
日本プロ野球復帰3戦目にして、「横浜DeNAベイスターズ」藤浪晋太郎投手(31、以下敬称略)が早くも制球難を“再発”させた。
8月6日のイースタン・リーグ、読売ジャイアンツ戦のマウンドに立った藤浪だったが、4回途中を投げて3安打5失点(自責点3)。それ以上に悪目立ちしたのが、巨人打線に与えた5四球・2死球の“自滅”と言える投球内容。
7月26日のイースタン、千葉ロッテマリーンズ戦を1回わずか5球、31日の同じく西武ライオンズ戦を3回46球と、いずれも無失点に抑えてみせた藤浪。西武との試合後には「ぼちぼちです」と復帰に手応えを掴んだが、落とし穴は3戦目に待っていた。
普段は在阪球団を中心に取材する野球ライターの解説。
「ロッテと西武ともに組んだのは、いわゆる“藤浪対策”とされる左打者を中心に並べた打線。右打者の頭部に抜けるボールが多い藤浪だけに、選手の安全面を優先した措置とも言えます。
しかし、6日の巨人戦はスタメン9人のうち右打者は4人。ある意味、藤浪を“信用した”正々堂々と組んだ打線でしたが、結局、死球を受けた山瀬慎之助(24、捕手)、亀田啓太(26、捕手)は右打者。先の2球団が正解、と言われても仕方がない」
悲しいけどもう引退してくれ
阪神タイガース時代に始まり、海を渡ってメジャーリーグ、マイナーリーグでも改善のち兆候が見られなかった「制球難」。移籍先をNPB(日本野球機構)に戻したところで、都合よく変わるものではなかったということか。SNS上では、
《藤浪ほんま何一つ成長してなくて笑う いや対戦する打者は笑えないが》
《藤浪を応援してる人には申し訳ないけどプロの投手やないで》
《本当に悲しいけどもう引退してくれ...》
自身では制御できない、対戦する打者を危険に晒しかねない投球に「プロ失格」との声も多数上がっている。そして、
《自慢のAI解析班で藤浪の制球難改善すると言っておきながらこの有様ですか》
《横浜球団御自慢のAIによる矯正とは何だったのか》

古巣・阪神でさえスルーを決め込んだ藤浪獲得に、「ウチは強みを持っている。武器がある」と請求難の克服に自信をのぞかせた、DeNAの萩原龍大統括本部長。8月2日に配信された『Number Web』のインタビュー記事でも、
【うちが持っている武器を徹底的に使うことです。球速に関しては現状でまったく問題はないのですが、コマンド(制球力)については、うちのAIやメカニクスのデータ班を生かせると思っています。】
「AI」や「データ」といったIT企業らしい言葉を用いては、藤浪を「良化できる」と親会社のテクノロジーを誇ったが……。
DeNA社の命運をもかけた藤浪の復活
前出の野球ライターは「まだまだ“解析”途中なのでしょう」と前置きしつつ、
「メジャーではあらゆる角度、分野のデータが取り込まれ、AIを利用した最先端の分析が行われています。むしろ野球テクノロジーに関しては、プロ野球より2歩も3歩も先を行っているはずが、彼らでさえ藤浪にはお手上げ状態でした」
もちろん、“ITベンチャーの雄”からプロ野球チームを所有する大企業に成長したDeNAだ。皮肉ではなく、独自の野球テクノロジーに自信を持っている、今回の投球も想定内とした上での萩原本部長の発言なのだろう。
「ただ、仮に藤浪が一軍のマウンドに立つことなくシーズンを終えた場合、獲得してくれた球団に泥を塗るだけでなく、DeNAはIT企業としての評価、それこそグループ会社の株価にも影響を与えかねません。もしかしたらチームの勝敗以上に、藤浪は社の命運がかかった選手と言えるのかも」(同・ライター)
AIは巨人戦での藤浪の大乱調をどう分析しているのだろうか。