐろ(大葉にんにく風味)
はま寿司ならではの一品。大葉の爽やかな風味とニンニクの香りが、直火で炙ったまぐろのうまみを引き立てる。110円

とろびんちょう塩ごま油
しょうゆの種類が豊富なはま寿司で、しょうゆではなく、あえてごま油と塩で食べさせる一皿。ぜひ試してほしい! 110円

コーンの天ぷら握り
コーンの揚げ衣としゃりは、味の親和性が高い。しょうゆをかけると、焼きトウモロコシ風に。110円

達人・米川さんの推しの一声
炙りにこだわりのあるはま寿司だからこそ、食べてほしいのが「ホタテレアステーキ」。「サーモンつつみ」などののりをこちらに使って、ホタテに巻いて食べると、磯辺焼き寿司のようになって非常に美味。

かっぱ寿司
食べ比べ寿司が充実!多種多様に楽しめる
かっぱ寿司は2種盛り、3種盛りが充実しているので、いろいろな種類を食べたい人におすすめ。特に「大切りサーモン食べ比べ」「大切りまぐろ食べ比べ」など、大切りと食べ比べがセットになったメニューはお得。また3種盛りの中でも「3種の白身魚食べ比べ」は、お値打ち感抜群。
ちょこっと刺身盛り~まぐろ&とろぶつ~
まぐろととろぶつが一皿に。おつまみになるので、ちょい飲みしたい人におすすめ。460円〜

大切りサーモン食べ比べ
お得な大切りのサーモンの「生」と「塩炙り」を一度に食べられる。塩炙りにトッピングされたレモンがさわやか。210円〜

3種の白身魚食べ比べ
のどぐろ塩炙り、北海道産フグ昆布〆いくらのせ、えんがわなど、夏が旬の白身3種類がそろい踏み。この夏のマスト! 490円~

いくら満開!贅沢冷やし茶碗蒸し
いくら高騰の折、たくさんのいくらを楽しめる上に人気の茶碗蒸しとのコラボとなれば、ちょっと無理してでも食べたい。430円~

達人・米川さんの推しの一声
回転寿司業界でテイクアウトの売り上げは年々上昇していますが、特に評判がよいのが、かっぱ寿司。「夏のごちそう12種セット」など、季節限定メニューを家で楽しめるので、人が集まるときにはもってこいです。
※価格はすべて税込みです。
※店舗によって価格が異なります。一部店舗では取り扱いがありません。

教えてくれたのは……米川伸生さん●回転寿司評論家。1966年生まれ。2000年より回転寿司評論家として活動スタート。2007年には『TVチャンピオン2』の回転寿司通選手権で優勝を果たし、「回転寿司業界」の第一人者に。
取材・文/池田純子